2017年 12月 12日 VOL.093

映画『オリエント急行殺人事件』

臨場感と情感に満ちた旅の撮影にコダック 65mmフィルムを使用

ケネス・ブラナーが監督・主演を務めた『オリエント急行殺人事件』 Photo by Nicole Dove. Copyright Notice: © 2017 Twentieth Century Fox Film Corp. All Rights Reserved.

東ヨーロッパの冬山を横断する蒸気機関車の豪華な旅は、雪崩によって進路を遮られ、立ち往生することになります。そして車中では、恐ろしい殺人事件が発覚します。幸いなことに、そこに居合わせた有名な探偵であるベルギー人のエルキュール・ポアロが事件の捜査にあたります。

1934年に刊行されたアガサ・クリスティーの同名ベストセラー小説を基にした『オリエント急行殺人事件』は、ラージフォーマットのコダック 65mmフィルムで撮影され、ケネス・ブラナー監督と撮影監督ハリス・ザンバーラウコス(BSC、GSC)がタッグを組む5作目となりました。2人が共に参加し、成功を収めた過去の作品には、『スルース』(2007年)、『マイティ・ソー』(2011年)、『エージェント・ライアン』(2014年)、『シンデレラ』(2015年)があり、これらはすべて35mmフィルムで撮影されています。

20世紀フォックスは、2013年12月に『オリエント急行殺人事件』の製作発表を行い、2015年11月にブラナーを主要キャストおよび監督に起用しました。本作には、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジュディ・デンチ、ジョニー・デップ、ジョシュ・ギャッド、デレク・ジャコビ、レスリー・オドム・ジュニア、ミシェル・ファイファー、デイジー・リドリー、オリヴィア・コールマンらが出演しています。

Photo by Nicole Dove. Copyright Notice: © 2017 Twentieth Century Fox Film Corp. All Rights Reserved.

実写の撮影が本格化する数ヶ月前に、ザンバーラウコスはニュージーランドアルプスで、後に凍てついた背景として使用されるショットの撮影を行いました。このショットは互いに縫い合わされて初めてカラーグレーディングされました。そして機関車や客車を取り巻く連結された巨大なLEDスクリーンにアップロードされ、65mmフィルムでの製作が本格的に始まったのです。

セットで撮影中のデイジー・リドリーとケネス・ブラナー Photo by Nicole Dove. Copyright Notice: © 2017 Twentieth Century Fox Film Corp. All Rights Reserved.

英国のロングクロス・スタジオに大がかりで精巧なセットが組み立てられ、2016年11月末にスターキャストが参加する主要な撮影が開始されました。スタジオでは作中のイスタンブール駅とブロド駅のシーンが撮影され、さらに、雪崩により蒸気機関車が停止し、推理ドラマの大部分が繰り広げられることになる陸橋も特設されました。

英国のロングクロス・スタジオに組まれた陸橋のセット Photo by Nicole Dove. Copyright Notice: © 2017 Twentieth Century Fox Film Corp. All Rights Reserved.

ブラナーにとって、ラージフォーマットフィルムでの製作は初めてではありませんでした。以前、彼自身が監督・主演した『ハムレット』(1995年)は、撮影監督アレックス・トムソン(BSC)により、65mmフィルムで撮影されました。最近では、クリストファー・ノーラン監督作『ダンケルク』(2017年)に出演しましたが、これは撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマ(FSF、NSC)により、コダックの65mmフィルムで撮影された作品です。

ケネス・ブラナー(右)と撮影監督ハリス・ザンバーラウコス(BSC、GSC) Photo by Nicole Dove. Copyright Notice: © 2017 Twentieth Century Fox Film Corp. All Rights Reserved.

「私にとって、映画製作に重要なのはフォーマットが内容に合っていることです」とブラナーは述べています。「聖書以降、地球上で最も売れた作家の2人が、ウィリアム・シェイクスピアとアガサ・クリスティーです。この非凡な才能たちの作品には、フィルムによる選び抜かれた表現がふさわしいのです。『ハムレット』では、65mmフィルムを使うことでシェイクスピアの作品をわかりやすくし、人間的な側面がはっきり表れるようにしたいと思っていました。『オリエント急行殺人事件』では、格式ばった伝統的な描写から離れ、この物語の中の生きたキャラクターたちのありのままの生々しい姿を観客に見てもらいたかったのです。我々が、蒸気の臭いを感じたり、当時黄金期を迎えていた機関車の旅の豪華さに引き込まれたり、同時に、それぞれのまったく異なる複雑なキャラクターたちの目をのぞき込んだり、内面の弱さを発見したりするのです。フィルム、特に65mmのラージフォーマットフィルムには、特別な臨場感と緊迫感があります」

オリビア・コールマン(左)とジュディ・デンチ Photo by Nicole Dove. Copyright Notice: © 2017 Twentieth Century Fox Film Corp. All Rights Reserved.

ザンバーラウコスは本作のために3タイプの65mmフィルムを選択しました。夜間および屋内のシーンにはコダック VISION3 500T 5219を、そして屋外のシーンには250D 5207と50D 5203を使用しました。

「ラージフォーマットフィルムは見晴らしの良い風景を撮影するのに優れていますが、じっくり視線をはわせたり、キャラクターに集中したりするような人物描写にも使えます。フレームが消えるほどの没入感で、臨場感が素晴らしい」とザンバーラウコスは言います。「芸術的には、コダックフィルムはどれも色再現が良く、微粒子です。実用面ではシームレスだと言えます。つまり、非常に広範な照明の状況に対応したフィルムタイプが使え、撮影日を最大限活用するよう継ぎ目なくフィルムタイプを切り替えられるのです」

未亡人役のミシェル・ファイファー Photo by Nicole Dove. Copyright Notice: © 2017 Twentieth Century Fox Film Corp. All Rights Reserved.

「500Tは、色のニュアンスやハイライトおよびシャドウのディテールなど、すべてを捉えます。その場の灯りだけで照明した、薄暗いノワール風のシーンがいくつかありましたが、500Tで完ぺきに撮影できました。真冬の英国で撮影していた時には、屋外のシーンでは、ほぼ250Dを使用しました。また、シャドウ部もよく捉えるので、自然光が消える間際まで撮影時間を延ばすことができました」

また、ザンバーラウコスはこう説明します。「50Dは65mmフィルムの持つ力を別のレベルに引き上げます。たとえば、陸橋の上のポワロとメアリ・デブナムの屋外のシーンに使いましたが、仮にデジタルで撮影した場合と比べると、色のレベルやニュアンスがずば抜けており、特に顔のあたりの中間トーンが優れています。純然たる解像度も見事です。ささやかな一瞥やまばたきを捉え、まるでポワロと一緒に本当にその場にいるかのような感じがします。最も没入感と臨場感があるのがこの65mmフィルムであり、3Dよりもはるかに立体的です」

ケネス・ブラナーとデイジー・リドリー Photo by Nicole Dove. Copyright Notice: © 2017 Twentieth Century Fox Film Corp. All Rights Reserved.

ブラナーは、デジタルで撮影されるさまざまな映画やテレビ作品に出演していますが、自らが監督をするとなると、依然としてフィルムを好むことは揺らぎません。自身の監督作15作品と短編3作品はフィルムで撮影されています。彼の次回作、『Artemis Fowl(原題)』もまた、ザンバーラウコスによってフィルムで撮影する予定です。

ポアロ役を務めるケネス・ブラナー(左)の準備の合間に次のショットについて相談する撮影監督ハリス・ザンバーラウコス Photo by Nicole Dove. Copyright Notice: © 2017 Twentieth Century Fox Film Corp. All Rights Reserved.

「私はいつもフィルムがもたらすものに引きつけられるのです」とブラナーは語ります。「我々ははかない芸術様式を扱っており、筋肉や人間的側面を作品の中に入れ込むことをできる限り追求する必要があります。フィルムの粒子には独特の質感があり、それが、より現実的な感じがする錯覚を作り出します。つまり、人間の容貌や肌のトーンを別の形で視覚的に作り出すのです」

富豪のラチェット役のジョニー・デップ Photo by Nicole Dove. Copyright Notice: © 2017 Twentieth Century Fox Film Corp. All Rights Reserved.

しかし、フィルムの芸術的な属性だけでなく、撮影メディアとしての他の特性や映画全体にもたらす効果も、ブラナーには非常に合っています。彼の説明によれば、「フィルムを使うと、映像作りと物語作りを深く理解することができます。カメラの中のスプロケットという精密な機械で回されるフィルムの姿や音、フィルムの装てんおよび取り外しの儀式とリズムが100年におよぶ映画の歴史との貴重な繋がりを感じさせてくれます。これらの視覚的、聴覚的、触覚的な属性は、セットでのスタッフ同士の相互関係を培います。劇場に足を運んだ観客はそれを直観できるはずです。デジタル作品で感じていたものとは違って、キャストやスタッフが異なるレベルで物語作りに貢献していることを感じることができるでしょう」

「大活躍中の映画製作の名匠が世に送り出した、2017年で最も成功した映画のひとつである『ダンケルク』の衝撃を過小評価することはできません。あの作品に関われたことは光栄でした。とても特別な映画体験です。ラージフォーマットフィルムが、壮大なシーンと人間の情感に観客をいざなうのです。ノーラン監督の作品では、スクリーンの大小を問わず、様々な卓越した方法で観客を楽しませているときに、同時にフィルムにでできることの素晴らしい例を見ました。

宣教師役のペネロペ・クルス Photo by Nicole Dove. Copyright Notice: © 2017 Twentieth Century Fox Film Corp. All Rights Reserved.

『オリエント急行殺人事件』を65mmのラージフォーマットフィルムで撮影することで、『ダンケルク』と同じような、肯定的で際立った貢献ができればと思います。フィルムにはまだ、賛美すべき特別な何かがあるのです。コダックが映画製作者の仕事に対し、引き続きフィルムを提供してくれているのは大変うれしいことです。観客はその出来栄えにとても興味を持ってくれていると信じているからです」

『オリエント急行殺人事件』は、カメリマージュ国際映画祭25周年記念のオープニング上映にふさわしい作品でした。映画芸術に対する演技面での貢献を認められたブラナーは、同映画祭で栄誉ある「クシシュトフ・キエシロフスキー賞」を受賞、また、撮影監督・監督2人に対する賞、「シネマトグラファー – ディレクター・デュオ賞」をザンバーラウコスと共に受賞しました。

(2017年11月14日発信 Kodakウェブサイトより)

『オリエント急行殺人事件』

 原題   : Murder on the Orient Express
 製作国  : アメリカ

 配給   : 20世紀フォックス映画

 公式サイト: http://www.foxmovies-jp.com/orient-movie/

 予告映像

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