2019年 1月 9日 VOL.126

【世界のラボ紹介】
21世紀の修復作業を行うイタリア最古のフィルムラボ、フォトチネマ

ローマのフォトチネマではあらゆる種類のフィルムが検査されている

「こう世界へ呼びかけたいですね。ローマの中心部ではフィルムの現像、フィルムの修復、長期にわたるフィルムの保存、それに加え、これらのサービスに携わるひたむきで経験豊富なチームが今もなお健在です、と」

 

フォトチネマのCOO(最高執行責任者)である、ラニエリ・ディ・チンクエ・クインティッリはこう明言します。フォトチネマはイタリア最古という名誉あるラボです。

「ここにいる我々はフィルムを愛しています。フィルムは最もすばらしいフォーマットであり、我々は将来に渡ってフィルムが使えるよう、100%の力を注いでいます」

フォトチネマは荘厳な19世紀の修道院を所有し、運営しています。庭があり、ローマを一望できる巨大なテラスもあり、近くには世界的に有名なコロッセオがあります。同社のフィルムラボとしての起源は、フェリーチェ・ボスキがフランス、リヨンでリュミエール兄弟と共に培った経験を活かして施設を創立した1906年にさかのぼります。

ローマ、フォトチネマのフィルムラボへようこそ

ローマ、フォトチネマのフィルム現像の裏側

大おじのボスキから4代目となる同社CEO(最高経営責任者)のパオロ・メニクッチの監督の下、施設全体の大規模な改装と、フォトケミカルおよびデジタルのワークフロー運用のアップデートがつい最近完了しました。

「フェリーチェ・ボスキが会社を立ち上げた1906年以来、フォトチネマでは世代を超えてフィルムの技術が受け継がれてきました。ですからフォトチネマのチームはたくさんのノウハウを持っています。我々はこのフィルムの技術とデジタルのポストプロダクションでの新しい知識や専門性の両方をバランスよく備えています」とメニクッチは言います。

ローマのフォトチネマにあるデジタルのフィルム修復およびカラーグレーディング機材

フォトチネマの改装工事では、約1,020平方メートルの広さがある建物の1階部分を使用できるよう、施設を合理化し構成し直しました。丁寧に維持された歴史ある建築的要素に囲まれ、カラーや白黒、16mmや35mm、ネガやポジの現像液が、2K/4K DCI対応の最新のデジタルスキャニング、修復、グレーディング、編集、オーディオおよびマスタリングの装置とうまく共存できるように設計されています。

以前イタリアのテクニカラーとデラックスで長期にわたり重役を務めていたディ・チンクエ・クインティッリは、「一新された外観や技術的設備、そしてチームをとても誇りに思います」と言います。「フォトチネマは、フォトケミカルとデジタルの要素がお互いに美しく配置された、多彩な能力を備えた会社です。イタリア国内のフィルム業界から受ける魅力的な仕事だけでなく、現在我々は外にも、つまり国際的に世界の他の国々にも目を向けています」

ローマのフォトチネマにあるデジタルのフィルム修復およびカラーグレーディング機材

制作の第一線においては、すでに35mm撮影のコマーシャルやバルセロナ大学の学生作品、さらに、これから公開される劇映画作品のラッシュなどを受注しています。これらの中にはシネマトグラファーのフランチェスコ・ディ・ジャコモが16mmと35mmのコダックフィルムを用いてナポリ周辺のロケーションで撮影した、伊仏独共同制作のピエトロ・マルチェッロ監督作『Martin Eden(原題)』も含まれています。

「ますます多くの人がフィルムで撮影するようになり、我々はセルロイド(フィルムの意)作品の未来に希望を感じています」と、ディ・チンクエ・クインティッリは語ります。「我々は最先端のデジタル設備をここに備えていますが、一方でフィルムという選択肢も持って欲しいですし、制作において興味深い選択肢を提供したいと思っています。フィルムは必ずしもデジタルより高いわけではなく、大抵の場合、むしろ安いかも知れません」

創業者であるフェリーチェ・ボスキから4代目となるローマのフォトチネマのCEO、パオロ・メニクッチ

ローマのフォトチネマのCOO、ラニエリ・ディ・チンクエ・クインティッリ

ディ・チンクエ・クインティッリとメニクッチは、フォトチネマに来るフィルムで撮影されるエンターテインメントの隆盛を喜ばしく思っていますが、一方で同社の中心となる事業はフィルムの修復と長期保存にあります。同社はヨーロッパなどのアーカイブ機関の中でも、チネテカ・ナチオナーレ(イタリア国立フィルムアーカイブ)への主要なサプライヤーの1つなのです。

フォトチネマはオリジナルネガから作業し、通常、劇映画全編をスキャンして修復、その結果を2K/4KのDCPに出力し、35mmフィルムにも記録し直しています。最近、フォトチネマはイタリアの旧作の作業を数本行いました。その中に、1950年のイタリアのジュゼッペ・デ・サンティス監督によるネオレアリズモ映画『オリーブの下に平和はない』(英題:No Peace Under The Olive Tree)があります。これは元々ボスキ・ラボラトリーズが現像した作品でした。また、カルロ・ディ・パルマが撮影したミケランジェロ・アントニオーニの傑作『赤い砂漠』(英題:Red Desert)は、撮影監督のルチアーノ・トヴォリ(AIC)の監修でフィルムとデジタルでのマスタリングを行いました。ベルナルド・ベルトルッチ監督の1972年の話題作『ラストタンゴ・イン・パリ』(英題:Last Tango In Paris)では3度のオスカー受賞経験を持つオリジナル版の撮影監督ヴィットリオ・ストラーロ(AIC、ASC)と共同作業を行い、フェルザン・オズペテクの2001年の傑作『Le Fate Ignoranti(原題)』(英題:His Secret Life)では監督と撮影監督のパスクァーレ・マリ(AIC)の指示を直接受けながら、フル4Kのワークフローで作業を行いました。

ローマ、フォトチネマのフィルム現像の裏側

ディ・チンクエ・クインティッリは、「これらはイタリア映画史において非常に重要な意味を持つ映画作品です」と言います。「こういった作品に携われることは特別な名誉でしたし、作品をあるべき姿にするというのはプライドが懸かった問題だったのです」

フォトチネマでの仕事に加え、ディ・チンクエ・クインティッリはANICA(イタリア映画産業協会)の技術工業部門の部門長も務めています。ANICAはイタリアの制作会社や配給会社の全国的な協会です。こういった役割を務めることは、フォトチネマがイタリアの映画制作業界の一端を担う後ろ盾となるだけでなく、業界の声に耳を傾ける機会を設けてくれます。

ローマ、フォトチネマのフィルム現像の裏側

「我々の活動やANICAのメンバーたちとの会話から、映画制作者たちが自分の資産の将来を心配していることは確かです。彼らはこの先何年も何十年も、自分の作品を保存するのに最良の方法は何かを知りたがっています」と彼は言います。「フォトチネマでは、デジタルは必ずしも保存に向いているわけではないと考えています。大抵の場合、デジタルは保管なのです。この2つは全く別物です。保管というのは資産を利用できる状態にしておき、使用に備えるということを意味します。保存というのは永久に安全な状態で保つということです」

「作品を保存したいのであれば、コーデックに依存してはいけません。コーデックは消滅する可能性があるからです。正しい解読方法が未来に存在しなければ、データが意味を持たない1と0の連続のまま変わらないということもあり得ます。やはりフィルムは、次の世代に資産を引き継ぐ最高の方法なのです。今から50年後、100年後、それ以上先も、保存容器を開ければ目で読み取ることができ、映像を取り戻すことができるのです」

フィルムの寿命の長さと堅牢さの証明として、最近フォトチネマは1911年のイタリア・トルコ戦争の歴史的なフィルムを修復しました。「非常に状態の悪いニトロセルロースのポジでしたが、我々で何とかそれをスキャンして修復したので、今日でも皆さんが見ることができます。もし100年を経たデジタルの資産だったら、それを修復するのは不可能だったでしょう」

ローマ、フォトチネマのフィルム現像の裏側

フォトチネマは通常、長期保存を求めるクライアントたちにDCIマスター1本、フィルムネガ1本、プリントしたポジ2本を納品します。ローマ郊外にある小さな町、ポメツィアにある安全な倉庫でこれらを保存するオプションも用意しています。

フォトチネマによる長期フィルム保存の事例の成果としては、『オリーブの下に平和はない』(英題:No Peace Under The Olive Tree)、『赤い砂漠』(英題:Red Desert)、『ラストタンゴ・イン・パリ』(英題:Last Tango In Paris)の他に、SFホラーの『バンパイアの惑星』(英題:Planet of the Vampires、1965年、マリオ・バーヴァ監督)、さらにイタリアのコメディー『Ricomincio Da Tre(原題)』(英題:I'm Starting from Three、1981年、マッシモ・トロイージ監督)、『Profumo di Donna(原題)』(英題:Scent of a Woman、1974年、ディノ・リージ監督)などがあります。

メニクッチはこう締めくくります。「我々はイタリア国内の制作コミュニティーだけでなく、海外の制作者や大切なフィルム資産を保存したいと思っている皆さんを支援したいと強く思っています。最近の我々の改装工事は、フォトチネマが堅固で信頼できる会社で、確かな経済的基盤があり、息の長い会社であることをフィルム制作者の皆さんに納得してもらうために行いました。皆さまからのお問い合わせをお待ちしています。どうぞご連絡ください」

(2018年10月9日発信 Kodakウェブサイトより)

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