2016年 12月 12日 VOL.063
イギリスにラージフォーマット、65 mmフィルムの新たな現像施設がオープン、フィルムの復活が加速
イギリス、ウォトフォード、2016年11月11日(金)発
「コダックの65mmフィルム現像施設がイギリスにオープン」というニュースを受け、フィルムの真の復活に拍車がかかっています。20世紀フォックスの『オリエント急行殺人事件』(監督ケネス・ブラナー、撮影ハリス・ザンバーラウコス(BSC))がこの新施設で現像される最初の作品のひとつとなります。
このたび、シネラボ社(イギリス、ロンドン郊外スラウ)がコダックとの提携により、盛況な35mm/16mmサービスに加えて65mmのフォトメック社製 ECN-2現像機を設置しました。イギリスにおいても65mmフィルム現像が可能となることで、米ロサンゼルスのポストプロダクションで、フィルム現像所として名高いフォトケム社が展開する多彩なラージフォーマットおよびクリエイティブなサービスを補完することになります。
65mmフィルムには長く輝かしい歴史があり、多くのオスカーを受賞した『アラビアのロレンス』(1962年、監督デビッド・リーン、撮影フレディー・ヤング(BSC))や『ベン・ハー』(1959年、監督ウィリアム・ワイラー、撮影ロバート・サーティーズ(ASC))のような歴史的な叙事詩、さらには『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年、監督ロバート・ワイズ、撮影テッド・マッコード)など、数々の傑作に採用されてきました。
そして今、65mmはその解像度や奥行き感、リアルな質感によって新世代の映画監督・撮影監督に支持され、復活を遂げています。
真のフィルムの支持者で業界をリードする1人、クリストファー・ノーラン監督も、最近コダックの65mmフィルムでワーナー・ブラザースのドラマチックな第二次世界大戦のスリラー『ダンケルク(原題)』(撮影ホイテ・ヴァン・ホイテマ(FSF, NSC))を撮影しました。このほか、先ほどの『オリエント急行殺人事件』に加えて、ディズニーの『くるみ割り人形とねずみの王様』(監督ラッセ・ハルストレム、撮影監督リヌス・サンドグレン)もコダック65mmフィルムでの撮影が予定されています。
コダックのコンシューマー&フィルム事業部のプレジデントでCMO(最高マーケティング責任者)でもあるスティーブン・オーバーマンは次のように述べています。「フィルムの復活が加速しており、巨大スクリーンの迫力が改めて見直されています。65mmフィルムならではのクリエイティブな美しさは、まだまだデジタルを寄せ付けません。見識のある映像製作者が、視覚的な品質を保ち、印象的な壮大な作品を創りたいのであれば、選択肢は真のフィルム以外にありません」
シネマトグラファーのハリス・ザンバーラウコス氏(BSC)は次のように述べています。「フィルムには他の動画フォーマットとまったく違う色彩の範囲があります。ケネス・ブラナー監督と『オリエント急行殺人事件』の構想を練り始めたとき、今回の作品には65mmフィルムでの製作に全身全霊を込めようと、2人の考えが一致しました。文学作品に生命感を与えるのは容易でありませんが、映画を観る人には、本当に没入するような感覚を味わって欲しいと思っています。アガサ・クリスティの本作は復讐劇の傑作ですし、大きなスクリーンで存分に楽しんでもらえる作品に仕上げなければなりません。皆さんが刺し傷のひとつひとつを感じるような映画を作るには、65mmフィルムで撮影するしかないと考えました」
シネラボ社の共同設立者の1人、マネージング・ディレクターを務めるエイドリアン・ブル氏は次のように述べています。「65mmはシネマトグラファーにとって究極の目標ですから、フィルム復活の一端としてイギリスにサービスが戻ってくることが叶い非常に興奮しています。当社はコダックと共同展開する65mmサービスで、ラージフォーマットに特別な要望を持っているイギリスだけでなく、全欧の映像製作者のニーズに応えていきます」
65mmフィルムに傾倒しているのは予算が潤沢な映画会社には限りません。独立系映画作品の監督や高級ブランドの広告もその品質に大いに注目しています。ブラディ・コーベットは新作“Vox Lux”(主演ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ)に65mmの使用を予定しており、グザヴィエ・ドランはすでにアデルのミュージックビデオ“Hello”のほか自身の風刺劇“The Death And Life Of John F. Donovan”(邦題『ジョン・F・ドノバンの生と死』)の一部にも65mmを採用しました。オスカー受賞監督のスティーブ・マックイーンも今年、高級ブランドのバーバリーのプロモーションビデオに官能的な壮麗さをもたらすため65mmを使用しました。巨大スクリーンの迫力という点では、グレッグ・マクギリブレイは米国立公園制度誕生100周年を最重要プロジェクトとして製作された『アメリカ・ワイルド』の撮影に65mm、15-PerfのIMAX 3Dカメラを採用しました。
35mm/16mmフィルムでの映画撮影は、低予算の独立系から数億ドル規模のハリウッド超大作まで、世界中で復活を見せています。ケン・ローチがカンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した『わたしは、ダニエル・ブレイク』を始め、トム・フォードの『ノクターナル・アニマルズ』、アントワーン・フークアの『マグニフィセント・セブン』、J・J・エイブラムスの『スター・ウォーズ』シリーズ リブート版もすべてフィルムを使用しています。
デミアン・チャゼルの『ラ・ラ・ランド』、デンゼル・ワシントンの『フェンス』、ジェフ・ニコルズの『ラビング:Loving』、マーティン・スコセッシの『沈黙 -サイレンス-』などのフィルム作品も2017年の各賞の候補と見られています。ユホ・クオスマネンの『オリ・マキの人生で最も幸せな日』とミア・ハンセン=ラヴの『未来』は、外国語映画賞の候補です。このほか、HBOの『ウエストワールド』やC4/Netflixの『クレイジーヘッド』などのTVドラマにもフィルムが採用されています。
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