2018年 9月 20日 VOL.120

映画『プーと大人になった僕』

― 作品の象徴的な自然風景を65mmと35mmのコダックフィルムで再現

『プーと大人になった僕』の1シーン、クリストファー・ロビン(ユアン・マクレガー)と旧友のくまのプーさん Courtesy of Walt Disney Pictures.

ディズニーの実写映画『プーと大人になった僕』の撮影方法にフィルムを取り入れる決断をしたことについて、撮影監督 マティアス・クーニスバイゼルは、「撮影に入る前から頭の片隅では、魔法のような森の自然美を引き立てられるのはフィルムしかないと確信していました」と言います。

「フィルム、特に65mmフィルムで自然を撮影することで、観客にとてつもない衝撃をもたらすであろうと思っていました。また、原作となる本「くまのプーさん」の物語と美しい挿絵へのオマージュにもなります」

さらにクーニスバイゼルは、「自然も含め、本作で見られるものはすべて、少なくとも映画全体の3分の1は65mmか35mmフィルムで撮影されています。その大部分が自然な、その場の光で撮影されたものです」と言い添えます。

ディズニーの実写映画『プーと大人になった僕』の撮影現場にて、ハンドクランクに改造したARRI 35 IIIでボーナスカットを撮影中のマティアス・クーニスバイゼル Photo Credit: Laurie Sparham. © 2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

製作費8,000万ドルの本作は、1926年に出版されたA.A.ミルンの名作児童書「クマのプーさん」と、アイコン的なE.H.シェパードの挿絵を原案に、マーク・フォスターが監督しました。物語では、大人になって空想する力を失ってしまったクリストファー・ロビン(ユアン・マクレガー)が、旧友のくまのぬいぐるみ、くまのプーさん(声:ジム・カミングス)や、ティガー、ピグレット、イーヨーたちと再会し、彼らと共に“100エーカーの森”と“棒投げ橋”での喜びを再発見します。

『プーと大人になった僕』の主要な撮影は2017年8月にイギリスで始まり、11月の終わり頃に70日間の撮影期間が終了しました。“100エーカーの森”のシーンの多くはアッシュダウンフォレストとピッピングフォード・パーク、イースト・サセックスで撮影されたのですが、王室所有のウィンザー・グレート・パーク内の私有地と同じく、これらも原作シリーズのモデルとなった場所です。セットの設営と舞台作業はイギリスのシェパートン・スタジオで行われ、作中の水のシーンにはパインウッド・スタジオのUステージが使われました。

ディズニーの実写映画『プーと大人になった僕』に登場するキャラクターたち。左から、ピグレット、プー、ラビット、ルー、カンガ、ティガー、イーヨー Courtesy of Disney. © 2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

当初はデジタルだけの撮影が計画されていたのですが、クーニスバイゼルによると、彼とフォスター監督は、フィルムの利点をスタジオに理解してもらうため、4ヶ月の準備期間内にフィルムによる一連のテストを行うという構想を持っていたそうです。

「E.H.シェパードの原案の挿絵は、ペンをたった数回走らせただけですばらしい感情を引き起こしました。私はそれを映画撮影に変換させたかったのです」とクーニスバイゼルは回想します。「全体を通してマークと私が思い描いたのは、非常に詩的で郷愁を呼び起こすような、手触りのある、写実的で堅実なルックでした。とりわけ、自然や森のシーンを観客が触れるくらいのものにしたいと思っていました。朝露や風、木々の天蓋を通る日光の影絵芝居の魔法のような感じを人々に感じてもらいたかったのです。ただし、明るくしすぎたり、映像を加工しすぎたりはしたくありませんでした」

ディズニーの実写映画『プーと大人になった僕』より、くまのプーさん Photo Credit: Laurie Sparham. © 2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

「ですが、自然の中での撮影、特に緑を撮影する場合、デジタルだとフィルムで撮影するのとはまったく違う話になります。フィルムだと、現在のデジタル形式で撮るより自然の存在感や色の繊細さがはるかにリアルで有機的、そして本物らしくなります」

「さらに、フィルムの粒子構造が、映画の魔法に質感を足してくれて、観客を映像やストーリーの中に引き込み、現実を忘れさせてくれます。電子ブックやアクリル画ではなく、実際の本を読んでいるかのような、あるいは油彩画を鑑賞しているような感じにできるのが、フィルムで撮影した映像なのです。我々のビジョンを実現するためには、最高レベルでこれらの自然のシーンをフィルムに撮影する必要があると確信しました。途中でやめることはできませんでしたし、そこには挑むに値する価値があると感じたのです」

『プーと大人になった僕』の撮影風景 Courtesy of Matthias Königswieser.

撮影後、65mmと35mmフィルムによるとても雰囲気のある良好なテストシーンが映写されると、クーニスバイゼルの主張が正しいことが証明され、彼は正式にフィルムで撮影する許可を得ました。

“100エーカーの森”と有名な“棒投げ橋”のシーンにドラマチックに入り込んでいくため、撮影監督のクーニスバイゼルは、パナビジョンのシステム65のカメラを選び、装着するレンズはウルトラ・パナビジョン・レンズとスフェリカル・レンズを併用しました。他の関連テイクとシーンは、Gシリーズのアナモフィックレンズセットをメインで使い、35mmのパナビジョン・ミレニアムXLカメラで撮影しました。パナビジョン社に特別に調整してもらったGシリーズのおかげで、黒みが広がり、若干の飽和をハイライトに出しました。デジタルとアナログの映像を合体させる錬金術の一環として、クーニスバイゼルはデジタル撮影の部分で、同様の効果を得るためにビンテージCシリーズのアナモフィックレンズを用いました。

『プーと大人になった僕』の撮影風景 Courtesy of Matthias Königswieser.

「本作のデジタル部分を融合させて、より現代的なルックを作れる一方、ここで選んだ65mmと35mmレンズ、特に調整されたGシリーズが、フィルムとの相性が良いことはわかっていました」と彼は言います。

フィルム選びに関して、クーニスバイゼルは「シンプルにする」と決め、コダック VISION3 250Dと500T カラーネガティブ フィルムの65mmと35mmフィルムをメインに選び、それに少量の50Dを追加しました。

クーニスバイゼルはこう説明します。「晴れの時と曇りの時は、普通の昼光のシーンの大部分で250Dを使いました。たまのまぶしい日には50Dで撮影しました。午後の遅い時間や夕方、森の奥がかなり暗くなる時などのシーンにはすべて500Tを使いました。本作はコントラストの弱い映像にしたかったので、フィルムで撮影した部分のほぼ全部にウルトラ・コントラストのフィルターを使いました。我々が求める質感や写実的なルックを保つため、補助照明はわずかに足すだけにして、その場の光でほとんどすべてのシーンを撮影しました」

『プーと大人になった僕』に登場するティガー Courtesy of Walt Disney Pictures.

65mmのネガはロサンゼルスのフォトケムで現像され、35mmはパインウッド敷地内に拠点を置くコダック・フィルム・ラボ・ロンドンで現像されました。

「コダックフィルムの色調が私は大好きです。撮影したフィルムの出来は自然に見え、彩度も忠実で、目にも美しかったです。黒は豊かでしたし、肌の質感も正確でした。『プーと大人になった僕』で撮影した65mmフィルムはまぎれもなく、私が見た中で最も美しいものです」とクーニスバイゼルは断言します。

「デジタルだとビットで撮影しているため、ごまかしの要素があり、同じような有機的なクオリティーにしようとすると難しいことが多いのです。ですから、現場で積極的にデジタルの素材に取り組む必要があります。私はそれをセットのデザインと衣装の質感上の調整を行うのみならず、レンズ、露光量、照明も新しく組み合わせて成し遂げました。結果として基盤となる美しさに到達でき、デジタルのフッテージのルックをぼかし、最後のカラーグレーディングにおいてフィルムで撮影した素材に溶け込ませることができました」

『プーと大人になった僕』を撮影現場にて、撮影監督 マティアス・クーニスバイゼルとマデリン・ロビン役のブロンテ・カーマイケル Photo Credit: Laurie Sparham. © 2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

クーニスバイゼルは、ロサンゼルスのCompany 3のカラリスト、ソフィー・ボラップとDI(デジタル インターメディエイト)を仕上げました。本作にはデジタルおよびフィルムで撮影された1,400以上のVFXのショットがあり、ぬいぐるみを代わりにしたり、キューを受けて本物の俳優が演技をしたり、CGアニメーションを使ったりするなどの様々な方法で作られました。

「DI作業のうち、ある程度はVFXのショットがきちんとなじんで見えるようにすることに注力しました」と彼は言います。「ですが出来栄えは最高で、フィルムとデジタルとCG映像の境目は分からないでしょう。つまり、アナログのフィルムがデジタルの世界においても有用な創造的選択肢であることを示したのです」

(2018年8月7日発信 Kodakウェブサイトより)

『プーと大人になった僕』

 原 題: Christopher Robin
 製作国: アメリカ
 配 給: ディズニー

 公式サイト:

 https://www.disney.co.jp/movie/pooh-boku.html

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