2016年 10月 20日 VOL.060

撮影 山田康介氏に聞く-WOWOW開局25周年記念
 連続ドラマW 『コールドケース~真実の扉~』

(C) 2016 WOWOW INC.

世界中で人気を博したアメリカのTVドラマ『コールドケース』の日本版がWOWOW開局25周年記念のオリジナルドラマ『コールドケース~真実の扉~』として完成、いよいよ10月22日(土)よる10時から放送されます(全10話、第1話無料放送)。日本版の舞台は神奈川、吉田羊さん演じる主人公の刑事とそのチームのメンバーが、毎話異なる未解決事件の真相を解明していきます。

今回は、撮影監督を務めた山田康介氏に、回想シーンで16mmフィルム撮影を選択された背景や 4K HDR仕上げについてのお話などを伺いました。

16mm撮影を選択された理由について

― 今回、回想シーンで16mmフィルム撮影を選択していただきましたが、その背景についてお聞かせ下さい。

 

山田C: アメリカ版『コールドケース』を観て感じたのが、未解決事件を描く回想シーンについては、その当時のルックを再現している点です。フィルムで撮ったり、それこそ8mmだったり、ビデオだったりと、様々な手法で過去を再現している作品でした。波多野監督と最初にお話させていただいた時、全10話の回想シーンで(1950年代から2000年代)その年代を表現する方法としてルックを分けたいとおっしゃっていました。その時に、ぱっとアイデアとして浮かんだのが16mmでのフィルム撮影でした。

 

実は、三木孝浩監督の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016年12月17日全国公開)で、回想シーンに16mmフィルムを使用してみてその4Kスキャンの画の素晴らしさに感動していたんです。今回の4K HDR仕上げにも問題ないですし、表現の幅も広がると感じたので、まずプロデューサーに「フィルムでどうですか?」というプレゼンをしました。予算のことで難色を示されるかと思っていたら、話に前向きに乗っていただけて、じゃあ実際にテストしてみようという流れになりました。想定される色々な条件でのフィルム撮影のテストを実施して、結局、全てVISION3 250D 7207で行く方向になりました。粒状性のこともあるのですが、現場での現代と過去の撮り回しを考えると、フィルムはワンタイプに絞りたかったのです。250Dの良さって、ミックス光に強いところだと思っていて、それこそタングステン光での状況でもそのまま撮影して、後処理で補正したカットもあるのですが、全く問題なかったですね。

 

(C) 2016 WOWOW INC.

人の記憶の中にある映像を再現する

― そのテストの画をご覧になって、いかがでしたか?

 

山田C: 実際、私も撮影してみて各年代を表現するのには、フィルム以外に選択肢がないだろうなと思っていて、監督とプロデューサーもフィルムの画を見たら、すぐ「これだよね」ということで即決でした。お二人の感想は、「本物だ!」という感覚だったと思います。というのは、私たちが観たことがある1950年代あたりの過去の映像って全てフィルムで撮影されたものですから、それを再現しようとした時、フィルムの画というのは単純に「本物だ!」って感じますよね。観ている人の記憶の中にある映像を再現するというのが、過去を表現するのに大事なファクターだと思っています。フィルム撮影の画が、単純に古臭く感じるという意味では決してなくて、過去を表現するための手法として、セットや美術、衣装など全て本物を揃えられるわけもないので、フィルムで撮るとすべてがその当時の本物のように見えるってことです。画の質感が、デジタルで撮影して過去っぽく加工したものと比べると全然違いますし、その映像の説得力が違います。そういう意味で、フィルムの持っている力に非常に助けられました。他のスタッフからもフィルムで撮って良かったという感想が多くて満足しています。欲を言えば、1950年代を表現する話で本当は16mmの白黒フィルムを使いたかったのですが、さすがにそれは実現できませんでした(笑)。

 

10パターンの回想シーンで別々のルックを構築する

― 全10話の回想シーンはすべてフィルム撮影ですか?

 

山田C: 監督から、回想シーンはそれぞれ年代が違うので、別々のルックを求められました。10話のうち6話については16mmフィルムで撮影しましたが、2000年代の回想シーンなどはデジタルですね。現代のシーンはRED Digital Cinema社のWEAPONですが、実は色々なデジタルカメラも使用しています。

― 機材が多いと、現場の撮影部の方々は大変だったのではないですか?

山田C: そうですね。今回は、2キャメだったのでセカンドとサードがそれぞれ2人いて、撮影部としては、私も含めて6人体制でした。フィルム撮影についても、助手たちにはしっかりと取り扱い方も含めて細かく教えました。他のスタッフもフィルム撮影に慣れていない人もいたので、現場には良い意味で緊張感がありましたね。テスト撮影の時に、照明部とも既に撮り方のパターンを色々と決めていたので、それぞれの回想シーンのルックのパターンのライティングはこれでという感じで、うまく連携が取れていましたね。特にこだわったのは、時代感を表現することです。たとえば、1950年代を表現する場合は、パンはするけど基本的には移動車とフィックスの画で撮影するという、その当時の撮影手法にならって撮影することにしました。

今回、現像はIMAGICAウェストで、4Kでスキャンしたデータをラッシュとして各メインスタッフのiPadで確認できる体制でした。そのオフラインの画のデータも、フィルム撮影でのLUTをテスト段階で作成してもらっていたので、ある程度出来上がった状態のもので確認できたことも良かったです。

SDR (Standard Dynamic Range)と、HDR(High Dynamic Range)の仕上げ

― 今回、日本で初めて16mmフィルムの画を4K HDRに仕上げられましたが、どのように仕上げられましたか?

 

山田C: 最終的には完パケが4つありまして、SDR 4KとHDで2つ、HDR 4KとHDで2つです。仕上げについては、SDRとHDRを別々の日にグレーディングしました。基本的にSDRとHDRの画は感覚的にも全く違うものですし、色の乗り方とか色域も全く違うものなのですが、それぞれの画をグレーディングで見続けていると眼が順応してしまって違和感がなくなってしまうんですよね。放送はSDR HDですので、それで仕上げた作品の世界観の画に、HDRの画を近づけて同じ印象になるようにしていくという方向性で仕上げました。フィルムの部分については、誰かの記憶にある過去の映像ですので、HDR感を思いっきり出す画ではなく、比較的抑えた感じのグレーディングで仕上げています。監督も含めて、仕上がりには非常に満足しています。

映画をフィルムで撮りたい

― 今後の抱負をお聞かせ下さい。

 

山田C: 今後も作品にもよりますが、やはり映画をフィルムで撮っていきたいですね。4KやHDRなど仕上げの規格は今後も変化していくと思ってますが、そこでフィルムで撮った画がどう活かせるかという経験値を上げていくことで、プロデューサーなどの関係者に対してフィルム撮影についてプレゼンも出来ますし、正確にフィルムの良さを伝えられると思っています。

(インタビュー:2016年8月)

 

 PROFILE  (敬称略)

山田 康介

やまだ こうすけ

1976年、福岡県生まれ。日本映画学校を卒業後、株式会社東宝映画に入社。『赤い月』(2004年 降旗康男監督)『単騎、千里を走る。』(2005年 チャン・イーモウ、 降旗康男監督)『憑神』(2007年 降旗康男監督)『剱岳 点の記』(2009年 木村大作監督)では、木村大作氏の撮影助手を務める。2011年『神様のカルテ』(深川栄洋監督)で撮影監督を務める。2014年『神様のカルテ2』(深川栄洋監督)で第58回三浦賞を受賞。その後も数々の映画作品で撮影監督を務める。最近作『シン・ゴジラ』(2016年 庵野秀明、樋口真嗣監督)。

 

 撮影情報  (敬称略)

『コールドケース~真実の扉~』
監 督 : 波多野貴文
撮 影 : 山田康介(J.S.C.)
Bキャメ兼チーフ: 榊原直紀
セカンド: 岡村慶彦、浮邉佑希
サード : 山本一美、尾上武
照 明 : 西村昌幸
キャメラ: RED WEAPON、ARRI416
レンズ : ZEISS Master Prime
フィルム: コダック VISION3 250D 7207
現 像 : IMAGICAウェスト
制作協力: テレパック
制 作 : Warner Bros. Intl TV Production  WOWOW
(C) 2016 WOWOW INC.

WOWOW 連続ドラマW
『コールドケース~真実の扉~』
2016年10月22日(土)よる10時スタート
全10話・第1話無料放送
公式サイト:http://www.wowow.co.jp/dramaw/coldcase/

 

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