2021年 2月 25日 VOL.172

35mmの真剣勝負。
映画界への挑戦がここから始まる。

若手映画作家の発掘・育成を目的とした文化庁委託事業『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020』完成3作品および監督のご紹介

(C) 2021 VIPO

『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト』は、日本映画振興事業の一環として文化庁よりVIPO(映画産業振興機構)が委託を受け、優れた若手映画作家を対象に、本格的な映像制作技術と作家性を磨くために必要な知識や技術を継承するためのワークショップや製作実地研修を実施しています。新たな才能の発掘を目的として作品発表の場を提供することで若手映画作家を支援し、日本映画の活性化を目指しているプロジェクトです。2006年度から今年度まで、合計73名の若手映画作家が、このプロジェクトに参加し短編映画を完成させました。

本年度も各映像関連団体から多くの作家が推薦され、ワークショップから製作実地研修に進んだ3人の若手監督が、講師による脚本指導を経て、各制作プロダクションの協力のもと、プロのスタッフ・キャストと共に35mmフィルム撮影による短編映画を制作し、このたび完成いたしました。

『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020』完成3作品の上映会は、東京が角川シネマ有楽町にて2月26日(金)~3月4日(木)、名古屋がミッドランドスクエア シネマにて3月12日(金)~3月18日(木)、大阪がシネ・リーブル梅田にて3月19日(金)~3月25日(木)に開催されます。公開期間中、監督ほかによる舞台挨拶も予定しています。(上映会や作品情報の詳細はndjc公式サイトhttp//www.vipo-ndjc.jp/ をご覧ください)

今回、3人の監督から、35mmフィルム撮影で作品を仕上げた感想をお寄せいただきました。本プロジェクトのスーパーバイザーを務められた香月純一氏のメッセージとあわせてご紹介いたします。
 

毎日爆裂クッキング

監督: 植木咲楽(うえき さくら)
撮影: 柳島克己
照明: 舘野秀樹
制作プロダクション: アルタミラピクチャーズ
出演: 安田聖愛 肘井ミカ 駒木根隆介 今里 真 小日向星一 大谷亮介 渡辺えり 
監督・作品の詳細はコチラ → http://www.vipo-ndjc.jp/ndjc/5080/

植木 咲楽 監督からのコメント

撮影5日目。とあるカットを撮っている際、「今、目の前にある装飾は沢下さんが作ってくれて、衣裳は山崎さんが用意してくれて…カメラは…照明は…そもそもロケ地は…」ということを、0.1秒でグワッと考える瞬間がありました。私は助監督として商業の現場に立つ事があります。商業だろうと自主だろうと、映画は等しく手作りだと考えていますし、常に現場では緊張しています。けれど、前述のような実感は初めてでした。フィルムはデジタルとは違い、実体のある記録メディアです。「映画作りに、驕る心があってはならない」と改めて思えたのは、物質として撮影に寄り添ってくれる、フィルム撮影であったからだと思います。

『毎日爆裂クッキング』の撮影現場 (C) 2021 VIPO

醒めてまぼろし

監督: 木村緩菜(きむら かんな)
撮影: 今泉尚亮
照明: 守利賢一
制作プロダクション: シネムーブ
出演: 小野花梨 青木 柚 遠山景織子 仁科 貴 青柳尊哉 尾崎桃子 
監督・作品の詳細はコチラ → http://www.vipo-ndjc.jp/ndjc/5078/

木村 緩菜 監督からのコメント

何かが失われていくということに対してどうやって共存していけるのか、というのが今回の作品の中で一つのテーマだったのですが、語りたいこととフィルムという媒体が上手く繋がったような気がして、この作品を35mmのフィルムで撮影することが出来て本当に良かったなという思いが強いです。
単純な美しさではない何かを映し出す力がフィルムには確実に存在していて、それと出会うために日々、自分自身摩耗していくのは凄く贅沢な時間でした。
今やもうデジタルの時代ですが、今回35mmフィルムで映画を製作できたことによって、私が産まれるよりも遥か昔に製作された自分が好きな映画たちに勝手に繋がったような気がして、本当に嬉しかったです。

『醒めてまぼろし』の撮影現場 (C) 2021 VIPO

窓たち

監督: 志萱大輔(しがや だいすけ)
撮影: 芦澤明子
照明: 永田英則
制作プロダクション: 角川大映スタジオ 
出演: 小林涼子 関口アナン 瀬戸さおり 小林竜樹 里々佳 
監督・作品の詳細はコチラ → http://www.vipo-ndjc.jp/ndjc/5070/

志萱 大輔 監督からのコメント

2020年11月29日。撮影初日の朝。
やけにぐっすりとは眠れたが、朝食用に買っておいたパンがうまく喉を通らない...
全力ダッシュで電車に乗り込み、いざ新宿へ!
車内には、早朝から勤め人の方々がたくさん乗っていて、
それを横目に「そうか、自分はこれから映画を撮るんだ...」などと変に自分を客観視していたことを覚えています。
そんな朝から始まった4日間の映画撮影。
正直、毎日が必死であまり記憶がありませんが、
最終日、実景撮りの際に芦澤カメラマンに「覗いてみますか?」と言っていただき、恐る恐るファインダーを覗かせてもらいました。
すると、「このまま回しましょう」と芦澤さん。
ピッと短い機械音が鳴り、僕の目の前をフィルムが回り始ました。
気持ちよく流れていくフィルムに釘付けになるがあまり、あの瞬間、僕はじっと息を止めていたと思います。

『窓たち』の撮影現場 (C) 2021 VIPO

ndjc2020 完成3作品 劇場予告編【ndjc公式】

「ここがロドスだ、ここで跳べ!」
「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」はセミナーのように椅子に座って講師の話を聴く“座学”ではありません。ワークショップでの編集指導、その後の脚本指導、そして撮影(製作実地研修)に携わるのはこの道のプロフェッショナルの面々です。つまりプロとの真剣勝負ができるのです。
さらに完成した作品は劇場で一般公開されます。映画は撮影されただけではただのフィルムだが、観客に観られて初めて「映画」になると言います。製作実地研修はまさに「映画を産み出す」ことができるのです。
今年度の新しい3人の才能に、ぜひご期待ください!

香月 純一氏 プロフィール(かづき じゅんいち)

1958年生まれ。1982年東京大学卒業後、東映株式会社入社。
テレビ企画営業第一部に配属され、数多くのTVドラマをプロデュース。2005年(映画)企画製作部に異動し映画をプロデュース。2010年企画製作部長。2012年東映衛星放送株式会社代表取締役社長(現任)。主な作品は、TV『相棒』、『はみだし刑事 情熱系』、土曜ワイド『西村京太郎トラベルミステリー』、WOWOW版『月はどっちに出ている』『リョーコ!!』、KTV月曜サスペンスシリーズ、映画『相棒 -劇場版-』、『相棒 -劇場版II-』、『鑑識米沢守の事件簿』、『相棒シリーズ X DAY』、『アキハバラ@DEEP』、『さまよう刃』、『苦役列車』など。