2016年 10月 12日 VOL.058

米国TV局HBOによる最新SF超大作『ウエストワールド』
―撮影監督ポール・キャメロン(ASC)は、35mmフィルムで大規模な映画的ルックとその世界観を作り出した

Image courtesy of John P. Johnson/HBO.

もし昨今の連続テレビドラマはビデオ撮影のみだと思い込んでいるのであれば考え直した方がいいでしょう。J・J・エイブラムズ製作総指揮、ジョナサン・ノーラン監督によるHBOの最新SFドラマシリーズ『ウエストワールド』(全10話)は、素晴らしいスケール感と心に残る視覚的壮大さをもたらすように、数種類のコダック35mmフィルムを用いた全編セルロイド(フィルム撮影)による作品として企画・制作されました。

 

著名人向けにハリウッド・チャイニーズシアターで開催された豪華なプレミアショーは満席となり、観客は心を奪われ、上映は大喝采で終わりました。ノーラン監督の作品に対する評価は、まさに壮大という言葉以外ありませんでした。エスクワイア誌は「『ウエストワールド』はテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011年放送開始)の単なる次の作品ではない。それ以上の作品だ」と賞賛。バニティー・フェア誌は「テレビに釘付けになる本当に稀有な作品」と評し、そしてタイム誌は、「慎重に選ばれたディテールを積み重ねて壮大に練り上げられた、この秋の他の新ドラマを凌駕する、非常によく考え抜かれた作品だ」と絶賛しました。

HBOはこれまで、より大規模で、かつプレミアム・テレビドラマの水準を引き上げるような作品を制作してきました。『ウエストワールド』はあらゆる点でほぼ完璧であり、他のテレビシリーズを完全に引き離したと言えるでしょうし、この物語は視聴者を毎週毎週呼び戻すことでしょう。出演陣は最高に素晴らしく、その撮影は高度な技術の境界線を頂点まで押し広げています。

ロバート・フォード博士役を演じる名優アンソニー・ホプキンス
Image courtesy of John P. Johnson/HBO.

また、パイロット版エピソードの撮影監督であるポール・キャメロン(ASC)からシネマトグラファー達に、フィルム撮影による芸術的なコントロールを再開させようという明快な呼びかけが行われました。そしてそれは制作スタジオに対して、フィルムで撮影することがすべての制作レベルの予算において完全に費用対効果が高いことを知らしめ、興味を持たせることに至ったのです。

HBOの『ウエストワールド』は、1973年にマイケル・クライトン監督によって制作された、アンドロイドのホストが広大なテーマパークで客をもてなすというストーリーの同名SF映画が元になっています。とは言え、ストーリー展開は新しいシリーズのために拡張され、特にアンドロイドの世界と密かに舞台裏で働く主人公が入念に作り上げられました。

 

撮影監督 ポール・キャメロン(ASC)
Image courtesy of John P. Johnson/HBO.

「将来の更なるエピソードを持たせ、88分の映画を10時間のシリーズ物にすることは大変な展開で、その期待が高かったのです」とキャメロンは振り返ります。「このテレビシリーズに絶対的に必要なのは本物のスケール感であり、壮大な景色とパーク自体の設定だけでなく、物語が潜むウエストワールドの不気味な内部構造の異なるレベルなのです。その結果、壮大な映画的ルックを必要とし、それらすべてを達成する最良の方法がフィルムで撮影することだったのです。屋外の昼間のシーンから弱い光の室内シーンまで、フィルムはエレガントでスタイリッシュ、映像の“ルック”を捉え保持する点ではまさに素晴らしいものです。これは初めからフィルム制作でしたし、それ以外の議論はありませんでした」

『ウエストワールド』には、演技派のアンソニー・ホプキンス、エド・ハリス、エバン・レイチェル・ウッド、ジェームズ・マースデン、タンディ・ニュートン、ジェフリー・ライト、シセ・バベット・クヌッセン、イングリッド・ボルゾ・ベルダル、ルーク・ヘムズワース、クリフトン・コリンズ・Jrらが起用されました。シリーズ・シネマトグラファーのブレンダン・ガルビン、ロバート・マクラクラン、デビッド・フランコ、そしてジェフ・ジャーによるパイロット版とその後のエピソードの撮影は、カリフォルニア州サンタクラリタのメロディー牧場で、プロダクション・デザイナーのネイサン・クロウリーの指揮の下、西部劇の町、鉄道、そして精巧なガラスの壁で出来た精神世界のセットが作られ、さらに印象的な地形はユタ州のモアブ近くのアーチーズ国立公園内で撮影されました。

キャメロンは、彼とノーラン監督、クロウリーは、過激な見え方を作る誘惑にあらがったのですが、古典的なジョン・フォード監督の西部劇からリドリー・スコット監督の革新的映画『ブレード・ランナー』(1982年)が創造上のリファレンスに含まれていたことに言及し、全体的なイメージを「混じり気の無い、自然主義的で、正真正銘の、まさにカメラの前にあるそのものであること」を維持させようとしたと言います。
 

メーヴ・ミレイ役のタンディ・ニュートン
Image courtesy of John P. Johnson/HBO.

このアプローチからの唯一の逸脱は、ロボットであるホスト達の様々な夢や記憶、そして悪夢の経験の視覚的な処理でした。キャメロンはこう続けて述べています。「私たちは35mm、3パーフォ、16:9をアリカムLTと235カメラで、作品の大部分はクックS-4プライムとフジノン・プレミアズームレンズで撮影しました。違う空気が欲しい時、もっとノスタルジックなルックのアンドロイドの夢のシーンでは、キャノンのK35プライムレンズセットで撮影しました。このコーティングされていないビンテージレンズは、独特のフレアーとハレーション特性を持っていて、ホスト達に起こり得る意識に薄気味悪さを生み出すこと、表現に違いを生み出すことに役立ちました」

 

キャメロンは、コダック VISION3 50D 5203、250D 5207、そして500T 5219のフィルムストックを作品のシナリオとそれぞれのロケーションに合わせて選びました。「日中の室内と屋外での主なフィルムは低感度の50D 5203です。それは間違いなく豪華で、豊かで、自然な黒とコントラスト、そして色彩再現を持っていて、俳優が明るい日中の屋外から酒場の広間に入るようなダイナミックにライティングが変化する場面でも容易に対処できるラチチュードを持っています。屋外のナイトシーンと薄暗い室内は、例えばコントロールルームや診断センター、多くの他の気味悪い舞台裏の環境では500T 5219で撮影しました。夕暮れ時の撮影ではコダック 250D 5207がゴールデンアワー(マジックアワー)の光を本当にうまく捉えることが出来ました」

黒服の男を演じるエド・ハリス

Image courtesy of John P. Johnson/HBO.

フィルムはすべて通常感度で撮影され、キャメロンに言わせるところの「フィルムで撮影することを素晴らしい経験にさせる最も偉大なフィルム界のチャンピオンのひとり」、ディリーとオペレーションのマネージャーであるマーク・ヴァン・ホーンの指揮のもと、LAのフォトケム社でノーマル現像されました。

 

キャメロンは4年間のギャップの後にセルロイド(フィルム)の世界に戻ってきました。彼の前回のフィルム作品は『崖っぷちの男』(2012年)です。『ウエストワールド』のカラーグレードはハリウッド・アンコー社のカラリスト、シェーン・ハリスによって執り行われました。

『ウエストワールド』の撮影現場

Image courtesy of John P. Johnson/HBO.

「我が家にまさるところはありません」とキャメロンは続けます。「フィルムは100年を超えて芸術的なメディアとして開発されて来て、それはとても馴染みがあって居心地の良いものです。どのようにピクセルが表現されるか確信できない、始まったばかりのバイナリ(二進法の)イメージとは違い、フィルムはスクリーンに投影すると即座に自然に眼が溶け込むようにその映像に惹きつけられます。フィルムは本質を表現します。イメージの質感、ニュアンス、そして繊細な表現、優れた解像度やカラースペースの処理は言うまでも無く、デジタルイメージを遙かに超えていることに疑問の余地はありません。さらにフィルムで撮影するということは、映像に対する責任はシネマトグラファーにあり、私たちの役割の重要性を明確にします。支配を取り戻したいならフィルムで撮影することです」

もっと広い視野で見るならば、キャメロンは『ウエストワールド』のテーマである「予期しない結果をおそらくじっくりと考える前に、商業化されたテクノロジーに猪突猛進する産業」と、今日の映像制作業界を重ねて見ているのでしょう。

「とてもショッキングなことは、短時間の間にメーカーと販売会社は、フィルム撮影対ビデオに関する論議を奪い、それをバイナリの解像度についての議論とし、最も重要である芸術的かつ創造的な選択肢を脇に追いやってしまったことです。しっぽが犬を振っちゃうように本末転倒となっています」と彼は言い、「フィルム撮影対ビデオのコストについては、全くの誤解があって、プロデューサーと制作スタジオは、それを真剣に再検討することで嬉しい驚きを発見することになります。フィルムは第一の選択肢であるべきで、幸運にも私たちはフィルム撮影を選ぶことに前向きなプロデューサー達やフィルム制作者達に囲まれています。ジョナサン・ノーラン監督のビジョンと、このシリーズをフィルムで撮影したHBOのエグゼクティブ達は本当に賞賛に値します。その詰め込まれた証拠を確認するのは、『ウエストワールド』を見ることですよ!」と締めくくりました。

(2016年9月30日発信 Kodakウェブサイト InCameraより)

 

『ウエストワールド』
スターチャンネルにて独占日本初放送!

10/13(木)よる11:00 & 10/29(土)午後1:30、第1話を無料放送!!
​公式サイト: http://www.star-ch.jp/westworld/
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