2016年 9月 11日 VOL.055

撮影監督ロマン・バシャノフ、
映画『スーサイド・スクワッド』の狙い

「フィルムで撮影することが作り手の技術を最高に保つ」
 

© 2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
Photo Credit: Clay Enos/ TM & (c) DC Comics

 

“スーサイド・スクワッド”は、刑務所での刑期減刑の代わりに、世界を不吉な脅威から救う暗黒の軍事作戦を実行するチャンスが与えられた、投獄中の極悪人とアンチヒーローたちで編成された特殊部隊。唯一の難点は彼らの贖罪のための一撃がメンバー全員を殺してしまうかもしれないこと・・・。

 

撮影監督 ロマン・バシャノフ
 

同名のDCコミックに基づく制作費1億7千5百万ドルのワーナー・ブラザース作品は、脚本・監督に『フューリー』のデビッド・エアーを迎え、ウィル・スミス、ジャレッド・レト、マーゴット・ロビー、ジョエル・キナマン、ビオラ・デイビス、ジェイ・コートニー、ジェイ・ヘルナンデス、アドウェール・アキノエ=アグバエ、アイク・バリンホルツ、スコット・イーストウッド、カーラ・デルビーニュら豪華キャストが共演。

 

『スーサイド・スクワッド』の撮影シーン
 

主要な撮影はロマン・バシャノフの指揮の下、2015年4月にトロントで始まり、続く5ヶ月間、パインウッドスタジオ内の複数のステージと周辺都市でのロケーションが行われました。エアー監督との3作品目になるこの若きロシアのシネマトグラファー(1980年モスクワ生まれ)は、同監督とこれまでに『エンド・オブ・ウォッチ』(2012年)、『フューリー』(2014年)でコラボし、『フューリー』では35mmアナモフィック撮影を行っています。 

 

© 2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
Photo Credit: Clay Enos/ TM & (c) DC Comics

 

「デビッドと私はとても親しくて、私たちが『フューリー』を完成させたすぐ後に、彼は『スーサイド・スクワッド』の話をしたのです。とはいえ、私はスーパーヒーロー映画を多く観ていないのですが、極悪人チームのキャラクター設定や彼らの関係性、その遍歴、危機、もろさ、それに戦いのアイデアが本当に好きになりました。

 

デビッドは『スーサイド・スクワッド』に伝統的手法を求めていて、それは物語とキャスト、そして人間的な事柄を守って集中することでした。視覚的にも私たちはオリジナルで作ることを求め、他のスーパーヒーロー映画を模倣することを避けました。私たち二人は『フューリー』のアナモフィックレンズによるフィルム撮影の成果が本当に好きで、正真正銘、本物の映画品質を創り上げるために、再び同じ組み合わせを用いたかったのです」

 

バシャノフはLAのパナビジョン社でGシリーズのアナモフィックレンズを選びました。彼曰く「このシリーズはとてもクリーンなレンズで、セルロイド(フィルム)の中の粒子と特有のテクスチャーを引き出すことに役立つだけでなく、至近距離での撮影にも優れています」

 

脚本・監督 デビッド・エアー

© 2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLCPhoto Credit: Clay Enos/ TM & (c) DC Comics
 

芸術的なビジュアルについてバシャノフは、最初の『ロッキー』(1976年、監督:ジョン・G・アビルドセン、撮影:ジェームズ・クレイブ)、及び『ランボー』(1982年、監督:テッド・コッチェフ、撮影:アンドリュー・ラズロ)の映画に、どちらもスーパーヒーローに焦点をあてながら、同時に人間的観点と共感を呼ぶところに影響を受けたと言っています。彼はこの作品に特有のカラーパレットの開発を求め、特に数多くの夕暮れとナイトシーンに独特の陰気なムードを作ろうとしました。

 

そこでプリプロダクションの間、バシャノフはフォトケム社の現像技術者たちとロサンゼルスのDI専門会社SHED社のカラリスト、イヴァン・ルーカスと密接に関わり、映像に特殊な光沢を、特に黒とシャドウ、及びハイライトエリアにもたらすようなルックを作り出しました。

 

複数の役者による多くのシーンでの撮影は、頻繁に3−4台のカメラによって十分なショットを確保したとバシャノフは言っています。標準的なカメラによるアプローチでは、30または50フィートのテクノクレーン、そしてドーリー、動きを慎重に計算し演出されたステディカムと手持ち撮影が行われました。「私たちは常に美しく考慮されたフレーミングを、すべてのショットに求めました」と彼は振り返ります。

 

クルーはAカメラのピーター・ローゼンフェルド、Bカメラのアンジェロ・コラヴェッチア、両名共ステディカムのオペレーターでもあり、またファースト・アシスタントのラッセル・ボウイによる確実なフォーカスが鮮明でシャープな画を生み出しました。

 

バシャノフはコダック VISION3 500T 5219を選択し、1絞り増感による感度1000で露光しました。「トロントでは多くの夜間撮影があり、5219のハイライトにおけるラチチュードは、ライトの制約やどのような極端な状況下でもハイライトのディテールを表現することができる、その柔軟性を与えると私は知っていました。昨今、誰もが求めるビジュアルの美学を追究する機会がビデオではなかなか得られませんが、私は夜間撮影の創造的な要素として、私が望んだ場所にライトを当てることが好きなのです」

 

バシャノフの愛するフィルム撮影についてその理由を聞いてみたところ、「私はいつもセルロイド(フィルム)による映画制作と関わりを持っていました。モスクワの全ロシア映画大学(The Gerasimov Institute of Cinematography)で撮影監督ワジーム・ユーソフの下、5年の間に多くのモノクロ撮影による訓練を受けました。ワジームはいくつかのタルコフスキーの作品とボンダルチュクの最も素晴らしい映画など、たとえば『惑星ソラリス』(1972年)、『ボリス・ゴドゥノフ(原題)』(1986年)、を撮影した人物で、どうやって最終的な映像制作に対する芸術性と責任をコントロールするか、その訓練の価値を教えてくれました。フィルム撮影はとてもシンプルな道具だけです。それは露出計、カメラ、光学式のアイピース、そして100年を超える発展と信頼できるフィルムテクノロジーです。セルロイドを使いこなすことは、たとえそれが過酷な環境、たとえばジャングルや砂嵐、そしてカメラにとってちょっとした間違いでもとてもシンプルに解決できるのです。

 

フィルムで撮影することが作り手の技術を最高に保ちます。ただこれは前もって綿密に考えて計画する必要があり、クルーとキャストは自分たちのパフォーマンスに集中しなければなりません。誰もが用心深く用意周到で、これは思慮深くとても情熱的なプロセスです。私にとって撮影中のセットでどうやってそれを解決するか、もしくはただカメラを回して必要としている何かを捉えることを望むこと、それ以上のことはありません。私は結果に対する難しい方法論は持っていませんが、幸いにも私たちにはフィルムがあります。これはとてもラッキーなことで、フィルムは完璧に有効で実行可能な芸術的に貴重なフォーマットなのです」

 

シネマトグラファーとして、またオペレーターとしてのバシャノフの最近作は、ダグ・リーマン監督の『The Wall』です。これはイラク戦争を扱ったドラマで、スーパー16mmによるアナモフィック撮影です。「ラボから直接来たそのフッテージは目を見張るほど素晴らしくパワフルでした。でもそれはまた別の話だね!」とバシャノフは締めくくりました。

 

(2016年8月29日発信 Kodakウェブサイト InCameraより)

 

『スーサイド・スクワッド』

2016年9月10日 全国公開

公式サイト: http://wwws.warnerbros.co.jp/suicidesquad/

予告映像

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