2017年 11月 24日 VOL.092

映画『ジャスティス・リーグ』の自然派のルック、及びVFXやCG制作を支えたコダックの35mmフィルム

Pictures copyright Warner Bros. Pictures. All rights reserved.

コダックの35mmフィルムで撮影された、ザック・スナイダー監督の『ジャスティス・リーグ』は、ワーナー・ブラザースの最新スーパーヒーロー作品で、DCコミックス・エクステンデッド・ユニバースの5作目となります。2D、3D、IMAXで公開される、製作費2億5000万ドルの本作では、悪の将軍ステッペンウルフと、彼が率いるパラデーモン軍の途方もない脅威に打ち勝つため、バットマン、スーパーマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、サイボーグ、アクアマンがそれぞれの才能と特殊能力を結集させます。

ベン・アフレックがバットマン/ブルース・ウェインを、ヘンリー・カヴィルがカル=エル/クラーク・ケント/スーパーマンを、エズラ・ミラーがバリー・アレン/フラッシュを演じ、ガル・ガドットは再びダイアナ・プリンス/ワンダーウーマンとして登場、ジェイソン・モモアがアーサー・カリー/アクアマン、レイ・フィッシャーがビクター・ストーン/サイボーグを演じます。

スケジュールが合わなかったため、スナイダー監督の撮影監督を長らく務めていたラリー・フォン(ASC)は今回のプロダクションに参加できず、代わりにファビアン・ワグナー(BSC、ASC)が撮影監督を務めました。ワグナーが先に携わったHBOの『ゲーム・オブ・スローンズ』は大いに注目を集め、2015年のプライムタイム・エミー賞ノミネートに加え、2017年にアメリカ撮影監督協会賞でも賞を獲得しました。

撮影監督 ファビアン・ワグナー(BSC、ASC)

主要な撮影は2016年4月に開始されました。ロンドン、ロサンゼルス、アイスランドの西部フィヨルドにあるヂュパヴィックでロケーション撮影が行われ、10月の後半、ロンドン郊外リーブスデンのワーナー・ブラサース・スタジオを最後に125日にわたる撮影が終了しました。

命綱を付けて撮影に臨むアイスランドロケの様子

現在、2018年7月まで続く『ゲーム・オブ・スローンズ』の現場に戻っているワグナーは、「ロンドンにいるザックと『ジャスティス・リーグ』の件で会うよう電話をもらった時はイスから落ちそうになりました。いまだに呼んでもらえたことに興奮しています」と述べています。

「ザックはとても優しく話しやすい人でした。彼は原作のコミック本とキャラクターたちの大ファンで、その世界について深い知識を持っています。プロダクションに対する彼の全体的なアイデアを1時間ほど聞き、その映像の実現に向けて進めていきました。一連の他の作品のような、様式化して彩度を落とし、コントラストを強くした映像は避けたいとザックは考えていました。僕は自然な照明を好むタイプなので、その考えは僕の作品の価値観にぴったりでした。『ジャスティス・リーグ』を35mmフィルムで撮影するのはすでに決まっていたことで、僕は何年もフィルムでの撮影をしていませんでしたが、期待に胸がふくらみました」とワグナーは続けました。

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「ザックに会った時のことを振り返ると、主要スタッフの何人かを昔から知っていたのは僕にとって良いことだったと思います。レギュラーのカメラオペレーター、ジョン・クロチーアとは、2014年にバンクーバーで撮影したパイロット版で一緒に仕事をしたことがありました」とワグナーは付け加えました。

その後ワグナーは、ロンドンとロサンゼルスでワーナー・ブラザースの重役たちや映画のプロデューサーとの打ち合わせに出席し、スナイダーとの最初の会合の4週間後には仕事を任されました。

ワグナーは「ハリウッドには、新入りを試す用意ができているという何よりの証拠です」と言います。「制作はすでに進行していたので、僕は2日後にはリーブスデンにあるプロダクションのオフィスにいて、すぐに他の全部門のトップたちが混ざり合う中に自分を置いていました」

フレームを確認するザック・スナイダー監督。後ろは撮影監督 ファビアン・ワグナー(BSC、ASC)

ワグナーの主要な共同作業者は、プロダクションデザイナーのパトリック・タトポロスとポストプロダクション・スーパーバイザーのジョン・“DJ”・デジャルダンでした。「この作品にはVFXとたくさんのCGが盛り込まれているため、細部にまでこだわった見事なセットの照明と空気感をポストプロダクションに持ち込むべく、僕たちは連携を密にして作業する必要がありました。自分がみんなを助け、みんなが自分を助けてくれる。『ゲーム・オブ・スローンズ』での仕事を通じて、こういうプロセスには慣れていましたが、『ジャスティス・リーグ』はまた違うレベルで、とても楽しかったです」とワグナーは語っています。

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ワグナーは、フィルムでの撮影から数年遠のいていたこともあり、期待でワクワクしたことを語っています。「16mmや35mmフィルムで撮影するプライムタイムのドラマやミュージックビデオからキャリアをスタートできて、僕は幸運でした。とても満足できる技法だといつも感じていました。再び露出計を使っての作業は素晴らしいものでしたし、マガジンの装填、取り外し時の気持ちの良いリズムや工程を経験することも素晴らしいことでした」

「映画製作はにぎやかで気が散ることもありますが、フィルムで撮影している時のセットの雰囲気はまったく異なります。撮影の合間はみんなとても礼儀正しく、スタッフもキャストも自分の仕事に集中しています。そして、ラッシュを見る時の歓喜は格別です。それは、俳優の目の中のハイライトやセットの漆黒の中の何か、あるいは同じフレーム内での色の混ざり具合や変化など、デジタルでは得られない、予期しないほどのディテールによるものなのです」

ロンドン郊外リーブスデンのワーナー・ブラサース・スタジオ内セット

照明担当のチャック・フィンチと撮影助手のスティーブ・イリングワースの助力を得て徹底的にテストをした後、ワグナーとスナイダーが選んだのはライカ ズミルクスのレンズでした。とりわけ、27mm、35mm、65mmのプライムです。「それらは明るいレンズで、ハイライトの処理と自然なボケ味が非常に気に入りました」とワグナーは言います。

スナイダーは以前の作品のようなアナモフィックの映像を避けたいと考えていたため、本作は4パーフォレーション、1.85:1のアスペクト比で撮影されました。ワグナーがその手法を採用したのです。「どうやって6人のスーパーヒーローたちを同じフレームのスクリーンに映すかが少し心配でしたが、ザックと絵コンテを精査してみると、1.85:1はキャラクターたちを描くのにぴったりでした」とワグナーは説明します。

スナイダーは1台のカメラで撮影するのが好きなのですが、ワグナーはある機会に、2台目のカメラを使うことを監督に薦めました。「映画の絵コンテを作った時、ザックには撮影するすべてのフレームについてのアイデアがありました。ですが、僕は2台のカメラで撮影する経験を経てきたので、カメラを2台使って面白そうに見えるショットをすべて見せましょうとザックに提案しました。彼がそれを気に入ったら実践し、気に入らなかったらやめておこうということで僕たちは合意しました。カメラを2台使うのは、1日に1~2ショットであろうと予想していましたが、1週間もすると、ザックは2台目のカメラについて僕にどんどん質問してくるようになり、最終的に、映画の約95パーセントを2台のカメラで撮影しました」とワグナーは言います。

左から撮影監督 ファビアン・ワグナー(BSC、ASC)、録音技師のジョン・カザリ、照明担当のチャック・フィンチ、

ロンドンのパナビジョンから供給されたレンズとアリフレックス435および235のフィルムカメラを使用しましたが、手持ちで使うことはほとんどなく、基本的にテクノクレーンやドリーの上に載せて使いました。クロチーアがフォーカス担当のマット・ウィンドン、セカンドを担当するアビゲイル・カトーと共にAカメラを操作しました。ワグナーは、フォーカス担当のジェイミー・フィリップス、アシスタントのドム・チョウンと共にBカメラを操作しました。中枢のフィルム・ローダーはイアン・ジャクソンで、セカンドユニットの撮影監督はジャン・フィリップ・ゴザールでした。

ワグナーは、スタジオ中心の屋内や夜のシーンの撮影のほとんどにコダックVISION3 500T 5219を使い、天気に左右される昼の屋外の撮影にはVISION3 250Dと50Dを使いました。

「500Tはすばらしいフィルムです。色再現が良く、粒子が少ないうえに、汎用性に優れています」とワグナーは断言します。「高感度なので低照度の環境でも使えますし、そのダイナミックレンジは黒やハイライトの中のディテールも非常にうまく取り扱います。VFXチームに必要だった多くの情報を含む、しっかりと中身の詰まったネガを作ることができ、彼らは大変満足していました」

しかしワグナーは、500Tを選んだ別の理由を明らかにします。「ザックはスローモーションのアクションシーンを撮影するのが好きで、『ジャスティス・リーグ』も例外ではありませんでした。500Tでの撮影で良かった点は、レンズとラボ(アイ・デイリーズ社。現在、パインウッドにあるコダック・フィルムラボ・ロンドン)とのコンビネーションが映像のクオリティを維持しつつ、数絞り増感して彼の要求に素早く対応できた点です。たとえば、120fpsで撮影する際に適切な露光量を得るには、レンズを1、2絞り開いてT2.8くらいにしてから、必要に応じてさらに1、2絞り分ラボで増感現像をします。大がかりな変更をしたり、シーンに照明を足したりする必要がないのです。10秒あればできます」

『ジャスティス・リーグ』で使用されたカチンコ

特に楽しんで撮影したシーンについて尋ねると、ワグナーは最後にこう述べました。「バットマンとゴードン本部長の撮影はとてもかっこ良かったです。ですが僕にとっては、こんな大規模なプロジェクトで仕事ができて毎日が最高の経験でした。ザックとプロデューサー陣には、これほどのスケールの映画を撮った経験が無い撮影監督を参加させてくれたことに本当に感謝しています。この業界では普通ではないことが起き得るものですが、『ジャスティス・リーグ』の僕の経験はまさにその良い例ですね!」

(2017年11月7日発信 Kodakウェブサイトより)

『ジャスティス・リーグ』

 原題   : Justice League
 製作国  : アメリカ

 配給   : ワーナー・ブラザース映画

 公式サイト: http://wwws.warnerbros.co.jp/justiceleaguejp/

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