2016年3月4日 VOL.051

若手映画作家の発掘・育成を目的とした国家プロジェクト

『ndjc2015』 完成4作品の監督および作品の紹介

Copyright: (C)2016 VIPO

『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト』とは、日本映画振興事業の一環として文化庁よりVIPO(映像産業振興機構)が委託を受け、優れた若手映画作家を対象に、本格的な映像制作技術と作家性を磨くために必要な知識や技術を継承するための製作実地研修を実施し、次代を担う長編映画監督の発掘と育成を目指して2006年にスタートしたプロジェクト。本年度で10年目の節目を迎えました。過去9年間に本プロジェクトに参加した作家の中からは、既に商業長編映画デビューを果たした監督も出ています。作品の製作現場では、編集に関しては研修としての利便性を考慮し、デジタル編集も行われていますが、撮影自体は35mmフィルムで行われています。昨今の劇場等の上映環境に対応すべく、DCP素材も作成されていますが、今年度はアーカイブとしてのネガ原版だけではなく、ポジフィルムも作成し、ネガ編集を選択された作品もあります。

 

「ndjc2015」完成4作品の上映会は、東京会場が渋谷・ユーロスペースにて3月5日~11日(35mmフィルム上映)、大阪会場がシネ・リーブル梅田にて3月19日~25日(DCP上映)に開催されます。各会場では連日舞台挨拶やトークセッションが予定されています。(上映会や作品情報の詳細はndjc公式サイト http://www.vipo-ndjc.jp/ をご覧ください)

 

今回、作品を完成させた4人の監督から、「35mmフィルムで撮影した率直な感想」をお寄せいただきました。本プロジェクトのスーパーバイザーを務められた富山省吾氏のメッセージと合わせてご紹介します。 

 

 壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ

監督・脚本:佐藤快磨

撮  影 :中尾正人

照  明 :白石宏明

 

制作プロダクション

アスミック・エース

 

出演

太賀、岸井ゆきの、牧田哲也、

中田みのり、ぼくもとさきこ、

伊達暁

佐藤 快磨 監督からのコメント

フィルムで撮影するということは、監督と俳優さんたちとの距離を縮めることだと感じました。撮影前にファインダーを覗かせてもらい、画角を確認して、本番中は俳優さんたちを緊張感を持って観ました。 寄りのときは集中して観ることができたと思います。

ただ引き画のときは、どこを観てオーケーなのかという判断が難しかった。全体の中からどこを観るのか…。そこに監督の個性が出るように感じました。そして、フィルム上映とDCP上映を見比べると、フィルムの方は俳優さんたちの周りの空気が、匂いや温度のようなものを伴って映っていたと思います。現場での俳優さんたちとの距離や関係性がより強く映っていた気がします。 

 

 父の結婚

監督・脚本:ふくだももこ

撮  影 :月永雄太

照  明 :髙﨑信

 

制作プロダクション

ブースタープロジェクト

 

出演

ソニン、板尾創路、山中崇、

裵ジョンミョン、山田キヌヲ

ふくだ ももこ 監督からのコメント

私はフィルムでしか映画を撮ったことがありません。前作は16mm、今回は35mmです。これは私の世代ではとても珍しいことだと思います。フィルムの良さは、色彩やコントラストの美しさにありますが、私は現場での緊張感に魅力を感じます。

「よーい、スタート!」の声によってフィルムが回り始めたとき、周囲の音が聞こえなくなり、目の前にある光景が全てになります。何よりも映画を撮っていると感じる瞬間です。もちろんデジタルでも感じることは出来ますが、フィルムは撮った映像をすぐにチェックできないというプレッシャーがあるので、自分の判断力に全てが委ねられます。監督という立場の重さを実感するのです。こんなにも楽しいことを、他に知りません。二十歳の時にそれを感じ、映画に夢中になりました。フィルムは私にとって初めての映画体験でした。 

 

 罪とバス

監督・脚本:藤井悠輔

撮  影 :栢野直樹

照  明 :松田直子

 

制作プロダクション

東映東京撮影所

 

出演

阿部進之介、渡辺大、中川可菜、

河井青葉、笛木優子、深水元基

藤井 悠輔 監督からのコメント

今回は5、60年代のアメリカ映画にあった現実から少し離れた夢のような色彩豊かなトーンを狙っていました。画の中にもワーゲンバスのスカイブルーや中古車販売店の看板の赤、万国旗など色鮮やかなものを意識的に入れていきました。

完成した作品をフィルムで観ると狙っていたトーンがよく出ていて、感動しました。フィルムはDCPに比べて色の幅が広く、すごく画が豊かになっていると感じました。役者さんも画に馴染んでいると思いました。撮影現場はフィルムならではの緊張感を味わうことができました。撮影した分だけお金がかかっていくという状況の中、テイク数を抑える為、1テイク1テイク集中して演出することの大事さを感じました。 

 

 はなくじらちち

監督・脚本:堀江貴大

撮  影 :村埜茂樹

照  明 :小笠原篤志

 

制作プロダクション

東宝映画

 

出演

森下能幸、黒川芽以、夙川アトム、

水澤紳吾、中村ゆうじ

堀江 貴大 監督からのコメント

撮影現場では、いま目の前にある時間と空間をフィルムに焼き付けているという緊張感を感じていました。そして、そのフィルムが映写機を通してスクリーンに映し出されたとき、1カットの中で起こる出来事の一回性と、カットが変わる度に感じる後戻りの出来なさを強く感じました。

それはフィルムだからこそ感じられたことであり、フィルムはロードムービーである本作との親和性が高かったと思います。映画の終盤に出てくる滝のシーンで、宙を舞う滝の粒がスクリーンに映ったとき、現場で目には見えていなかったものが映っているということに感動を覚えました。

 

スーパーバイザー 富山省吾氏からのメッセージ

1895年に誕生してから120年、映画はフィルムによって作られ続けてきました。「手で触れる」「目に見える」フィルムは、「掛け替えのないもの」「やり直しのきかないもの」として映画製作にかかわるすべての人に緊張を強いてきました。フィルムは「スタッフを育てる最高の教師」だったのです。

10年目を迎える今年も、ndjcは日本を代表するプロデューサーと製作プロダクション、そして現役最高レベルのメインスタッフの指導によって、<新しいフィルムの生徒たち>を世に送り出します。  

 

富山省吾氏 プロフィール

とみやま しょうご

1975年東宝株式会社に入社、宣伝部で20本を超える映画のパブリシティと宣伝プロデュースを担当する。黒澤明監督『影武者』など。1983年東宝スタジオの製作プロダクション・株式会社東宝映画の企画部でプロデューサーとして映画製作を始め、2010年までに30本の映画をプロデュースする。主な作品は『ゴジラvsビオランテ』以降のゴジラシリーズ12作品、『恋する女たち』、日本アカデミー賞を複数受賞した『誘拐』『赤い月』など。2004~2010年東宝映画代表取締役社長。現在は日本アカデミー賞協会事務局長。ndjcでは2012年度まで検討委員を務めた。 

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