2018年 8月 1日 VOL.112

【世界のラボ紹介】

スイスのシネグレル・ラボは、映画制作およびフィルム保存の世界的なチャンスに目を向ける

シネグレルが所有するアリスキャン

スイスを訪ねることがあれば、険しい山並みを通る交通網を実現させた国家事業から、誰もが欲しがる時計に組み込まれた緻密な機械装置まで、その傑出した技術力の高さに衝撃を受けることは間違いないでしょう。

チューリヒにある、フォトケミカルラボおよび製品レンタルとデジタル・ポストプロダクション会社シネグレルの社長であり、設立者であるリチャード・グレル は「最高の腕時計と同じく、私たちも『スイス製』です」と言います。「我々はここで一流の品質と精密さを提供しています。だから人々は我々のもとを訪れ、また我々のもとに通ってくれるのです」

1995年にシネグレルが設立された当初は、HDビデオカメラのレンタルと技術スタッフ派遣の会社でしたが、着実にサービスの幅を広げ、アナログのフィルムカメラ、フィルム現像、修復、アーカイブ、合わせて最先端のカラーグレーディング、編集、VFXポストプロダクションにまで及ぶようになりました。会社はチューリヒ空港近くに位置し、数多くのクライアントの中には国内の映画およびドキュメンタリー制作者、スイスの公共テレビ・ラジオ放送局SRF、有名な国立アーカーブであるシネマテーク・スイスなどの名前があります。

シネグレルのチューリヒ オフィス

2013年のエグリ・フィルム・ラボの獲得と、その後のシネグレルへの統合を見守ったグレルは、「スイスで唯一現役であり、フォトケミカルの映画の現像所であること、そして、そのアナログの資産を最新のデジタル設備で補っていることを誇りに思います。そのすべては経験豊富な技術者たちによって支えられています」と言います。「我々が特に情熱を燃やすのは、制作と長期的保管の両方に有用なメディアとして、フィルムを生かし続けることです。そして、スイス国内市場の外側からの、新しい国際的なビジネスを促進する道を積極的に模索しています」

シネグレルは全種類のデジタルカメラのレンタルを行っていますが、同時に、アリフレックス416、435、アリカムLT、アトーン・ペネロープ35mmなどの、16mmおよび35mmのフィルムカメラの在庫も揃えています。また、フィルムレンズも、ライカ ズミルックスC、ツァイスのマスターアナモフィックレンズ、アリのシグネチャープライムレンズ、さらにクック、シグマ、アンジェニュー、フジノンなど様々なレンズを提供しています。

「我々のフィルムカメラとレンズは、完ぺきな作業手順でメンテナンスされており、また、非常に手ごろな価格でカメラを購入したため、手ごろな価格で提供することができます」とグレルは語ります。「ですから、もしスイスでフィルム、あるいはデジタルで撮影をしたい場合は、我が社を訪ねてくだされば、いつでもお手伝いします」

シネグレルはスーパー8フィルムのスキャニングサービスも提供している

シネグレルのカメラ、レンズを利用する国内のクライアントには、スイスのプロデューサーや監督がおり、『Mary Queen of Scots(原題)』(2013年)と『Day Is Done(原題)』(2011年)のトーマス・イムバッハや、『Little Mountain Boy(英題)』(2015年)を監督したクサヴァー・コラーなどがいます。オランダの撮影監督レムコ・シュノールは、ティス・リュッシャー監督のドラマ『Rider Jack(原題)』(2015年)でシネグレルのペネロープを採用し、2パーフォレーションで撮影しました。また、フランスの撮影監督エレーヌ・ルヴァール(AFC)は、クローディア・レイニカ監督による16mm作品『Il Nido (The Nest)(原題)』(2016年)にアリフレックス416を用いました。その映画制作者たちも、シネグレルのラボやラッシュ、デジタルスキャニング、ポストプロダクションの設備を使ったのです。

シネグレルのラボサービスでは、コダック キット ケミカル製品を使用した16mmおよび35mmのカラーネガティブ(ECN現像)、さらに白黒ポジティブおよびネガティブの現像をしており、超音波や手作業でのクリーニングも合わせて行っています。フィルム修復について言えば、シネグレルは、ニトロセルロースなどの古いフィルムや破損したパーフォレーション、あらゆる種類のフィルム接合に対する修復サービス、手作業での検査や分析を行っています。

アナログのフィルムは、ARRISCANで2Kもしくは4Kにデジタル化されます。アリ社のスキャナーは、繊細で破損しやすいニトロセルロースやアセテートのリールを、スプロケットやピンを使わずにスキャンできるのです。スキャンされた素材はその後、手作業もしくは自動化されたワークフローのどちらかで、最新のデジタル修復作業が施されます。シネグレル社内のデジタルグレーディングシアターには、字幕やDCIに対応した4Kのカラーコレクションが備わっています。

スイス・チューリヒにあるシネグレルのフィルムスキャニングルーム

シネグレルは2018年、35mm原版からの作業を行い、1950年代のスイスのロマンチックコメディーの古典『Uli Der Knecht (Uli The Farmhand)(原題)』と『Uli Der Pächter (Uli The Tenant)(原題)』(2作品ともフランツ・シュナイダー監督作)、および、クルト・フリューのメロドラマ『Oberstadtgass(原題)』(1956年)の、フルデジタルでの修復を完了しました。すべてSRFからの依頼です。

シネグレルは最近、ノーベル賞を受賞した物理学者レフ・ランダウを描く、イリヤ・フルザノフスキーの待望の伝記映画『Dau(原題)』に協力し、スキャンサービスを提供しました。スターリン時代のロシアを再現した『Dau(原題)』は、数年に亘って35mmフィルムに撮影され、シネグレルは1年の大部分をかけて、なんと1750リールものフィルムを2Kでスキャンしました。

シネグレルのレーザーフィルムレコーダー

シネグレルでの長期的なアーカイブと保管サービスでは、クライアントの希望次第で、映像のデジタルデータを35mmのポリエステルフィルムに焼きつけることもできます。使うのは2台のアリレーザーで、1台は白黒用に校正されており、もう1台はカラーフィルムへの出力用です。

シネマテーク・スイスだけでなく、シネグレルのフィルムアーカイブおよび保管サービスのクライアントには、ジュネーブの赤十字国際委員会や、独自の記録を持つスイスの様々な地域などがあります。最近のプロジェクトでは、文化遺産のフィルム550リールのスキャンを行いました。グラウビュンデン地方が所有していたフィルムには、状態のひどいものもありましたが、続けてフルデジタルでの修復を行い、多くのリールを35mmに戻して保管しました。また、シネグレルは国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)を積極的に支援しています。

シネグレルの現像機

「実際に、我々は国際基準に合った品質の修復に注視し続けています」とグレルは言います。「継続的に知識を深め、我々のフィルム保存サービスを伝えていくために、世界各地で行われるFIAFの会合やセミナーに定期的に参加しています」

もちろん、資産を保管するのにハードドライブやLTOといった記憶装置が費用的に優れており、利便性が高く、安全であると考えがちなのですが、グレルはすぐにそういった理解を退けます。

「私は、クライアントの方々に、長期的な安全性を保つ唯一の方法は、フィルムに記録し直すことだと伝えています。デジタル装置やデジタルのフォーマット、デジタルの手順は今のところ、充分に安全だとは言えません。データは管理され、プラットフォーム間を乗り換えていかなければなりませんが、そのデータを読み取るソフトウェアが今から10年、20年後にも機能する保証はありません。それに、ドロップアウトや装置の不具合の場合にはどうするのでしょうか?」

「ですから私は常々、最適な長期的な記憶媒体として、クライアントにフィルムをおすすめしています。良好な状態で保存されているリールはアクセスしやすく、非常に長い期間、おそらく200年以上は完ぺきな映像の品質を保ってくれます」

シネグレルのデジタルフィルムレストレーション

未来に目を向けるグレルは、自分の展望について、ヨーロッパの近隣諸国やイギリス、アメリカから国際的な映像制作や修復および保存の仕事を引き受け、会社のビジネスを広げることだと言います。

「映画やテレビのフィルム制作をしていて、カメラチームが必要だったり、フィルム現像、古いフィルムのデジタル化、保存をしたいと思ったりしたら、シネグレルに任せてください。ここにはすべてがあります。我々がすばらしいサービスを一括で提供し、喜んであなたのお手伝いをします」

(2018年7月18日発信 Kodakウェブサイトより)

シネグレルのHP:
https://www.cinegrell.ch/en/about-us/

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