2013年8月16日 VOL.023

約40%をIMAXで撮影

『スター・トレック イントゥ・ダークネス』

 

2013年夏公開のSFアクション超大作、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(配給:パラマウント ピクチャーズジャパン)。 J・J・エイブラムス監督は、『M:i:III』、ならびに『スター・トレック』(2009)に続き、撮影監督ダン・ミンデル氏(ASC, BSC)とタッグを組みました。ミンデル氏は、『エネミー・オブ・アメリカ』、『スパイ・ゲーム』など、リドリー・スコット、トニー・スコット両監督の作品に多く携わっているキャメラマンです。

 

Dan Mindel on the set of STAR TREK INTO DARKNESS, from Paramount Pictures and Skydance Productions. (Photo: Jaimie Trueblood)

ミンデル氏は、本作のような空想的な物語こそフィルムに定着されるべきだと考えています。「私たちはストーリーを語る上で連続性が保たれるよう、撮影プロセスにおいて出来る限り誠実であると同時に、このようなコンピュータグラフィックス(CG)に頼る部分が大きい作品の場合でも有機的な要素を採り入れるよう努めています。例えばVFXを請け負うILM社に素材を1コマ提供するのならば、私はフィルム撮影したフレームにします。それが作品のルックと質感に繋がるからです。一緒に仕事をするILMのスタッフもこれに共感してくれています」

 

エイブラムス監督からオファーを受けた時、ミンデル氏はできる限り高品質のフォーマットで撮影したいと伝えました。

 

ミンデル氏はこう振り返ります。「デジタルカメラのテスト結果も良かったんですが、フィルム撮影したものをスクリーンに上映すると比較になりませんでした。棒焼きの映像でさえ、他にはないフィルム特有の質感とフィーリングが認識できるんです。私たちは、フィルムという技術を最大限に生かせる時期に達したのだと感じています」

 

そうしてミンデル氏は、通常の35mmフレームの約10倍の撮像サイズを持つ15パーフォレーションのIMAXで本作の約40%を撮影しました。USSエンタープライズの船外のシーンはほぼ全編がIMAXで撮影され、キャメラは通常、移動しやすいようにテクノクレーンにマウントされました。一部のシーンでは、65mm 8パーフォも使用されています。劇映画でIMAXを使用するにあたり、エイブラムス監督とミンデル氏は、先駆者である『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督とウォーリー・フィスター撮影監督の切り拓いた道を辿りました。そして実際に彼らに助言を求め、背中を押されたということです。

 

「IMAXでの撮影は最高でした。驚異的な映像です。私たちは映画館で毎日ラッシュを観ました」

 

完成した作品では、正方形に近いIMAXのフレーム中央部分からワイドスクリーン2.35:1のアナモフィック画像が抽出されインターカットされました。「そのイメージは色空間が非常に素晴らしいので、彩度が過飽和状態になります」と、ミンデル氏が語ります。「フィルムがまさにイメージを吸い込んだかのようです。その映写を見ると、非常にソフトで色がとても深い。その映像には圧倒されます。最高の映像手法ですね」

 

ユニークなロケ地で生かされたフィルムの強み

ロケ地にはカリフォルニアのユニークなロケーションが選ばれました。パイク提督の葬儀シーンやスター・フリート司令本部には、ガーデングローブにある巨大なガラス張りの礼拝堂“クリスタル・カテドラル”が使われました。また、ロサンゼルスのゲティ美術館もロケ地として使用されています。荒廃した惑星のシーンには、カルバーシティにあるソニースタジオ内に、1500個という膨大な数のコンピュータ制御されたパーライトを設置したステージを使用しました。また、(最先端科学技術の開発・利用による防衛力強化を使命とする米国エネルギー省所管の)ローレンス・リバモア国立研究所でも撮影が行われましたが、ここでは室温を変化させてしまう照明機材の持ち込みが制限されてしまいました。

 

(Left to right) Zachary Quinto is Spock, Benedict Cumberbatch is John Harrison and Chris Pine is Kirk in STAR TREK INTO DARKNESS, from Paramount Pictures and Skydance Productions. (Photo: Zade Rosenthal)

「リバモア研究所では照明が極端に限られました。でも、目で見た感じでコダック VISION3 500T 5219なら大丈夫だろうと判断しました。メーターがなくても自分の目で見えるものは、このストックなら捉えられると分かっているんです。5219は信じられないほど素晴らしいストックで、とてもシンプルに撮影をすることができました」

 

屋外のシーン等、光量が十分に得られるシーンではコダック VISION3 200T 5213が使われました。

 

USSエンタープライズの艦内は、ミンデル氏曰く“アップルストア並みに”クリーンで鮮明なルックに仕上げられました。前作のルックで特徴的だったフレアは本作では抑えられ、一方で映像の真実味を高めるため、作品全編を通して弱めのブラック プロミスト フィルターが使用されています。「フレアが起きていない状況でも、レンズにハレーションを起こすためにフィルターを使いました。異なる光の環境下に移動した時に人間の目が感じるようなハレーションを再現したかったのです」

 

IMAXキャメラ用のハッセルブラッドの各レンズは焦点距離が短めのものが選択されています。35mmアナモのシーンでは、ミンデル氏の使い慣れたPanavisionのCシリーズとEシリーズ、ならびに、ATZとAWZ-2、Primoの各種アナモレンズが使用されています。35mmアナモ映像を好むことで知られるミンデル氏は、お気に入りのPanavisionアナモレンズのシリアル番号を記憶していて、各レンズがどのように被写体を描写するのかを把握しています。

 

「アナモレンズで見ると視野が非常に広くなり、私にはそれがとても自然で人間らしく感じられます。私たちが使う30~40年前のレンズのガラスは人間の手でカットされたもので、ある意味“不完全”なんです。それに光線が透過するとき、想像もできないことが起こります。計算できないマジックが生まれるわけですが、私はそれが大好きなんです。こういったレンズは、私たちがイリュージョンを売るために使う商売道具の一つです」

 

デジタルインターメディエイト(DI)作業はCompany 3の代表取締役で創始者でもあるステファン・ソネンフェルド氏が担当しています。「彼とはトニー・スコット監督の『スパイ・ゲーム』で初めて出会い、DIの初期的なことを共に試みてきました。今となってはDIは映画制作のスタンダードで、私自身DIなしには考えられません。DIでは信じられないくらいのラチチュードを引き出せますが、一方で慎重に使用するよう心がけています。本作のグレーディングは約1週間で完了しました」

 

現在、ミンデル氏は『アメイジング・スパイダーマン2』(マーク・ウェブ監督)を撮影中で、「監督から声がかかったのは、前回デジタル撮影された『アメイジング・スパイダーマン』を今回はフィルム撮影に戻したいという理由からでした。監督は私の『スター・トレック』のルックを気に入ってくれたんです。撮影は順調です」と語っています。

 

*本稿は2013年5月17日にコダックのウェブサイトに掲載された記事を翻訳編集したものです。

 

エイブラムス監督「フィルムは最高品質のスタンダード」

2013年6月に開催された全米製作者組合(PGA)主催のカンファレンスで登壇したJ・J・エイブラムス監督は、フィルムを使用した映画制作について次のように述べました。 「映画制作において私にはフィルムが一番違和感がないんです。デジタルはフィルムに追いつこうとしていますが、フィルムがもし無くなるようなことがあれば、それは最高品質のスタンダードが失われるということです。

 

JJ Abrams (Photo by Todd Williamson/Invision for Producers Guild/AP Images) 

本作では、前作とのルックの統一感を求めていたのと同時に、CGが多用される中でできる限り温かみや人間味のあるアナログ感が感じられることが重要でした。映画を見た多くの方は気付かないことだと思いますが、皆さんが思う以上に実は重要なことだと私は考えています」

 

『スター・トレック イントゥ・ダークネス』は、8/16(金)、8/17(土)、8/18(日)にお盆先行公開(一部劇場を除く)。 そして、8/23(金)より全国ロードショーとなります。“トレッキー”ことスター・トレックファンの方も、初めてスター・トレックをご覧になる方も、最高に楽しめるこの夏の大本命をぜひ映画館でご覧ください!

 

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