2016年 9月 26日 VOL.056

35mm 2パーフォでインディーズの映画監督がクラッシックな1970年代の西部劇ルックを撮影-『Outlaws and Angels』
 

チャド・マイケル・マーレイとフランチェスカ・イーストウッド

西部劇はアメリカのフィルムジャンルでは最も象徴的なものでしょう。ジョン・フォード(『捜索者』)からサム・ペキンパー(『ワイルドバンチ』)まで、西部劇は20世紀初頭から1960年代にかけてハリウッドの最も人気のあるジャンルでした。最近でも『ヘイトフル・エイト』(クエンティン・タランティーノ)、『トゥルー・グリッド』(コーエン兄弟)、『プロポジション-血の誓約-』(オーストラリア生まれのジョン・ヒルコート)など、優れた西部劇が登場しています。

 

フランチェスカ・イーストウッド

2016年のサンダンス映画祭で売り切れとなったJT・モルナー監督の新作『Outlaws and Angels(原題)』(日本公開未定)は、プレミア上映において、古典的なジャンルへの頌歌(しょうか)であった一方で新境地を開いたことを絶賛されました。ルーク・ウィルソン、チャド・マイケル・マーレイ、テリー・ポロ、そしてフランチェスカ・イーストウッドが出演したこの作品は、夜、身をひそめるために開拓者の家族の家に侵入した3人の冷血な銀行強盗の物語です。家族は表面上無邪気に見えますが、立場の逆転、誘惑、最終的に報復と猫とネズミの危険なゲームが起こります。

 

ニューメキシコで撮影中のJT・モルナー監督(左)とシネマトグラファーのマシュー・アービング

監督のJT・モルナーとシネマトグラファーのマシュー・アービングは、ニューメキシコでロケを行いました。マシュー・アービング(『ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた』、『Sins of our Youth』)は、本作品のラインプロデューサーであるマイケル・デニスによってモルナーに紹介されました。アービングはデニスと直近の3作品で一緒に仕事をしていました。「直ぐに我々は、映画的に言うと非常に似通ったテイストを持っていることが判りました」と、アービングはモルナーとの最初のミーティングについて明かします。

 

当初から、彼らは『Outlaws and Angels』を1973年のタイムカプセルから発見されたようなルックにしたかったのです。そのゴールを達成するためのプロセスについてアービングは語ります。「フィルムでしか起きないある種のマジックがあります。整然と並べられたデジタルのピクセルとは違い、フィルムの粒子は筆がキャンバスに描くようにセルロイドの映像を通して渦巻くのです。我々は『Outlaws and Angels』を我々にひらめきを与えた全ての映画で心を奪われた一瞬の美学、同じ生き方にしたかったのです」

 

JT・モルナー監督(中央)

作品に基本的な視覚的影響を与えたものは、ロバート・アルトマン監督作品の『ギャンブラー』(1971年)でのシネマトグラファー、ヴィルモス・ジグモンド(ASC)の仕事でした。特に、火灯りの室内の暖かさ、日中の室外の冷たさです。「JTと私はすべての光の“まだら”には理由があるべきという点では譲りませんでした」とアービングは説明します。

 

モルナーは、これを達成するにはフィルムで撮影しなければならないことを知っていましたし、そうでなければ全く撮るつもりはありませんでした。「我々は16mmも考えました。しかし後に2パーフォ、35mmに決めました。粒子も得られますし、壮大なワイドスクリーンの上映を得られるのです」とモルナーは語ります。

 

アービングは日中の屋外を含め、『Outlaws and Angels』の全編をその大きな粒子構造からコダック VISION3 500T カラーネガティブ フィルム 5219で撮影しました。「我々は、70年代のルックを模倣するために作品をできるだけざらざらした粒子感のあるものにしたかったのです。しかし、現在の最高感度のフィルムでも我々が達成しようとしていたよりも細かな粒子構造だったのです」とアービングは語ります。アービングとモルナーは感度500のフィルムを1000、もしくは1250に設定することでビンテージのルックを得ることができたのです。

 

アービングとチームは2台のパナフレックス プレミアム、加えてステディカム用に1台のパナフレックス ライトウェイト、ハイスピード撮影用にARRI435を1台使ってこの作品を撮影しました。レンズについてはツァイスのスーパースピードのセットを使用し、14mmと17mmがワイドビスタ用の主力レンズでした。また、古いクックの25-250mmのズームも選択しました。全ての機材はウッドランドヒルズのパナビジョン社から供給されました。

 

「ファーストアシスタントのグラント・マッカリスター、セカンドのジャニス・シェレンツに率いられた我々の素晴らしいカメラクルーは、全編フィルムでの表現にはびっくりするくらい若かったのです。彼らは非常によく鍛錬され、能力も高く、この若いクルーがセルロイドの領域で未だ仕事を知っているという、我々の業界の将来に真の希望を与えてくれました」とアービングは付け加えます。

 

アービングは彼の保守的なアプローチが、照明をできるだけ映画的で美しく、しかし常に動機づけられるようにしたと指摘します。彼はクラッシックなフレネルの強いクロスライトをワイドショットに、キメラと4 x 4フレームを(Opal、250もしくは216)クローズアップを和らげ、役者の顔を包み込むために使いました。「私は消費電力が低いながら大光量をもたらすARRIのMシリーズのHMIが好きです。例えば、一灯のARRI M18では従来の4Kと同じくらいのパンチを得られ、簡単に持ち運べるのです。一般に、私のトラックはクラッシクな機材でいっぱいなのです」

 

フィルムはフォトケムで2Kスキャンされ、サンタモニカのトンネルポストでカラリストのテイラー・マホニーによってグレーディングされました。「我々はフィルムがフォトケミカルで仕上げられたように見せたかったのです。したがって大半のルックは撮影で焼き付け、ポスプロでは非常に基本的なデジタルツールのみ使用しました。例えば、“けられ”についての最近のはやり(フレームの端を暗くする)を避けましたし、ウィンドウも最小限使用しました」とアービングは語ります。

 

アービングはフィルムで撮影することに多くの主観的な利点があると感じています。「DPたちやポスプロは、撮影したままのデジタルのフーテージの後処理で35mmフィルムの感じを模倣する素晴らしいアルゴリズムと粒子のパターンを考え出しています。しかし、現実の物事の有機的で絵画的な質感を捉えられるものはないのです。技術者として私は最先端のデジタル撮影に非常に満足しています。ラチチュード、ビット深度、解像度、すべての数字が正しい場所に向かっています。しかし、観客の一人として、私は未だ粒子がなくてはさびしく感じます。映像を構築する実際のハロゲン化銀はフレームからフレームを旋回しているのです」

 

「(デジタルは)何人かのフィルム製作者には利点のように思えます。しかし、フィルムを率直に見てみると、そのワークフローはクルーによって常に真摯に扱われ、最終的な映像は常に上質に見えるということが判ります」とモルナーは締めくくります。

(2016年6月29日発信 Kodakウェブサイト InCameraより)

 

『Outlaws and Angels』

予告映像

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