2016年 7月 23日 VOL.054

穐山茂樹キャメラマン インタビュー
~フィルムらしい画を撮るためにフィルムで撮る~

CMでフィルム撮影にこだわりを持っておられるキャメラマンのお一人の穐山茂樹氏。そんな穐山キャメラマンにフィルムをどのような考えで選択されるのか、またご自身のフィルム撮影の想いなどのお話を伺いました。

 PROFILE  (敬称略)

穐山 茂樹

あきやま しげき

 

1975年 静岡県に生まれる

1994年 上京

1999年 三隅研二氏・岡崎俊彦氏に師事

2002年 竹内スグル氏、瀧本幹也氏、辻佐織氏のチーフアシスタントを兼任

2005年 デビュー

 

ー フィルムを選択される理由はなんでしょうか?

 

穐山C:ずっとフィルムの現場で育ってきましたのでフィルムで撮るのが当たり前だと思っていました。本来僕たちの世代はデジタルでもっと新しいものを作るべきなんだとは判っていますが、単純に“フィルムの質感が好き”ということなんです。昔、先輩たちも皆普通に35mmで撮っていてそれが当たり前だったんですけど、結構フィルムっぽくない画をフィルムで撮っていて、フィルムの良さが意外と判らないくらいの状況になっていたと思うんですよ。だから逆に僕は“フィルムらしい画”を撮るためにフィルムで撮っています。フィルムで撮らせてもらうということは、フィルムの個性を生かしてフィルムらしい画を撮るということだと思うんです。まあプリントまで取らせてもらって、それをポジテレしているので、実際そのようにはなるんですけど。でも最近はフィルムで撮ったかそうでなかったのかが判りやすい画が増えていると思います。そのような画を求められることもよくありますから。

 

フィルム撮影の現場とデジタル撮影の現場での違いは?

 

穐山C:やっぱりモニタリングするかしないかですかね。それはライティングにおいては大きな違いですね。照明部とのコミュニケーションの取り方も違うし、助手もフィルムの場合は昔ながらのメーターで撮るというスタイルになるわけだけど、デジタルではチーフが測って何倍って言っても、「見た目でこれでいいじゃない」ってね。だから全然違いますかね。

 

フィルムとデジタルのコストについてはどう思われますか?

 

穐山C:僕は、フィルムとデジタルの割合は半々ぐらいなんですが、デジタルだからコストが安いとはあまり感じません。確かにフィルムや現像などのコストは以前より上がっているとは思いますが、アレクサを使ってもそんなに安くならないと思うんですよ。ビデオエンジニアという今までになかった存在が撮影部に加わりますし、撮影機材もデジタルには高いものもありますから。だから、照明とか特機とかを含めてコストをきちんと管理すれば、フィルムでやらせてもらえることは多いと思います。

 

例えば、照明技師が僕のオーダーに対して少し多めに照明を持っていかなければと考えたりする場合には話し合って減らしていったり、コマーシャルの撮影だと取りあえずパンサーを頼むというのがありますが、そういうところを考え直して、三脚か移動車でいいんじゃないかとか…。パンサーでも数十万円するわけだから、それをやめればフィルム代にはなるわけですし。全部揃えるっていうことをあきらめるわけではないですが、取捨選択をする場合、プライオリティーをフィルムにすれば、ローバジェットになってもできないことはないと思います。

 

それがフィルム撮影を実現できる要因ですね?

 

穐山C:キャメラマンとしてのコスト管理だと思います。やっぱり他のものを捨ててでも“フィルムが一番欲しい”と思うということですよね。フィルム撮影をすることを前提で、僕が口を出せる範囲で照明や特機、撮影機材などのコストについては常に打ち合わせ段階でコミュニケーションを取っています。

 

どのような作品の場合にフィルムを選択されますか?

 

穐山C:そうですね、フィルムらしさが受け入れられる作品、例えばストーリーものだったりとか、抒情的なルックが求められたりする作品がフィルム撮りを許されるような気がします。

※以下、画像クリックでCM視聴サイトへ(リンク先が消去されている場合はご容赦ください)

最近フィルム撮影された作品で気に入っている、あるいは印象に残っている作品はありますか?

 

穐山C:この間16mmで撮影した『ほっともっと 新生活TVCM』は面白かったですね。これ以上ないというこってりとした、濃厚なフィルムルックに仕上がったと思いますよ。それ以外だと、『チョコボール「大人3粒」篇』や、『やよい軒「決戦の日 厚切りカルビ焼肉定食」篇』も好きですね。『やよい軒』はシズルもありましたけど、今までで3本撮っています。それからフィルム撮影ではないですが、最近フィルムレコーディングも結構好きで、アレクサで撮ってプリントまで取るっていうやり方ですけど、『マウスコンピューター』もそのやり方でした。

仕上げはどうされていますか?

 

穐山C:通常フィルムでやる時は100%プリントまで取ります。ネガで撮影してプリントしてポジテレですね。「ネガでしかやらせてもらえないならやりません、アレクサでいいです」って言います(笑)。ネガテレシネはもう1年近くやってないんじゃないかな。ただこの間の16mmを使った『ほっともっと 新生活TVCM』はコストの問題もあってプリントを取らずに、正式なログテレシネではないですが、ログテレシネ風にやりました。

ポジテレシネはイマジカトーンが大体7割、8割くらいで、あとはコストとの兼ね合いもあるので、フィルムスキャンまでいかないところで収めるようにすることも、フィルム撮影を通せるひとつの理由にもなりますね。「ポジテレシネでフィニッシュするので今回はフィルムでやらせて下さい」っていうように(笑)。プリントしてからスキャンして、カラコレすればベストだとは思いますが、そうもいかないですから。

今後やりたいことはありますか?

 

穐山C:映画は楽しかったのでお声がかかればぜひやりたいですね。あとは、作品を一作品一作品大切に撮りたいです。

どうもありがとうございました。

 

(2016年6月取材)

 文中作品 (登場順)

プレナス

ほっともっと 新生活応援TVCM

制作:電通クリエィティブX

森永製菓

チョコボール 「大人は3粒」篇

制作:博報堂プロダクツ

プレナス

やよい軒 「決戦の日 厚切りカルビ定食」篇

制作:太陽企画

マウスコンピューター

企業 マウスと人と。

あるOLの場合/ある主婦の場合/あるサラリーマンの場合篇

制作:AOI Pro.

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