2014年12月26日 VOL.035

ダブル-X(白黒ネガ)で撮影されたポール・マッカトニーの最新ミュージック・ビデオ『Early Days』

 

ポール・マッカートニーの最新ミュージックビデオ『Early Days』は、そのタイトルからエド・サリバン ショーやアメリカン・バンドスタンドでのビートルズのノスタルジックなモンタージュを想像するかも知れませんが、そうではありません。このビデオでは先人たちへの回帰、異なる人生の記憶をたどる旅、他のミュージシャンの経験などが描かれています。監督はヴィンス・ヘイコック、撮影はエヴァン・プロソフスキーが務めました。

 

史上最も成功した世界的な作曲家、演奏家の一人であるポール・マッカートニーは、ジョン・レノンとともにミュージシャン志望だった彼が、より過去の時代へ抱いたノスタルジアを表現するビデオを望みました。そこでヘイコックは、「ミシシッピーデルタのブルースに囲まれた、ビートルズに非常に影響を与えた時代設定で、若い音楽家がお互いに見出す魂や刺激」を描き出す作品創りをひらめきます。

 

「ポール・マッカートニーと云えども、今日の他のミュージックビデオと同じく、予算と格闘している」とプロソフスキーは述べています。

ハンコックとプロソフスキーは、1940年代を感じさせるような作品をどのように創りたいか議論しました。チームにとっての明白な選択肢は白黒フィルムでした。

 

「私たちはラファーティ-の『Build Me Up』やラナ・デル・レイのミュージックビデオを撮影した実績があります。ですから、創り上げたいルックを達成できる自信がありましたし、ヴィンスもそれを気に入ると判っていました。さらに白黒フィルムだと、他のメディアでは再現することのできない特徴を付け加えることもできると知っています。ハイライトの柔らかな輝き、ゲートのフレアは驚くほど美しいのです」

 

プロソフスキーはHawkの古いCシリーズのアナモフィックレンズとイーストマン ダブル-X 白黒ネガティブ フィルム 5222で撮影しました。スケジュールが合わなかったため、プロソフスキーはグレーディングに参加できませんでしたが、「後処理が最小限の調整で済むような“足跡”をネガに残しておきました」と語っています。

 

彼らは、ステディカムにARRICAM LT、手持ちにはARRICAM STを使用して撮影しました。50mmと75mmレンズを主に使っています。ライティングの予算が厳しかったため、シーンに応じて、そして夜の野外を1から2絞りアンダーで露光しました。

 

「3絞りアンダーまで試みました。もしオーバー露光するとダブル-Xはハイライトがすぐに粗くなることが判ったからです。さらに奇妙なことに1か2絞りのアンダー露光ではほとんど粒子が増えることなく、美しいコントラストの落ち込みを伴って非常にうまく反応するのです」

 

ミシシッピーの撮影ではプロの役者ではない近所で雇った人々と仕事をしていたので、プロソフスキーとクルーにとってアンダー撮影は重要なことでした。

 

「さらに5222は、硬い光や単一光源のライティングで非常によく機能しました。2キロの照射、あるいはいくつかの窓をふさいでただ撮影するということは新鮮なものでした。また、常に全周360度近くまで撮影することがヴィンスと私にとって重要でした。したがって少ないクルーと機材や照明、素早い進行が、私たちの“役者”をハッピーにし、非常に実りあるものにしたのです」とプロソフスキーは語っています。

ほとんどの場合、プロソフスキーは彼自身の操作によるステディカムのAカメラオペレーターとして主要な部門責任者たちのクルーと協働しました。大掛かりなセットアップはマッカートニーの演奏と“若きビートルズ”の演奏のみでした。プロソフスキーとガファーのボビー・ウォザースプーンは、窓を通した2つのARRI M90と4バンクのキノフロをこれらのシーンに使いました。

 

さらにプロソフスキーは、こう振り返っています。「視覚的に何も見えないスモーキーなバーのシーンで、ポール・マッカートニーを完全にバックライトの中に置いたことは、これまでで最も恐ろしいことの一つです。しかしヴィンスは、平然とそれをやってみようと言いました。結局これは、ひとつのニュアンスを加えることになったと思います。黒はスモーキーで非現実的で、ポールは演奏中、窓から射す光を顔に受けて輝いています。その効果は非常に力強いと思います」

 

彼らはNtropicのアーノルド・ローマンとタイミングについて話し合い、そこのスピリット フィルム スキャナーで2Kのテレシネを行いました。

 

「私たちはアーノルドの驚くべき手腕を得たことに感謝しました。彼はフィルムを掛けながら行うグレーディングの美しさと、その作業の間、ネガの持つ情報にできるだけ多くアクセスすることについて情熱的に語っていました。彼は映像を見ながら基本的なセットアップを行い、そしてテレシネを“乗りこなす”のです。ネガのフル ダイナミックレンジを使うよう再生し収録しました。ヴィンスとアーノルドは常に全てのショットで白と黒をひときわ際立たせる銀に気持ちを集中させつつも、できる限り自然なルックを維持しようとしました。古いアナモフィックレンズの不完全さと白黒フィルムがぶつかり合う美しい瞬間を見つけることは、信じられないほど素晴らしいものでした。その組み合わせから得られた結果にはこれ以上の喜びはありません」

 

(2014年11月25日発行 Kodakウェブサイト掲載記事 より)

 

 撮影情報  (敬称略)

撮   影: エヴァン・プロソフスキー

 

キャメラ&レンズ:
Arricam LT, Hawk C-Series Lenses
Arricam ST, Hawk C-Series Lenses

フィルム:

イーストマン ダブル-X ネガティブ フィルム 5222

 

Paul McCartney 'Early Days'
YouTube公式チャンネルより

 

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