2016年2月15日 VOL.049
映画『スティーブ・ジョブズ』
歴史上の偉大な技術革新を起こした
ジョブズとイーストマンの共通性
Photo Credit: François Duhamel (Copyright: ⓒ2015 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.)
ほぼ間違いなく、“写真”の発展以上に、この世界の見方や物語を語る方法を変えたものはないでしょう。コダックの創始者ジョージ・イーストマン以上にカメラやフィルムの使いやすさを広めることに多大な影響を及ぼした人物はいません。ロールフィルムが登場する以前は、経済的余裕のある限られた人々だけしか個人的な写真を楽しむことができませんでした。かつてジョージ・イーストマンは、「写真を日常的なごくありふれたものにし、カメラを鉛筆なみの便利な道具に生まれ変わらせたい」と述べています。
イーストマンが語った写真の利便性は、iPhoneの出現により、彼の想像をはるかに超越するほど発展しました。誰もがスナップ写真を撮れ、編集し、ほんの数秒で共有できるツールを開発したのがスティーブ・ジョブズです。2014年の統計では、毎日18億枚以上の画像がフェイスブック、インスタグラム、スナップチャット、ワッツアップなどにアップロードされ、ユーザー間で共有されています。iPhoneは近代における写真革命を過熱させました。
ジョージ・イーストマン
ちょうど100年離れて誕生したジョブズ(1955年生まれ)とイーストマン(1854年生まれ)は、共に落第生でした。イーストマンは、卒業証書をもらう前に高校を去り、ジョブズは大学を中退しています。しかし、二人が人類に残した遺産は素晴らしいもので、特に両者が20代の頃に成し得た偉大な功績には目を見張るものがあります。以下はそんな二人の類似点です。
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両者ともに自身の製品デザインに高い重要度を置きました。イーストマンは、“工業デザインの部長”として歴史的に名を残しているウォルター・ドーウィン・ティーグという人物を雇い入れました。一方、アップル社の工業デザインラボで多くの時間を過ごしたジョブズは、製品のデザインと開発に細かく指示を出したことで知られています。
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ジョブズとイーストマンは、世間の価値観を一変させるような革新的技術によって推進される包括的なビジネスモデルを築き上げました。コダックのフィルムはコダックのカメラで撮影され、コダックのラボで現像されることになります。同様に、iPodから始まりましたが、アップルのハードウェアに搭載されたアップルのソフトウェアからアップルのヘッドフォンを通して音楽が聴かれることになります。彼らはどちらも、製品を使用する体験の最初から最後までユーザーを取り込むシステムを創り上げたのです。
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彼らは文字通り、健康を害して動けなくなるまで働きました。
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両者とも、自分たちのブランドや製品のために懸命に闘った優れたマーケター(マーケティング担当者)でした。
彼らが成し遂げた仕事は科学、芸術、産業界に偉大な影響を及ぼし、それはこれから先も続いていくことでしょう。
ダニー・ボイル監督(左)と主演のマイケル・ファスベンダー
ⓒ2015 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
ダニー・ボイル監督と撮影監督アルウィン・カックラー(BSC)による映画『スティーブ・ジョブズ』は84年、88年、98年の3つの年代を描いた3部構成となっており、第1部は 16mm VISION3 500T 7219(スーパー16)、第2部は 35mm VISION3 500T 5219(3パーフォ)、第3部はデジタルで撮影され、最終的に 2K 2.35:1 の上映フォーマットにマスタリングされました。
(2015年10月19日発信 Kodakウェブサイトより)
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