2017年 1月 27日 VOL.066

映画『マグニフィセント・セブン』 ― 撮影の名手、マウロ・フィオーレ(ASC)が35mmで狙い撃つ

『マグニフィセント・セブン』の7人を演じる(左から)ヴィンセント・ドノフリオ、マーティン・センズメアー、マヌエル・ガルシア・ルルフォ、イーサン・ホーク、デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イ・ビョンホン © 2016 CTMG

「『マグニフィセント・セブン』を35mmフィルム以外で撮影するなんてこれっぽっちも考えなかったよ」と、オスカーを受賞しているシネマトグラファーのマウロ・フィオーレ(ASC)は、アントワン・フークア監督によるクラッシック・アクション西部劇のリメイクについてそう打ち明けました。

 

「セルロイド(フィルム)で撮影することは、その魅力的な美しさだけでなく、ワイドスクリーンのフレームだと壮大な景色を最大限に映し出すことができるのと同時に、力強いクローズアップも作り上げることができる多様性があり、さらに何も気にせず同時に7人の登場人物をフレームに納められます。この創造的な選択をすることで、私たちは独自のビジュアルを大スクリーンに持ち込み、開拓時代の西部を神話的な場所として描くための道具を手に入れました。その一方でセルジオ・レオーネのような伝説的な映画人らによって描かれた西部劇の民俗的な質や、黒澤明の『七人の侍』における自然主義に対して敬意を払っています」

シネマトグラファー、マウロ・フィオーレ(ASC)

1954年の黒沢明監督による『七人の侍』をモチーフにした1960年の同名西部劇のリメイクであり、製作費1億1000万ドルのMGM/コロンビア映画『マグニフィセント・セブン』は、凶悪な大物バーソロミュー・ボーグに支配されたローズ・クリークの住人たちを救済する物語です。か弱い村人たちは、避けられない残忍な紛争から自身を守るため、賞金稼ぎ、爆薬が得意なギャンブラー、狙撃の名手、流れ者、プロの殺し屋、無法者、コマンチ族の戦士という7人の金儲けのために働く兵士からの支援を得ます。

アントワン・フークア監督

『アバター』(2009年)で米国アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞したシネマトグラファーのフィオーレにとって映画『マグニフィセント・セブン』はフークア監督とタッグを組む4作品目にあたり、それまでにも『トレーニング デイ』(2001年)、『ティアーズ・オブ・ザ・サン』(2003年)、『イコライザー』(2014年)でチームを組んできました。

 

「ほとんどのシネマトグラファーはジャンルに関わらず創造的で芸術的なスキルを身につけると、時代劇や西部劇を撮影することを夢見ますが、今ではなかなかそのような脚本に巡り会えません」とフィオーレは言います。「『マグニフィセント・セブン』は最初から、個性と軽快さのバランスが取れた英雄主義と実存主義をテーマにした、ワイドスクリーンのセルロイド(フィルム)体験ができる作品にすることを思い描いていました。私の最後のセルロイド作品は『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(2010年)と『ランナーランナー』(2014年)で、フィルムでの撮影と照明の規律に戻れることを楽しみにしていました。それと共にフィルムによって得られる独自の色彩の豊かさや、物語に沿った異なる場所で異なるフィルムタイプによってもたらされる様々な質感とコントラストを生かすことに興味がありました」

『マグニフィセント・セブン』の屋外ロケセット

主な撮影はルイジアナ州バトンルージュ近郊で2015年5月から始まり、そこには2つの広大な埃まみれの西部の町が、肥沃な牛の牧草地の野外撮影用地に造られました。他にもルイジアナ州セント・フランシスビルとザッカリーがロケ場所に含まれます。さらに2週間の撮影がニューメキシコ州でも行われました。

 

フィオーレは、パナビジョン社のパナフレックス・ミレニアムXL2カメラにG、C、そしてEシリーズのアナモフィックレンズを組み合わせて使いました。「アナモフィックのボケ、フレアー、そしてレンズのちょっとした不完全さは、映画俳優の個性同様、大歓迎です」と彼は言います。

『マグニフィセント・セブン』の主演デンゼル・ワシントン © 2016 CTMG

ルックと照明についてフィオーレは、映画の独特のムードに沿って、制圧される前の牧歌的な町の世界、包囲された危険で残忍な世界、そしてその直後の変化した状況に振り分け、これらの雰囲気を描写するため3種類のフィルムを使用したと述べています。

 

彼によれば、「低感度のコダック VISION3 50D 5203は物語の導入部に使用し、日中の屋外で光り輝くセットや衣装と空の色彩、そしてロマンチックで魔法の世界のような自然な町そのものの感覚を引き出しています。町が荒廃して7人のアウトローが現れたときは、より高感度でコントラストのある500T 5219と250D 5207に切り替えて、映像に幾分粗さを加え、光から暗い影まで俳優の顔を彫刻するかのように楽しみました。7人のアウトローが支配を取り戻してからは、250Dだけで高いコントラストを維持し、荒涼とした、その場の新しい現実を伝えるようにしました」

 

フィオーレは、500Tを使った夜間撮影のシーンを特に楽しんだと言います。「フィルム撮影では、夜間のイメージは本当に作り上げていくものです。各シーンを構成し表現していくにはシネマトグラファーの熟考したコントロールと芸術的な表現を必要とします。デジタルセンサーは常に暗闇に到達し、時としてそれと戦う必要はありません。セルロイドは映像の暗い領域でもそのディティールを捉えますが、コントロール次第でさらに素晴らしい黒にすることもできます」

『マグニフィセント・セブン』を撮影するシネマトグラファー、マウロ・フィオーレ(ASC)

彼は続けます。「このような映画では、夜間の室内照明はガス灯、ろうそく、炎の光であって、屋外では月明かりで照らされます。フィルム撮影に戻ったら、信じられないほどそれが刺激的かつ解放的であることが判りました。さらに、月明かりの屋外シーンを造り出すため、セットの上に100フィートx 50フィートのソフトボックスを吊したのですが、それは俳優や監督、クルーにとっても非常に印象的で見応えがあるものでした。誰もが本当に“映画を作っている”という特別なスリルを体感したのです」

 

映画『マグニフィセント・セブン』で35mmフィルムに戻ってきたことを受けてフィオーレはこう締めくくります。「ネガフィルムで撮影した時の純然たる画の深みや階調の幅、色の鮮やかさや色調は驚くほど満足のいくものでした。イメージはデジタルよりも殺風景ではなく、そこには輪郭強調もなく、色の融合は滑らかでハイライトからシャドウまでのコントラストカーブは視覚的にも好ましいのです。フィルムはもちろん暖かい光のゴールデンアワーも大好きです。さらに言えばデジタルカメラとは対照的に、フィルムカメラで撮影するということは、わずかなケーブルだけでよく、DITとのやり取りも無ければビデオ信号がどうこうとか、露出について誰からも言われることはありません。フィルム撮影はシネマトグラファーの手中にコントロールと責任を戻します。それはとてもシンプルなことです」

(2016年9月27日発信 Kodakウェブサイトより)

『マグニフィセント・セブン』

1月27日(金)全国ロードショー!
配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

​公式サイト: http://www.magnificent7.jp/

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