2016年 10月 4日 VOL.057

映画『ジェイソン・ボーン』―監督ポール・グリーングラスと撮影監督バリー・アクロイド(BSC)が再びフィルム撮影に取り組む

主演のマット・デイモン
© Universal Pictures. All Rights Reserved.

監督と撮影監督との関係性は、多くの場合、ストーリーの美的思考を共有し、とりわけ望ましい視覚効果を得るための最善の模索方法を相互に理解できている状態を長年の協働作業で築き上げていくものです。

 

そんな関係性にあるポール・グリーングラス監督と撮影監督バリー・アクロイド(BSC)のコンビは、不穏でサスペンスに満ちた大型エンタテインメント作品である『ユナイテッド93』(2006年)、『グリーン・ゾーン』(2010年)、『キャプテン・フィリップス』(2013年)を生み出し、そして最近、製作費1億2千万ドルのユニバーサル映画『ジェイソン・ボーン』を完成させ、その映像的リアリティに定評があるボーン・スパイスリラー・シリーズ第5弾を見事に成功させました。

ジェイソン・ボーンに主演俳優のマット・デイモン、共演にジュリア・スタイルズ、アリシア・ビカンダー、バンサン・カッセル、さらにトミー・リー・ジョーンズによる今作品は、『ボーン・アルティメイタム』(2007年)での謎めいたボーン失踪から数年後の設定で新章が始まります。世界が前例の無い危機と不安定さに直面していることを見つけるために思いがけず再び現れたボーンですが、過去に隠された真実を暴き、彼を取り押さえようとする新しい計画が遂行されます。

 

ポール・グリーングラス監督
© Universal Pictures. All Rights Reserved.

撮影監督のアクロイドは、「ポールと私は映画制作の作法を、最初は二人とも別々のドキュメンタリーの世界から築き始め、お互いにそれを共有し、その後何年にも渡って一緒に長編映画を作ってきました」と振り返ります。「私たちはお互い動き回るカメラで観察するスタイルを持っていますが、私が彼のために考案した特有のやり方をポールは気に入っています。ジェイソン・ボーンはアクションスリラーであり、当初より私たちの撮影設計は長回しと複数のカメラポジション、そしてカメラが自由に動き回って、本当に実感できるような感触を得られる、まさに観衆がその中に入ってしまうような映像作りです。そしてそれは観衆の感覚や想像に関与貢献する、大胆なスタイルでもあるのです」

グリーングラスとアクロイドは、ドン・アラン・ペネベーカー、リチャード・リーコック、ロバート・ドルーなどの1960年代の革新的なドキュメンタリー作家や、『フレンチコネクション』(1971年)、『パララックス・ビュー』(1975年)、『大統領の陰謀』(1976年)などの1970年代のサスペンスに満ちたアクション映画を参考にして、彼らの意図する映画的アプローチの概要をスタジオに説明する資料を用意しました。

 

撮影監督 バリー・アクロイド(BSC)
© Universal Pictures. All Rights Reserved.

「私は、カメラが自由に動き回ることがいかに真実性を生み出すかということを書き、リチャード・リーコックの有名な言葉“三脚なんか忘れて、とにかくカメラ(フィルム)を回して回して回すんだ”をわかりやすく説明したのです」とアクロイドは言います。

 

『ジェイソン・ボーン』は2015年9月から2016年4月の終わりまで、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島(ギリシャの代わり)、アジア・リゾートとカジノはラスベガス、ワシントンDCのコンスティテューション・ガーデン、ロンドンのパディントン駅とウーリッジ駅、ベルリンのクロイツベルグ・エリア、そしてローマとアイスランド等多くのロケーションで撮影されました。

 

カメラクルーは4人の有能なカメラオペレーター、オリー・ドリスコル、ジョシュ・メダック、クリス・マクガイアー、そしてアクロイドで編成されましたが、伝統的な役割分担をA、B、C、そしてDカメラに求めることはしませんでした。

 

「私たちはそれぞれのシーンにおいて、どのアングルでどの視点がそれぞれのオペレーターにとって適しているか、カメラとレンズのコンビネーションを時に応じて変えることを話し合いました」とアクロイドは説明します。「どのシーンにも3台の35mmカメラがあって、1台はモノポッド(1脚)に乗せた望遠ズームレンズ、そしてステディカム、ショートズームを付けた手持ちカメラ、さらに16mmカメラがありました。これはいかにフレームを作るか、そのバリエーションでもあり、ポールが何を求めているかを読み取るために組み合わされた“目”でもあるのです」

 

『ジェイソン・ボーン』の基本フォーマットは35mmですが、監視カメラスタイルのカメラワークにはスーパー16mmによる撮影、そしてスタントシーケンスにおけるセカンドユニット撮影ではビデオが使われました。

 

「私たちはフィルムで撮影しました。なぜなら私たちがそうしたかったからです。フィルムは常に私たちの基本フォーマットの最初の選択肢です。最も素晴らしい画質と共に、美しいモーションブラーを持っているフィルムは、もちろんUHD基準であり、将来も使い続けられる要素を持っています。『ジェイソン・ボーン』を撮影したそのすべては、最初の時点で定めた最終的な映画的ルックに適合するものでした」

 

グリーングラスはこうコメントしています。「フィルムで仕事をするスリルやドラマが大好きなんです。そこには疑いの無い豪華ささえあります。それは何か貴重なものを装着するような感じでもあり、演技に対する皆の注目が集中する心理的にも素晴らしいことなのです」

 

この作品は2.35:1で撮影され、35mmアトーン・ペネロープと16mmアトーン・XTRフィルムカメラ、そしてアリ・アレクサXT、これらにはアクロイドが推奨し選んだアンジェニュー、フジノン、TLS、キャノン、そしてパナビジョン・ズーム、さらに18mmから180mmまでのウルトラプライムとスーパースピードレンズ群など、さまざまなレンズが取り付けられました。
 

ジェイソン・ボーン役のマット・デイモンとヘザー・リー役のアリシア・ビカンダー
© Universal Pictures. All Rights Reserved.

アクロイドは35mmフィルムにコダック5219(500T)と5207(250D)を、16mmフィルムにはコダック7219(500T)と7207(250D)を選びました。ナイトシーンと室内撮影ではタングステンフィルムを、屋外撮影では感度250のデーライトタイプを使用しました。『ジェイソン・ボーン』のフィルム現像は近年コダックにより買収されたロンドンのアイ・デイリーズ社で行われ、ラッシュ映像はPix経由で見るか、ロケ現場でのWi-Fiコネクションが十分に速くない場合はあらかじめ映像を組み込んだiPad等で確認しました。

 

DI処理はロンドンにあるゴールドクレスト社のカラリスト、ロブ・ピッツィによって完成され、ここでは的確に考慮された粒子調整によって、完成された特殊効果の追加はもちろん、主に複数のカメラのルックの一本化、ビデオの映像をフィルムで撮影された素材にうまく合わせることに重点が置かれました。

 

「全体的に見て、とても美しく一貫したルックと、まったくもって刺激的な、これぞボーン映画だという映像を作り出すことに成功したと思います」とアクロイドは言います。

 

「私は、フィルムの持っている有機的な感触と、結果として生じる質感が、とてもユニークな『ジェイソン・ボーン』のビジュアルとなったことが気に入っています」とグリーングラスは述べます。「別の選択肢を拒まないけれども、私自身はフィルムを愛しているし、この先フィルム撮影を止めるなんてとても思えないよ」と締めくくりました。

(2016年7月25日発信 Kodakウェブサイト InCameraより)

 

『ジェイソン・ボーン』
2016年10月7日(金)全国公開
配給:東宝東和
​公式サイト:http://bourne.jp/
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