2019年 1月 28日 VOL.128

ルカ・グァダニーノ監督『サスペリア』、コダック 35mmフィルムが作った不気味な色彩のパレット

ルカ・グァダニーノ監督作品『サスペリア』の主演を務めるダコタ・ジョンソン Image copyright and courtesy of Amazon Studios.

コダック 35mmフィルムで撮影された『サスペリア』は、魔女と超自然の世界へと身の毛がよだつような旅に観客を誘います。アマゾン・スタジオによるこのホラー作品を監督したのはルカ・グァダニーノ、スタイリッシュな撮影を監督したのはタイ出身の撮影監督 サヨムプー・ムックディプローム、そして薄気味悪い映像に合わせた、心を乱す音楽をレディオヘッドのトム・ヨークが作曲しました。

舞台は1977年のベルリンで、本作は1977年に公開されたダリオ・アルジェント監督の同名映画の名作に基づいており、物語はダコタ・ジョンソン演じる若く内気なアメリカ人ダンサーを描きます。彼女は、ティルダ・スウィントン演じる厳格でミステリアスなマダム・ブランが運営する、女性だけの高名な舞踊団、マルコス・ダンス・カンパニーに入団します。

新入りのバレリーナは、知らないうちに異常で不吉な事件につきまとわれます。ナチズムからドイツ社会を一層すべく狂奔する過激派左翼グループの危険な活動を背景に、物語は職員とダンサーたちの、囚われている感覚が徐々に高まっていく様子を描きます。彼女たちは、壮大な古い建物とアカデミーのドアから数メートル離れたところに立ち、街を区切っているコンクリートの壁という境界か、あるいは実体の分からない全能の力による抵抗不可能な支配のどちらかによって閉じ込められているのです。

ルカ・グァダニーノ監督作品『サスペリア』の主演を務めるダコタ・ジョンソン Image by Sandro Kopp. Copyright and courtesy of Amazon Studios.

本作の主要な撮影はまず、2016年10月末にイタリアのヴァレーゼで開始しました。そこにあるグランド・ホテル・カンポ・デイ・フィオーリは約20年放置されていたのですが、それをマルコス・ダンス・アカデミーの殺風景な内装として使いました。2016年12月にイタリアでの撮影が終了し、その後プロダクションはベルリンに移って、2017年2月から3月まで撮影が続きました。

グァダニーノ監督は本作のために、世界的に高い評価を獲得したラブストーリー『君の名前で僕を呼んで』を撮影したムックディプロームとチームを再結成しました。彼は同作でもイタリア人監督のグァダニーノのため、日光に満ちた昼と幸せに満ちた夜の間の若さという目のくらむような感動をたった1種類のフィルム、コダック VISION3 500T カラーネガティブ フィルム 5219と、驚くべきことに1本のレンズのみで全アクションを撮影したのです。

グァダニーノは撮影監督と協働しながら、現場のカメラ内でリアルな映像をセルロイド(フィルムの意)上に作ることを好むため、『サスペリア』はオリジナル版と同様、35mmフィルムで撮影されました。しかし、アルジェント監督のオリジナル版へのさりげないオマージュとして、繰り返される危機や血まみれのバイオレンスといった恐怖のモチーフとなる赤色を残す一方、グァダニーノの新たな解釈では不気味にカラフルな前作とは異なり、ローコントラストで自然に見える照明とブラウンやグレーの抑えた色味を使って派手な色彩をほとんど排除しました。

ルカ・グァダニーノ監督作品『サスペリア』でマダム・ブラン役を演じるティルダ・スウィントン Image by Alessio Bolzoni. Copyright and courtesy of Amazon Studios.

「時々デジタルで撮影することもありますが、フィルムでの撮影だと現場での仕事が必ずより良くなりますし、ストーリーテリングにおいても価値がある審美的な選択なのです」とムックディプロームは言います。彼は、荒廃したホテルの雰囲気と自然光の質の変化に浸ることに準備期間中のかなりの時間を使いました。

「何よりも、光学ファインダーを使っての撮影と、それが俳優の芝居や照明とともに生み出す本物のふれ合いが好きなのです。デジタルカメラの小さなディスプレイの不確かさとは対照的です。さらに監督は、本作を寒々しく、邪悪かつ真に暗く見せ、影に特別なディテールを足したいと思っていました。全てのコダックフィルムはその特性上、露光カーブの低露光域寄りでも同じフレーム内にあるハイライトを上品にしつつ、容易に撮影できます。そして肌のトーンがいつも見事なのです。デジタルで同じレベルのディテールや繊細さを得るのは非常に困難、あるいは単純に不可能です。ですから私の意見では、フィルムで始める方が簡単で良いのです」

ムックディプロームは、グァダニーノと共に写実的かつ自然なルックを探求する中で、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーやシャンタル・アケルマンの類似した映画作品を見て、その禁欲的で簡素なスタイルに影響を受けたとも言います。

Image by Alessio Bolzoni. Copyright and courtesy of Amazon Studios.

ロケーションでのテストの後、ムックディプロームは、ARRICAM LTカメラにクック S3と他のヴィンテージレンズを組み合わせ、補正なしでコダック VISION3 500T カラーネガティブ フィルム 5219で撮影することに決めました。

彼はこう説明します。「本作の90%は屋内、もしくは夜間に撮影されたので、私には500Tの感度が必要だったのです。500Tだと極端に低照度の状態でも不自由なく撮影でき、ごく暗い状況では映像の画質に影響を与えずに1絞り増感することも可能だと分かっていました。さらに、500Tは秀逸な粒子構造を備えた魅惑的な質感をしており、物語における超自然の雰囲気の謎に満ちた姿を捉えてくれます。

監督の演出方法を考えると、俳優たちが自分の芝居や自然な表現を自由にできるように、スペース全体に照明を当てる方がいいのです。ですから、露光カーブの低露光域寄りで撮影しながらも、照明を何度も調整することなく同じフレーム内の光の影のコントラストを表現できるラチチュードを保つと同時に、セットや衣装デザインの色味を捉えるには、500Tは完璧なフィルムだと思いました」

Copyright and courtesy of Amazon Studios.

ムックディプロームは撮影中、カメラを手持ちで使用せず、ドリーに固定して直進させるようにしました。カメラクルーには、助手のマッシミリアーノ・クヴェイレル、ローダーのイオネル・マンドルータ、イタリアとドイツの撮影でそれぞれ照明を担当したフランチェスコ・ガッリとフローリン・ニクラエ、そしてキーグリップのマッシモ・スピーナがいました。『君の名前で僕を呼んで』と同じく、『サスペリア』のラッシュはローマのオーガスタス・カラー社で現像されました。

彼はこう締めくくります。「我々が再び撮影した『サスペリア』の映像の出来栄えにはとても満足しています。『サスペリア』自体が元々傑作です。フィルムは、魔女や超自然が世界にどう巣食うかという物語において、オリジナル版とは全く違う、生きた、リアルかつ真に恐ろしいものを作るのに力を貸してくれました」

(2018年10月22日発信 Kodakウェブサイトより)

『サスペリア』

 2019年1月25日(金)より全国ロードショー中

 原 題: Suspiria
 製作国: イタリア・アメリカ合作
 配 給: ギャガ

 公式サイト: https://gaga.ne.jp/suspiria/

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