2017年 9月 11日 VOL.087

コダックのラージフォーマットフィルムで実現した、クリストファー・ノーラン監督作品『ダンケルク』のIMAXと65mmフィルム撮影

映画『ダンケルク』の主人公トミーを演じるフィオン・ホワイトヘッド  Copyright: © 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED Photo Credit: Melinda Sue Gordon

1940年5月26日、連合軍の「ダイナモ作戦」が決行されようとしていました。「フランスの戦い」(ナチス・ドイツのフランス侵攻)での敗北の後、大勢の英国、フランス、ベルギー、カナダの兵士はドイツ軍によってダンケルクの海岸と港に包囲されていました。

駆逐艦、商業船、トロール船、遊覧船、ヨットなど800隻の小型船団が、確実に迫る破滅から味方を救うという絶望的ともいえる試みのために急派されました。

クリストファー・ノーラン監督が脚本、共同プロデュース、監督を手掛けた『ダンケルク』は、338,000人の連合軍兵士の脱出という第2次世界大戦における重要な出来事を描きます。しかしこのワーナー・ブラザースによる映画は、単なる伝統的な戦争映画ではありません。陸、海、空の視点から現在進行形で描かれる、苛酷でサスペンスに満ちた生存劇は、コダックのラージフォーマットフィルムを用いてIMAX(65mm 15パーフォレーション)と65mm(5パーフォレーション)で撮影されました。

シネマトグラファーのホイテ・ヴァン・ホイテマ(FSF、NSC、ASC)はこう説明します。「クリストファーの脚本を最初に読んだ時、この映画はよくある残忍な戦争映画ではないという点に強く惹かれました。代わりに目指しているのは感動を呼ぶスペクタクルであり、その経験の悲惨さと、生存を望む人間の基本的な欲望を描こうとしています。クリストファーは可能な限り明瞭に物語を視覚的に語り、観客がまるで出来事が起こった現場に存在し、登場人物たちと同じように感じる作品にしたいと思っていました」

ヴァン・ホイテマは以前、ノーラン監督の下で『インターステラー』をコダックの65mmラージフォーマットフィルムによるIMAX撮影に35mmフィルムを組み合わせて撮影していました。しかし、今回『ダンケルク』は、細部とリアリティの描写に重点を置いて、大部分がIMAX撮影による作品として企画されました。

ファリア役を演じるトム・ハーディ  Copyright: © 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED Photo Credit: Melinda Sue Gordon

「クリストファーはフィルム支持者であり、『ダンケルク』は当然フィルムでのプロジェクトになりました」とヴァン・ホイテマは言います。「もし、ドラマチックかつ精密に、観客に実体験のように感じさせるような描写で視覚的な作品を作りたいと思うのなら、フィルムは依然として1番の選択肢と言えます。15パーフォのIMAXフィルムが持つ質の高さとリアリティはずば抜けたものです。私たちは『インターステラー』でたくさんのIMAXのフッテージを撮影していたので、『ダンケルク』も同じフォーマットを基本として進めるのが理にかなっていました」

 

結果として『ダンケルク』は、これまでのどのノーラン監督作品よりも多い、約75パーセントの部分がIMAXで撮影され、残りの部分は同じ65mmフィルムでの5パーフォ撮影でした。

「私たちはできる限り明瞭に物語を描きたかったのですが、IMAXカメラは現場では騒々しかったのです」とヴァン・ホイテマは振り返ります。「なので、できる限りIMAXを用いて撮影しましたが、会話のシーンでは次に良いフォーマットである65mm 5パーフォを用いました。これはとても実用的な決断でした。見てわかるとおり、IMAXカメラを船や飛行機に取り付けるには試行錯誤が必要でしたが、私たちは『インターステラー』で多少経験していましたので、今回のチャレンジも楽しんで行うことができました」

謎の英国兵を演じるキリアン・マーフィ  Copyright: © 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED Photo Credit: Melinda Sue Gordon

『ダンケルク』のメインキャストを演じたのはフィオン・ホワイトヘッド、ケネス・ブラナー、ジャック・ロウデン、ハリー・スタイルズ、キリアン・マーフィ、マーク・ライランスそしてトム・ハーディです。コダックのラージフォーマットフィルムを用いた撮影は、6,000人のエキストラと共にダンケルクにて2016年5月23日に始まりました。ノーラン監督とヴァン・ホイテマは本作を、その場の自然光を用いてできる限りインカメラで撮影することに決めていて、その結果、後のVFXのためにフィルムをスキャンすることを避け、画質の劣化を回避しました。実際、これにより、海岸に広がる大規模な軍隊のイリュージョンを作り上げるため、兵士や軍用車などのダミーが用意されました。

撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマと監督兼プロデューサーのクリストファー・ノーランおよび撮影クルー  © 2016 Warner Bros. Entertainment Inc., Ratpac-Dune Entertainment LLC and Ratpac Entertainment, LLC.

75日に及ぶ撮影の間、海戦シーンはオランダの内陸湖、アイセル湖で撮影され、その後、空中戦のシーンはドーセット海岸にあるウェーマスとスワネージで撮影されました。ワーナー・ブラザースのステージ16の水槽と、ロサンゼルスにあるユニバーサル・ピクチャーズのフォールズ・レイクを用いて船が沈むシーンの屋内および屋外撮影が行われました。(撮影の間、ヴァン・ホイテマとノーラン監督は、2017年末に公開予定のコダック65mmフィルムを用いて撮影された『オリエント急行殺人事件』の出演と監督を務め、当時撮影準備中であったブラナーと、ラージフォーマットでの撮影について話をしたとのことです)。

クリストファー・ノーラン監督とケネス・ブラナー  © 2016 Warner Bros. Entertainment Inc., Ratpac-Dune Entertainment LLC and Ratpac Entertainment, LLC.

ラージフォーマットのフィルムが持つ画像の明瞭さと共に、その劇的な脱出劇に巻き込まれた人々の個人的な情緒や感情を描くため、ノーラン監督はドキュメンタリーのカメラスタイルを採用しました。これにより、ヴァン・ホイテマはIMAXと65mmフィルムのカメラを担いで撮影することとなりました。

「芸術的な観点から言えば、手持ちカメラのスタイルは素晴らしい選択だと思いました」とヴァン・ホイテマは言います。「実用的な視点から言うと、IMAXと65mmフィルムカメラは大きくて重いのですが、実際に担がなくてはいけない時間はわずかだと分かっていました。現場では、撮影の間、カメラを持ち上げて支えてくれる私のドリー・グリップであるライアン・モンローとの共生関係を築き上げました。海の上で船から船へと移り変わりながら撮影した際には、ライアンと私は安全のためデッキへ縛り付けられていました。私たちはバランスをうまく取りながら、素晴らしいチームワークを発揮しました。

水中で撮影した際、IMAXカメラとハウジングは水面下ではほとんど重さを感じませんでした。ある程度カメラと一緒に泳げますし、とても容易に操作することができます。ですので結局、手持ちカメラでの撮影は、実際にはそれほど無茶なことではなかったのです」

左からアレックス役のハリー・スタイルズ、ギブソン役のアナイリン・バーナード、トミー役のフィオン・ホワイトヘッド  Copyright: © 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED Photo Credit: Courtesy of Warner Bros. Pictures

ヴァン・ホイテマは、コダックのVISION3 250DとVISION3 500Tのカラーネガティブフィルムを選択しました。「250Dは非常に便利なフィルムで、撮影の多くの部分に使用しました。その感度のおかげで、私たちは日中の曇りの海岸でも、またマジックアワーの間もずっと撮影することが出来ました。色の再現も素晴らしく、その幅広いダイナミックレンジによって、同じフレームの中で極端に明るい部分と暗い部分の両方を扱うことができます」

「500Tはタングステン照明と共に夜間シーンの撮影に用いました。視覚的に250Dと同様の“ルック”を持っており、両者はとてもよく馴染みました。15パーフォのIMAXと5パーフォの 65mmフィルムでの撮影は、他では得られない豊かで純度の高い画を撮影することができました」

クリストファー・ノーラン監督とケネス・ブラナー  © 2016 Warner Bros. Entertainment Inc., Ratpac-Dune Entertainment LLC and Ratpac Entertainment, LLC.

フィルムの現像はロサンゼルスのフォトケム社で行われ、ヴァン・ホイテマはシニア カラータイマーのダン・ マスカレラと連携して従来のカラータイミングを行いました。『ダンケルク』では可能な限り、伝統的なフィルムのポストプロダクションを用いました。

「私たちが撮影したフォーマットは最高の品質をもたらしました。私は全ての納品形式において色調を監督しました」とヴァン・ホイテマは言います。納品形式には15パーフォの IMAXと5パーフォのアナログ70ミリフィルムプリント、IMAXレーザー用のマスターと標準的なDCPが含まれています。

主演のフィオン・ホワイトヘッド  Copyright: © 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED Photo Credit: Melinda Sue Gordon

「クリストファーと私のお気に入りはアナログのフィルムプリント版です」と彼は言います。** 「フィルムプリントは申し分のない品質と豊かな画像と共に、視覚的で感動的な衝撃をもたらします。納品形式によりますが、できる限り品質と一貫性を保つため、選択されたIMAXと65mmのフッテージでは光学的な縮小またはブローアップを用いています。全てのアナログのプリント工程は比類のないものです。プリント版の制作にはわずか2週間しかかかりませんでした。フィルムと同じように感じられるデジタル版の制作は、骨の折れる工程を必要しましたが、全ての納品形式は素晴らしい出来に仕上がりました」

 

ヴァン・ホイテマはこう締めくくります。「フィルムは現在、これまでになく素晴らしいものになっています。特にフィルムに代わるものが無い状況で、フィルムが消えてしまうことがないよう望んでいます。ありがたいことに、その素晴らしいフィルムのサポートにおいてコダックは新たな安定を確立し、フィルムの供給やフィルムラボの新設において、多くのポジティブな動きを実現させています。これらすべての新しい展開により、ようやく不安を抱く発言や“デジタル対アナログ”という全く無意味な議論から脱却して市場自体が安定を見せています。より多くの人がフィルムの価値と美しさを認識しつつあり、今、私たちはフィルムの持続性に確信を持っています」

現在、世界の映画制作で用いられている2種類のラージフォーマットには、どちらも同じコダックの65mmフィルムを使用します。

・65mmフィルム撮影では、65mmフィルムを垂直方向に走行させて撮影し、高さ5パーフォレーション分のフィルムで画像を構成し、アスペクト比は2.2:1となります。


・IMAXフィルム撮影では同じコダックの65mmフィルムを用いますが、65mmフィルムを水平方向に走行させて撮影し、幅15パーフォレーション分のフィルムで画像を構成し、アスペクト比は1.43:1となります。

 

**『ダンケルク』の世界公開に当たり、世界で少なくとも120本の5パーフォレーションの70mmフィルム プリントと、35本のIMAXフィルム プリントが製作されました。

(2017年7月13日発信 Kodakウェブサイトより)

『ダンケルク』

 原題   : Dunkirk
 製作国  : アメリカ

 配給   : ワーナー・ブラザース映画

 公式サイト: http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/

 予告編

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