2020年 5月 15日 VOL.157

35mm/2パーフォのコダック フィルムが、是枝裕和監督の熾烈なドラマ『真実』に柔らかな美をもたらす

是枝裕和監督作品『真実』より、カトリーヌ・ドヌーブ(左)とジュリエット・ビノシュ Photo by L. Champoussin. Copyright 3B-Bunbuku-MiMovies-FR3.

フランスの撮影監督エリック・ゴーティエ(AFC)がコダックフィルムの35mm/2パーフォで撮影した、是枝裕和監督作『真実』は、娘と女優であるその母との嵐のような再会を通じて、現代的な家族関係の構造を探っていきます。高い評価を得たほろ苦い本作は、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュが主要キャストとして出演しており、是枝監督の作品で初めての、日本以外を舞台にした、日本語ではない言語による映画です。本作を成功させるためにはキャストとスタッフの間の絶対的な信頼と、求める仕上がりを生み出してくれるフィルムへの揺るぎない確信が必要でした。

物語の中心人物は、フランス映画で最も偉大かつ尊敬を集めるスターの1人であるファビエンヌ(ドヌーヴ)です。しかし、歳を重ねたこのセレブは、ニューヨークで暮らす新進気鋭の映画脚本家である娘のリュミール(ビノシュ)との関係に問題を抱えていました。リュミールと俳優である彼女の夫ハンク(イーサン・ホーク)が、母親の新作となる自伝本の出版を祝うために幼い娘(クレモンティーヌ・グルニエ)を連れてパリに戻ってくるところから物語が急速に展開していきます。秋から冬に移ろう中で真実と偽りが明らかになると、彼女たちの再会は途端に衝突を招き、愛と怒りを巡る感情が溢れ出すのです。

『真実』より、左からジュリエット・ビノシュ、カトリーヌ・ドヌーブ、イーサン・ホーク Photo by L. Champoussin. Copyright 3B-Bunbuku-MiMovies-FR3.

製作費約600万ユーロ(約7億円)の『真実』は、第76回ヴェネチア国際映画祭のオープニング作品に選定されました。2019年8月28日に同映画祭で初上映され、多くの好評を得た後、2020年春から世界的に公開されました。

是枝監督は、これまでに数々の賞を獲得してきた映画監督、プロデューサー、脚本家、編集者で、彼の名前がクレジットされた作品の内、16mmや35mmフィルムで撮影された長編作品は12作以上にのぼります。これらの作品の中には『誰も知らない』(04)、『歩いても 歩いても』(08)、『海よりもまだ深く』(16)などがあります。『そして父になる』で、2013年のカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し、2018年には『万引き家族』でカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞しました。

『真実』の主要な撮影は2018年10月4日から12月12日まで、43日間の撮影日数をかけて、フランスのモンパルナス地区とパリ14区のダンフェール=ロシュロー区域で行われました。セットもパリ北部のエピネー・スタジオに建てられました。是枝監督と、ゴーティエを含む主要スタッフたちとのコミュニケーションは、通訳、身体の動きを使った指示、監督によって見事に描き上げられた水彩画のストーリーボードなどを通じて行われました。

『真実』の撮影監督エリック・ゴーティエ(AFC) Photo by Arian Damain-Vergallo.

「是枝監督はストーリーテリングに長けており、彼の物語には、感受性や感情的知性が吹き込まれていました」とゴーティエは言います。ゴーティエの名前がクレジットされているフィルム作品には、『モーターサイクル・ダイアリーズ』(04、ウォルター・サレス監督)、『イントゥ・ザ・ワイルド』(08、ショーン・ペン監督)、『インティマシー/親密』(02、パトリス・シェロー監督)、Netflixのジャズ・ドラマシリーズ『ジ・エディ』(配信中、デイミアン・チャゼル監督)の初回エピソードなどがあります。

「脚本について話し合った中で、強烈な感情がキャラクターの奥深くに渦巻く悲劇的な物語ではあるものの、是枝監督が求めているのはソフトで柔らかな映像だということがすぐにはっきりしました。観客には、フィルムに映る映像の質感を通じて、華やかさや年齢を重ねた美しさ、衣装、ロケーションを自然に感じて欲しいと考えていたのです」

『真実』のセットにて、左からカトリーヌ・ドヌーブ、是枝裕和監督、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク Photo by L. Champoussin. Copyright 3B-Bunbuku-MiMovies-FR3.

ゴーティエはこう付け加えます。「是枝監督にとってもう1つ重要だったのは、仕上がりにおいて黄金色の秋から凍りつくような冬へという季節の違いを通じて物語の進行を感じさせることでした。私たちの考えは同じで、そういった核となる視覚的要素を捉えるのに最適なフォーマットはフィルムだけだという確信を共有していました。多くの一流映画監督たちがそうするように、是枝監督は自分が求めることに関して完ぺきに正確であるよりも、むしろ穏やかに俳優たちや私を導いてくれ、自身のビジョンを作り上げるための完全な信頼と自由を我々に委ねてくれたのです」

ゴーティエは本作を、アリカム STとLTの35mmカメラと、大抵は焦点距離25mmから40mmのライツ ズミルクス プライムレンズを用いて、1.85:1のアスペクト比で撮影しました。名高い是枝監督のスタイルを維持しつつ、カメラの動きはシンプルに、三脚もしくはドリーからまっすぐ、かつ控えめに動かすようにしました。

『真実』より、カトリーヌ・ドヌーブとクレモンティーヌ・グルニエ Photo by L. Champoussin. Copyright 3B-Bunbuku-MiMovies-FR3.

「若干幅の広いアングルのレンズを使用することによって、人間の目に実際に映るかのようにスクリーン上で俳優たちに接近することができました。ライツのレンズは、俳優たち、特に女性主人公たちに決して荒々しくなく自然に見えるちょうどいいコントラストのレベルと映像の精密さをもたらしてくれました」

ゴーティエは映像の質感に対する是枝監督の要望に応じて、日中・夜間、そして屋内・屋外のすべてのシーンを補正せずに2パーフォレーションでコダック VISION3 500T カラーネガティブ フィルム 5219に撮影することに決めました。

「当初はスーパー16で撮影することを考えていたのですが、35mm/2パーフォのより大きなフレームなら、質感と、肌のトーンや衣装、ロケーション、季節の移ろいの的確な表現とのバランスが最高になるだろうと感じました。また、35mm/2パーフォで撮影することにより、マガジンを回せる時間が2倍になるため、フィルムと現像の点で驚くほど費用対効果が高いのです」

『真実』より、左からジュリエット・ビノシュ、クレモンティーヌ・グルニエ、イーサン・ホーク Photo by L. Champoussin. Copyright 3B-Bunbuku-MiMovies-FR3.

「フィルムについてはごくシンプルにしたいと思ったため、私は『真実』を5219 500Tだけで撮影することにしました。パリは、我々が撮影した時期は特にですが、かなり暗くなることがあり、500Tはそのままでも日中・夜間および屋内・屋外のあらゆる状況に向いた、非常に汎用性の高いフィルムです。幅広いラチチュードはすばらしく、そのおかげで美しい粒子感と色の表現を保ったまま、最暗部まで映し出し、決してクリップしたように見えないハイライトを作り出すことができるのです」

35mm ネガフィルムは、パリのハイベンティ社で現像された後、OKテイクが4Kスキャンされました。最終のカラーグレーディングはパリのイケ・ノ・コイ社で行われ、ゴーティエは、カラーグレーダーのイザベル・ジュリアンと協働しました。

『真実』の撮影セットにて、左からカトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノシュ、撮影監督エリック・ゴーティエ(AFC)、是枝裕和監督 Photo by Arian Damain-Vergallo.

ゴーティエはこう締めくくります。「フィルムは今もなお、デジタルよりも映像的にはるかに面白く、心地良いですね。本作では申し分なくすばらしかったです。フィルムを使うとどんな時でも、クローズアップの親密感、肌のトーンの表現、自然な繊細さの描写がうまくいきます」

「そしてフィルムは、貴重なリソースであるというその性質により、相互の信頼と結束に満ちた雰囲気の中で、協働者たちを団結させてくれるのです。スクリーンに映し出される、適応できない家族の姿とは異なり、是枝監督とキャスト、スタッフたちとの間には言葉の壁があったにも関わらず、自分がその一員であることがとても素晴らしいことだと思える、現場における連帯感を作り上げていました。見るに美しく、考えるに残酷な本作の出来栄えに、私はとても満足しています」

(2019年12月16日発信 Kodakウェブサイトより)

『真実』

 2020年5月15日 ブルーレイ&DVD/動画配信リリース

 原 題: The Truth (La vérité)

 製作国: フランス・日本合作

​ 公式サイト: https://gaga.ne.jp/shinjitsu/

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