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2017年 2月 21日 VOL.067

オスカー最有力候補、映画『ラ・ラ・ランド』
― 監督・脚本のデイミアン・チャゼル、ロマンスを描くためには「フィルムが唯一の選択肢だった」

『ラ・ラ・ランド』撮影現場のデイミアン・チャゼル監督 Photo Credit: Dale Robinette

2013年の初め、デイミアン・チャゼルはまだ別の短編映画の監督・脚本を務め、サンダンス映画祭でプロモーション活動をしていました。しかし彼の映画制作仲間とは違って、28才の彼は18分の短編映画『セッション』を持ち込んでコンペティションに臨み、個性派人気俳優(J.K.シモンズ)によるその名演が多くのプロデューサーたちの興味を引きました。

 

一年後、チャゼルは『セッション』の本格的な長編バージョンと共にパーク・シティ(サンダンス映画祭の開催地)に戻ってきました。2015年1月15日、元のオリジナル短編がサンダンスで上映されてから2年と経たないうちに、そしてチャゼルの30才の誕生日まであと4日という時に、ロードアイランド州プロビデンス出身の彼はオスカーにノミネートされました。

セバスチャン役のライアン・ゴズリングとミア役のエマ・ストーン Photo Credit: Dale Robinette

ジャズピアニストと女優の恋を描いたテクニカラースタイルのミュージカルドラマ『ラ・ラ・ランド』の監督・脚本として、チャゼルは自分の音楽と映画制作への愛を結集し、再びメガホンを取ります。撮影監督リヌス・サンドグレン(FSF)によって撮影された映画『ラ・ラ・ランド』は、エマ・ストーンとライアン・ゴズリングが主演を務め、J.K.シモンズもまた出演しています。

以下のインタビューでは、なぜフィルムが『ラ・ラ・ランド』にとって唯一の選択肢だったのか、その理由をチャゼルが説明しています。

映画制作者としてあなたを最も魅了する物語の要素は何ですか?

 

私は、自分が見たいと思うような、あるいは自分自身が観客としてイメージできるような映画を作ろうと思っています。これまで、明らかに私的なことか、自分がよく判っている感情に触れているかに関わらず、私的に感じるものに最も関心がありました。その類いの素材が、自分で本当に探求したいものなのです。

撮影監督リヌス・サンドグレン(FSF) Photo Credit: Dale Robinette

あなたはいくつものフォーマットを試しています。どの時点で撮影するメディアについて考え始めるのでしょうか?

 

最初からです。それがどれほど重要であるかをはっきりさせるのは難しいです。時として特定のプロジェクトでは、その撮影手法が後天的なものにもデフォルトだったようにも感じることがあります。何が物語に必要なのか、そのメディアと真剣に付き合うようにしていますし、もちろん実用的な考慮すべき点もあります。

 

私の最初の映画はモノクロの16mmで、ちょうど撮影することに慣れた時期でした。それにその作品をドキュメンタリースタイルのように撮りたかった。映画『セッション』(2015年)では、沢山のきめ細かなショットを動的な編集で繋げたいと思っていました。つまりそれはある種スタッカート(音符ずつ短く切って演奏すること)以上のことなのです。こうした理由から、デジタルは都合の良いツールだと思われました。

ところが、『ラ・ラ・ランド』にとっては正反対でした。すべてが長いテイクと緩やかな動きでその場の空気感や恋愛感情を捉えています。従って、35mmフィルムがこの映画の唯一の選択肢だったのです。

デイミアン・チャゼル監督とエマ・ストーン Photo Credit: Dale Robinette

それはどうしてですか?

 

この映画は、古いMGMのミュージカル映画のスタイルに非常によく似ています。間違いなく大きな懐古的な要素があるのです。現代のロサンゼルスという設定にも関わらず、古い映画やその映画制作のスタイルにうなずいてしまうのです。だから哲学的にもデジタルで撮影することはできませんでした。しかし純粋に美学の面では、フィルムはとてもロマンチックで官能的です。私はデジタルで撮るラブストーリーには苦労するでしょう。

 

私たちは『ラ・ラ・ランド』をアナモフィック・フォーマットで撮影し、実際に色彩の彩度を上げて、フレームの全幅を使いながらそれが通常よりもさらにワイドになるようにしました。1950年代から1960年代にかけての、実際にはもう作られていない古いロードショーのミュージカルのような感じに戻そうとしたのです。

撮影監督リヌス・サンドグレン(FSF) Photo Credit: Dale Robinette

スケジューリングや予算編成など制作面ではどうでしょうか?フィルム撮影とデジタルの違いはありましたか?

 

私が作った最初の映画はおよそ6万ドルの費用がかかったのですが、フィルムで撮影しました。ですからフィルムが高額な予算の映画だけとは信じていませんし、またデジタルがいつもお金を節約してくれるとも思っていません。それが真実だとも考えていませんし、ほんの少しだけ混ざり合っていると思うのです。

 

正直に言うと、私は大半の物語はフィルムで撮った方が良いと思います。フィルムは依然として優れたメディアだと思います。デジタルは大きな進歩を遂げていて今後も進歩するでしょうが、フィルムが存在し、それが芸術的に何らかの意味を持っている限り、私はフィルムで撮影したいのです。『ラ・ラ・ランド』は最初から“フィルムで撮影するか、あるいは何も撮影しないか”のような感じでした。プロデューサーから制作スタジオまで、誰もがその決定に異論は無かったのです。

(2016年12月5日発信 Kodakウェブサイトより)

『ラ・ラ・ランド』

2月24日(金)全国ロードショー!
配給: ギャガ、ポニーキャニオン

​公式サイト: http://gaga.ne.jp/lalaland/

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