2017年 12月 15日 VOL.094

盛り上がりを見せる映画制作とフィルム修復に恵まれるパリの現像所、ハイヴェンティ社

パリにある活気に満ちたハイヴェンティ社の現像所では、毎日フィルム現像が行われている

「フィルムは映画の魂であり、完全に存続可能である」。こう語るのはフランスのポストプロダクション兼フィルム修復施設、ハイヴェンティ社(Hiventy)の営業部長、ベンジャミン・アリミです。「ますます多くの監督と撮影監督がフィルムでの撮影に立ち戻り、より多くの若い映画制作者たちも、映像を生き生きとしたものにするアナログを重視しています」

シャネル、ラコステ、ナイキ、ヘネシー、ヴァンズのような国際的なブランドのコマーシャルにフィルム現像サービスを提供しているハイヴェンティ社は、近年の数多くのフランス長編映画の支援も行っています。こうした作品の中には、ミシェル・アザナヴィシウスの『Redoutable』、ヤン・ゴンザレスの『Un Couteau Dans Le Cœur』、ギョーム・ニクルーの『Les Confins Du Monde』、レア・ミシウスの『Ava』、フィリップ・ガレルの『L'Amant d’Un Jour』、クリストフ・オノレの『Plaire,baiser et courir vite』、マチュー・アマルリックの『Barbara』、フランソワ・オゾンの『婚約者の友人』などがあります。

「私たちはこうしたアナログの復興、そしてますます多くの16mmや35mmフィルムを現像できることをうれしく思っています」とアリミは述べます。「これは、今日のフィルムがより有機的なイメージを伴って、何か“違う”ものを生み出す素晴らしい手段だからではないかと思います。美は重要な要素で、フィルムの映像はデジタルよりも生き生きとしています。スティーブン・スピルバーグ、クエンティン・タランティーノ、クリストファー・ノーラン、J・J・エイブラムスのような国際的な映画制作者たちが皆フィルムで撮影している影響も軽視できません。こうしたことがフランスの映画制作者たちをまさに喚起しているのです」

ハイヴェンティ社は、パリ郊外のポンジョアンヴィル=ル=ポンでフォトケミカルに関する事業を行っていますが、この場所には感動的な映画の歴史があります。元々この施設は1906年にフランス映画と録音機材業界のパイオニアであるシャルル・パテのために、民間の技師であり建築家であるギュスターヴ・エッフェルが建てたものでした。パテ・フィルム・スタジオは1910年頃に設立され、会社はあっという間に世界最大の映画機材と製作、そして蓄音機の大手製造メーカーとなりました。

ハイヴェンティ社の歴史的な建物はシャルル・パテによって建築され、エッフェルがそのデザインを手がけた。画像は1911年に撮影されたもの。コピーライト:ジェローム・セドゥ=パテ財団

ジャン・ルノワール、マルセル・カルネ、プレヴェール兄弟、ジュリアン・デュヴィヴィエ、ジャン・ベッケルといったフランス映画界の伝説となった人々は、皆この施設を利用して、『我等の仲間』(1936年)や『肉体の冠』(1952年)のような名作を作りました。また、ジャン・ギャバン、シモーヌ・シニョレのような著名な映画スターも定期的に地元のナイトクラブやダンスイベントに華を添えてくれました。

「私たちにとって非常に象徴的なのは、この施設が設立されて100年以上も経つというのに、こうした偉大なフランスの映画制作者たちと同じ場所で、依然として映画制作の伝統、知識、ノウハウを継承しているということです」とアリミは言います。

今日、ハイヴェンティ社のフィルム現像所は、グループ企業の中でも非常に大きな部門となり、AV機器や映画技術に関するサービスをフランス各地やロサンゼルス、ワルシャワ、ホーチミンで国際的に提供する大手企業としての役割を果たしています。また2015年にはネットフリックス社の推奨ベンダーに指定されています。

フィルムはパリにあるハイヴェンティ社の現像所で毎日現像されている

16mmと35mmフィルムの現像とプリントを白黒やカラーで行うだけではなく、ジョアンヴィルの現像所は、フィルムの修復とフィルムでの長期保管/保存で非常に有名になりました。こうしたオペレーションは、長年フィルムを扱ってきただけではなく、デジタル媒体の最新技術も取り入れている35名の優秀なチームによって行われています。

映像と音声の同期作業

「現代において、私たちは両方の世界でクライアントに最高のものを提供することができます」とアリミは言います。「フィルムで撮影し、4Kで後処理を行う、そしてフィルムに戻すという間には、紛れもない親和性があります」

ハイヴェンティ社は定期的に、オリジナルの35mmネガフィルムをデジタルで修復し、新しいコダック ネガに焼きつけるということを行っています。地元のクライアントの1社であるシネマテーク・フランセーズは、世界中の映画に関する資料や物品を所蔵する最大級のアーカイブです。また、フランスで映画やオーディオビジュアルアートの制作とプロモーションを担うフランス国立映画映像センター(CNC)もクライアントです。さらに、ハイヴェンティ社の現像チームは、スイスのシネマテーク・スイスやベルリンのドイツ・キネマテークなど他国の公的なアーカイブとも定期的に連携しています。

ナイトレートフィルムの修復を専門とするハイヴェンティ社のチーム

近年修復した作品には、ルイス・ブニュエルの『昼顔』(1967年)、ジャン=リュック・ゴダールの『女と男のいる舗道』(1962年)、マルセル・パニョルの『The Baker's Wife』(1963年)、ジャック・ドゥミの『シェルブールの雨傘』(1964年)、フランソワ・トリュフォーの『終電車』(1980年)などがあります。

2016年、ハイヴェンティ社は、コダック、フランス国立映画センター(CNC)、シネマテーク・フランセーズ、フランス国営放送局のTF1と協力し、非常に人気が高いアンリ=ジョルジュ・クルーゾーのモノクロクラシック映画『恐怖の報酬』(1953年)を、オリジナルのナイトレートフィルムから修復しました。この映画はウェットゲート処理をしてスキャンし、デジタルで修復するために4Kにしたあとに新しいフィルムに焼きつけられました。作品は、2017年カンヌ国際映画祭のカンヌクラシック部門でDCP上映されました。

フィルムの焼き付け作業はハイヴェンティ社にとって重要なマーケットである

ハイヴェンティ社のフィルム修復事業が成功を収める一方で、自分の作品をフィルムで保存しておきたいと思っている映画制作者たちが増加しているとアリミは語ります。新しいネガやプリントを、フィルムやデジタルで制作された作品からおこすのです。こうした中にはリュック・ベッソンの『ヴァレリアン』や『Le Sens de la fête』、『Divines』など、すべてデジタルで撮影された作品もあります。

フィルムのデジタル修復において、ハイヴェンティ社は常にアナログ的な視点を探求している

「フィルムは、将来的に作品を保護するのに断然優れています」とアリミは述べます。「ハードドライブやLTOに素材を保存しても、そのデータに15年以上アクセスできる保証はありません。フィルムは何十年、何百年ともいえる耐久性があり、誰もが将来それを読み込むことができます。必要なのは光を当てることだけですから。100年以上前に作られたフィルムを見ても、今のデジタルツールと同じくらい良好な状態です」

ハイヴェンティ社はいくつかの世界的なアーカイブのアナログ修復を行っている。アナログ的な手法で染色・調色が可能なデスメット法と呼ばれる手法を専門のひとつとしている

フランスでフィルムの復興がどんどん進む中、ハイヴェンティ社は定期的にコダックと連携して、より大きなプロジェクトを実施し、映画制作者たちがフィルムに戻ってくるよう促しています。定期的に現像所のツアーを行ったり、シネマテーク・フランセーズやカンヌ国際映画祭でのイベントをミシェル・アザナヴィシウスやネメシュ・ラースロー(『サウルの息子』)といった監督とともに主催したりしています。また、フランスの一流の映画学校と提携して(特に有名な学校としてはラ・フェミスやルイ・ルミエール映画学校が挙げられます)、教育カリキュラムの中でフィルムの存続を奨励しています。

「フランスでのフィルムサービスについての誤解に苦しむ人のために、コダック、そしてハイヴェンティ社はここにあり、共に力を合わせています」とアリミは締めくくります。「フィルムは生きていて、有機的で、唯一無二で、予算オーバーになるようなこともありません。デジタルの資産を扱ったり管理したりするよりも、フィルムの現像やポストプロダクションの方が思っていたよりも費用が安くなることもあるのです。ぜひ、試してみてください」

(2017年10月4日発信 Kodakウェブサイトより)

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