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2015年10月13日 VOL.038

世界のラボ紹介

シネラボ・ロンドン&ビジョン・グローバル

コダックユーザーのみなさま、いつも大変お世話になっております。

しばらくお休みしておりましたメールマガジンを再開いたします。コダック映画用フィルムおよび関連製品に関する情報や使用作品を幅広くご紹介してまいりますのでよろしくお願いいたします。

 

さて、コダック社では世界の映画フィルム専門ラボをご紹介する「SPOTLIGHT ON LABS」というシリーズ企画をウェブや機関誌で展開しています。今号では、昨年10月に配信された記事の翻訳をお届けします。

 シネラボ・ロンドン

2013年6月、エドリアン・ブル氏とジョン・マータニ氏は、37年間稼働していた現像所を買収しました。将来を見据えた時、ロンドン市場でのフルサービスのフィルム施設の必要性を見出し、彼らは躊躇なくその現像所を“シネラボ”と再ブランド化しました。

彼らのミッションは、UKとヨーロッパのコンテンツ クリエーターがクリエィティブの選択肢として自信を持ってフィルムを選択できるように、高品質で信頼性のあるフィルム現像サービス、そして強化されたデジタルサービスを提供することです。

 

現在、シネラボ・ロンドンは繁盛し、フィルムの顧客に完結したサービスを提供するよう拡張しています。「我々が買収したものは予告編に特化した純粋なフォトケミカルの現像所でした」とマネージング ディレクターを兼ねるブル氏は語っています。

 

「我々は生き残るためにビジネスを再考し、再投資する必要があることが判っていました。コマーシャルや劇映画、ハイエンドのTVドラマに我々のサービスを拡張することが最初のステップで、そしてそれを超えるには、我々は要望通りのフィルムの入出力を可能にするデジタルサービスを提供する必要がありました。

我々のゴールは、フィルムで撮影した誰もが、フィルムがカメラから離れた瞬間、我々に持ち込め、他のどこにも行く必要がないとうことです」ブル氏は続けます。

 

「お客様は、全てのポストプロダクション、配信のワークフローにおける資産を我々に委任されます。その資産はセキュリティと品質の観点からかけがえのないものなのです。

最初に我々がしたことは、SPIRIT HDテレシネの設置と専任のシニア テレシネ カラリストを置くことでした。そしてフィルムレコーディングの能力を拡張し始めました。現在では、1台のARRILASER 2 を含む5台のARRILASERを所有しています。そしてデジタルシネマのマスタリングサービス、最近SPIRIT 2Kテレシネ、ARRISCANNERも導入しました」

 

サービスのメニュー、機材が拡大するのに加えて、シネラボ・ロンドンでは従業員も増員しました。「常勤の従業員を29名まで増やし、数名のキー、シニアレベルの人材、スタッフを育てました」とCFOであるマータニ氏は付け加えます。「我々は、シニア カラリストのポール・ディーン、営業部長のデビッド・ウェブを含め非常に強いチームです。我々は自らの仕事に非常に革新的な手法でアプローチしており、シネラボはUK唯一のフルサービス現像所として誇れるものです」

シネラボで最近請け負ったプロジェクトには、ヘレナ・ボナム・カーター、キャリー・ムリガン、メリル・ストリープ主演の近日公開予定の劇映画 『Suffragette』があります。

 

シネラボの長期ビジネスプランの他の重要なコンポーネントには、アーカイブ、デジタル化、リマスタリング、修復があります。

「フィルムの素晴らしい点の一つは、30年前我々はSDでリマスタリングし、10年前HDで、そして今は2K、4Kということです」とブル氏は指摘します。「そしてそれらすべてに共通することはフィルムです。それは何年も前に撮影された同じ一片のフィルムで、繰り返しそこに戻っているのです。時の試練に耐えていて、そこに内在する解像度は今日の高解像度の要求を支えるものです」

シネラボ・ロンドンは最近、長い間不明であった二つのピーター・セラーズの作品『Insomnia Is Good for You』と『Dearth of a Salesman』をデジタルシネマにリマスタリングしました。「我々は多くのケアが必要な非常に著名な作品をリマスタリングしています。

我々のARRISCANNERは4Kのウェットゲート スキャニングの機能をもっています。大量の資産のデジタル化は我々の新しいサービスでもあります。我々はより集約的で高額のリマスタリングとフィルム ライブラリの修復に入る前に、お客様が資産の詳細をレビューできるようプロキシを作成しています」

 

「シネラボでは幸運にも毎日フィルムを目にしています。我々がしばしば目にすることが、非常に特殊なことなのです」とマータニ氏は締めくくります。「デジタルで撮影されたコンテンツに同じことを感じることは稀でしょう。フィルムには有機的な感覚、無視することができない感性があります。しかし、結局のところは選択なのです。シネラボはあらゆるジャンルで仕事をしているロンドンのフィルムメーカーにその選択肢を提供するために存在します。我々はお客様がオプションを持てるようフィルムのサービスを継続します。それは極めて重要なことなのです」

 

【シネラボ・ロンドン】
http://www.cinelab.co.uk/

 ビジョン・グローバル

カナダ・モントリオールを本拠とするビジョン・グローバル社のオペレーション部長、ポール・ディオン氏はこう述べています。「DI(デジタル インターメディエイト)とビデオ サービスに加え、我々が東部カナダで唯一35mmのサービスを持つ現像所であること、定期的なプロフェッショナル作品を継続する能力を持っていること、を業界に知ってもらいたいと思います。

クライアントはケベック、トロント、カナダ東部の州からやってきます。ケベックのフィルム業界は、通常彼らに年間3作品を供給しており、最近の例ではシネマトグラファーのアンドレ・ターピンが撮影した『Endorphine』の前後篇、2014年のカンヌ映画祭で審査員賞を受賞したザビエル・ドラン監督の『Mommy マミー』、同じくカンヌで上映されたステファン・ラフラーの『Tu dors Nicole』などがあります。また『シャドウハンター』に続き、トロントを拠点とするソニーピクチャーズの劇映画制作が今秋に計画されています。

 

ビジョン・グローバルは海外で撮影する劇映画にもサービスを提供しており、中でも注目すべきはルワンダ大虐殺の間を描いたカナダの劇映画『Un dimanche a Kigaki』で、ビジョン・グローバルで現像するためにフィルムをベルギー経由で送りました。

 

当現像所はモントリオールのTVショーと変換のためのネガ現像サービス行う現像所として14年前に創業しました。その後、16mmと35mmのカラーネガ現像、35mmプリントと光学サウンドトラックの仕上げを含む現像所サービスの完結した環境として拡張しました。フィルムとテレビに幅広いサービスを提供するカナダ最大の企業、巨大なビジョン・グローバル コンプレックスの一員でもあります。

 

ビジョン・グローバルのターンキーなオペレーションは、カメラ・機材のレンタル、スタジオ・メルズの18ステージ、ポストプロダクション、フィルムライト社のBASELIGHTによるカラーグレーディングとDI、VFXと3Dアニメーション、2Dからステレオ3Dへの変換、そしてアセットマネージメントと配信に至ります。

 

ビジョン・グローバルのフィルム修復部門では、世界中のクライアントからの需要があります。ビジョン・グローバル独自のデジタル映像修復技術であるGENESYS 2K、アリ社の4Kスキャナーとレーザーレコーダーを組み合わせ、メキシコの国立アーカイブ、ブルース・リー作品の中国版目録、その他のプロジェクトに向けた新しいネガを作っています。

 

また、コンプレックス全体と光ファイバーで結ばれたLTOのロボテックス システムを備えた顧客の収蔵庫も維持しています。

ディオン氏はコダック イメージケア プログラムの認定が、プロフェッショナルのラボとして期待される品質を提供することをクライアントに確信させるために重要な役割を担ったことを付け加えました。

 

「認定は我々が責任を持ち信頼されるサービスであることを伝えています」

 

ビジョン グローバルはまた、ケベックを拠点とするプロダクションにコダックの映画用フィルムを供給しています。

 

「21世紀を生き抜くには一つの現像所以上ではければなりません」とディオン氏は説明します。「プロデューサーに対してはワンストップの施設を形成するサービスの環の部分でなければなりません。我々が会うプロダクションすべては、撮影段階にしろ、完成品としても一定の量のフィルムが必要です。つまり、もしフィルムがなければ何かを失うのです。そしてそれは下請けや外注に出すようなサービスではありません」

 

ディオン氏は、カラリストが今もなおその独特のルックをもたらすフィルムを高く評価していると指摘しています。「フィルムで撮影するどの作品もフィルム自身が内在する特性を持ち、カラリストは私にそれらを見つけるために深く掘り下げなくてよいと言います。フィルムはグレーディングの部屋で物語を生き生きとし、輝かせることをカラリストに容易にさせるのです」

 

ディオン氏はまた、保存と修復のためのフィルム オリジナルの重要性に言及しました。「将来修復が必要な時が来ても、もしフィルムで撮影されていたらプロデューサーはありがたく思うでしょう。それをスキャンすれば、スクリーンで映像の色彩や素晴らしいテクスチャーのすべてを得るのです。デジタルの世界では留めるのが困難な何かを」

 

ビジョン・グローバルの現像所はフィルムスクールのお客様でも繁盛しています。ディオン氏は次世代の若いフィルムメーカーが、彼らのメディア選択の一部としてフィルム制作していることを前向きに見ています。「彼らはフィルムを含むすべてのメディアを熱心に活用しています。学生たちは何がフィルムに適しているのかを見分ける良いセンスが頭の中にあります。そして我々は彼らをサポートしています」と結びました。

 

【ビジョン・グローバル(現 MELS)】 
http://mels-studios.com/en/

※ビジョン・グローバル社は2015年8月26日にMELSに再ブランド化されました。

 

(2014年10月8日発信 IN CAMERA より)

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