2018年 6月 29日 VOL.109

フィルムの力強さを示す手本となる映画『さようなら、コダクローム』

エド・ハリスとジェイソン・サダイキス Image courtesy of Netflix.

2018年4月、映画『さようなら、コダクローム』の欧米拡大公開のすぐ後に、ヴァラエティ誌の「注目すべき撮影監督10人」の1人にアラン・プーンが名を連ねました。本作は、2010年のアーサー・グレッグ・サルツバーガーによるニューヨーク・タイムズ紙の記事「コダクロームのファンたちにとって、道はカンザスの現像所で終わっている」を基にしており、唯一残っているコダクローム・スチル写真のラボで写真を現像するため、父と息子が旅をする映画です。しかし、コダクロームという前置きがアナログ技術への懐かしさを誘う一方で、この映画自身が、フィルム感光乳剤は映画製作者の選ぶツールとして引き続き活力と実現性を保っているという説得力のある根拠となっています。プーンは、35mmのコダックフィルムで本作を撮影しました。『さようなら、コダクローム』はNetflix(ネットフリックス)に購入される前に映画祭を巡り、成功を収めました。

プーンとラソは以前にも、ラソのコロンビア大学修士論文となる映画『Under(原題)』(学生アカデミー賞を受賞)など、数々のプロジェクトで共同作業をしています。2014年に2人で制作した『Copenhagen(原題)』は、スラムダンス映画祭で観客賞を受賞し、審査員特別賞にノミネートされました。

左からエリザベス・オルセン、ジェイソン・サダイキス、マーク・ラソ監督 Image courtesy of Netflix.

『さようなら、コダクローム』には、オスカーに4度ノミネートされたエド・ハリスや、ジェイソン・サダイキス、エリザベス・オルセンなど強力なキャストが揃っており、性格描写が秀逸な作品となっています。ハリスが巧みな演技で演じるのは、無愛想なドキュメンタリーのスチル写真家です。彼には死期が迫っており、強烈なイメージを探し求めて地球を旅しています。サダイキスは安定したコメディーのセンスに加え、力強くドラマチックな演技を見せ、父親なしで育った高慢で怒りっぽい息子を演じました。映画はユーモアを織り交ぜつつ、感動的な最後のシーンには、登場人物たちが揺るぎない教えを得るのです。

映画『さようなら、コダクローム』の1シーン Image courtesy of Netflix.

プーンと監督のマーク・ラソが『さようなら、コダクローム』で作ったルックは、フィルム独特の質感や、つやのある肌のトーンの再現性を活用しています。フィルムのビジュアルは俳優たちの演技をさりげなく引き立て、デジタルのとげとげしさに対抗し、古い欠陥のあるレンズを使う一般的な流れに対照的な上品さなのです。

エド・ハリスとエリザベス・オルセン Image courtesy of Netflix.

「現代的なルックに仕上げるために我々が求めていたのは、一番くっきり撮れる、今風のレンズだったので、レンズはツァイス・マスター・プライムを選びました。本作の70パーセントは焦点距離35mmで撮影したはずです」とプーンは言います。「NDフィルター以外のフィルターは使いません。設定が2010年のストーリーなので、画に大げさなビンテージ感は必要ありませんでした」

カメラには、屋外および自然光が入る屋内用にコダック VISION3 250D カラーネガティブ フィルム 5207、夜間およびその他の室内用にコダック VISION3 500T カラーネガティブ フィルム 5219を装填しました。

カメラの動きをチェックする撮影のアラン・プーン Image courtesy of Netflix.

「自分の思った通りの光量とコントラスト比を計測するのに苦労しましたが、本能的な勘や経験で、フィルムで撮影できるタイミングが分かったこともありました。例えば、マットがスライドを見る最後のシーンでは、メーターには「エラー」と出ていました。私はそのシーンを絶対に暗く柔らかくしたいと思っており、私の直感はそのままにしようと言っていました。仕上がりには大変満足しています」

Image courtesy of Netflix.

映画の前半で父と息子が同じフレームに納まることはなく、それによって潜在意識的に彼らの遠い距離感を伝えています。ガラス越し、あるいは反射で登場人物の姿が見えることがしばしばあるのですが、これも、無関心で人情を解さない写真家の人格、写真撮影における客観性という一種の視覚的隠喩を明確に示すために考えられた戦略なのです。プーンは、照明のラメーシュ・ヨゲンドランとキーグリップのリンジー・トッドが、こういった反射を使ったショットでねらい通りの照明や透過のレベルをセットするのを助けてくれたと称えています。そこには、作られた感じや人工的な感じが一切ありません。

マーク・ラソ監督(右)と現場で相談する撮影監督のアラン・プーン Image courtesy of Netflix.

「フィルムは光を大切にします」とプーンは言います。「対象物に光を当てる必要があるのは、感光乳剤がディテールを捉えられるようにするためだと思います。そうしなければインクのように真っ黒になってしまうかもしれません。フィルムのルックを豊かで特別なものにしている要素の1つでもあります。雰囲気が確実にひと味違うのです。フィルムで撮影された焦点の外のエリアには何かより絵画的なものがあり、焦点の合った状態から外れた状態までの移行がデジタルのように荒っぽくないのです。フィルムの方が寛容なのだと分かります。私は絞りをT2.8あたりに落ち着かせようとしていました。何もかもがややくっきりし、よりコントラストが強くなることを発見したからなのですが、それは私がこの作品に求めていたものです」

Image courtesy of Netflix.

本作はモントリオールのMELSで現像され、テクニカラー・モントリオールがスキャンを実施しました。テクニカラー・トロントがラッシュとその後のワークフローを監督しました。露光済フィルムはトロントのセットからモントリオールに運ばれ、ラッシュはたいてい24時間以内にオンラインに上げられました。

「カラリストのトレバー・ホワイトといつも話し合っていました。彼は見事に一発で決めてくれました」とプーンは言います。「1週目が終わった後、私にはすべてが軌道に乗っていることが分かりました。最終的な色味は、非常に才能ある協力者であるマーク・キーパーが仕上げました」

カンザスのドウェインズ・フォト(現像所)のシーン撮影 Image courtesy of Netflix.

このプロジェクトを振り返り、プーンはこう語ります。「フィルムでの撮影は、このストーリーにとって最もロマンチックな選択のように思えました。デジタルで撮影する時には、我々は画に特色や面白みを与えるような要素を探し、単調なデジタルの世界から出ようとします。今回の場合は真逆でした。フィルムは本質的に豊かさや深み、質感を与えてくれます。我々はその暖かみの中に構築される登場人物たち、照明、作品を考慮しながら、技術的に申し分のないレンズを使って現代的な雰囲気を維持しました」

マーク・ラソ監督と出演者たち Image courtesy of Netflix.

『さようなら、コダクローム』は2017年のトロント国際映画祭で初披露され、その後まもなくNetflixが獲得しました。その額は400万ドルと報道されています。『さようなら、コダクローム』は2018年4月20日にストリーミングサービスで初配信されました。

(2018年5月7日発信 Kodakウェブサイトより)

『さようなら、コダクローム』

 原 題: Kodachrome
 製作国: アメリカ

​ Netflixにて配信中

 公式サイト:https://www.netflix.com/jp/title/80216834

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