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2025年 6月 28日 VOL.246

オータム・デュラルド・アーカポーが、ライアン・クーグラー監督の『罪人たち』をコダックの65mm ラージフォーマットフィルムで撮影。没入感あふれる映像体験と映画史に残る数々のシーンを創出

マイケル・B・ジョーダンが双子のスモークとスタックを1人2役で演じるライアン・クーグラー監督の『罪人たち』 Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

撮影監督オータム・デュラルド・アーカポー(ASC)は、ライアン・クーグラー監督の大ヒット作『罪人たち』を、コダックのラージフォーマットフィルムを用いて65mm(5パーフォレーション)とIMAX(15パーフォレーション)、およびコダックが本作のために特別に65mmで製造したコダック エクタクローム カラーリバーサルフィルムで撮影し、没入感あふれる映像体験と映画史に残る数々のシーンを創り出しました。

本作は、晴れやかな昼と陰惨な夜を舞台に、第一次世界大戦を生き延びた一卵性双生児の兄弟、スモークとスタックを中心に展開します。2人は数年間シカゴでギャングの手下として働いて私腹を肥やした後、ミシシッピデルタのクラークスデールに帰郷します。

2人は不正に得た金で人種差別的な地主から製材所を買い取り、ブルース音楽と地元のコミュニティが交わる場、ジューク・ジョイントを開業します。そしてすぐに天才ギタリストの従弟サミーやピアニストのデルタ・スリムを演奏者として迎え入れると、さらに地元の中国人商店主グレースとボーを仕入れ担当として、またスモークの別居中の妻アニーを料理人として雇い入れました。

『罪人たち』でサミー役を演じるマイルズ・ケイトン Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

夜が更け、スタックはかつての恋人メアリーと再会し、ジューク・ジョイントは大いに盛り上がります。ところがその矢先、超常的な力と不死者たちが店を包囲し、店内は血しぶきが飛び交う惨状と化していきます。

主演のマイケル・B・ジョーダンがスモークとスタックの一人二役を務めたことで注目を集めた本作は、世界中の批評家から称賛され、瞬く間に記録的な興行成績を達成しました。この記事を執筆している時点で、『罪人たち』の興行収入は2億8,300万ドルを超え、2025年の興行収入上位作品の一つとなり、製作費を大きく上回る成功を収めています。特にIMAX劇場での動員は顕著で、全体のチケット販売のうち20%を占めています。

評論家たちによると『罪人たち』の人気は、この作品が安易にジャンル分けできないことが背景にあると分析しています。ブルース音楽を中心に据えた大画面での映像体験を提供する本作は、独自の世界観を持つギャング映画であり、吸血鬼ホラーでもあり、同時にミシシッピデルタにおける厳しい人種隔離と差別を綿密に描いた歴史ドラマでもあります。先の展開が予測できてしまう既存の映画シリーズとは一線を画した作品です。

『罪人たち』の撮影監督オータム・デュラルド・アーカポー Photo by Josh Medak. Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

現在活動している撮影監督で、IMAXフィルムカメラを使用して映画を撮影した経験を持つ人はごくわずかです。中でも有名なのは、ホイテ・ヴァン・ホイテマ(NSC、FSF、ASC)で、クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』(2014)、『ダンケルク』(2017)、『TENET テネット』(2020)、『オッペンハイマー』(2023)などを手がけています。デュラルド・アーカポー(ASC)は、『罪人たち』の撮影を通して、IMAXフィルムカメラでの撮影実績を持つ数少ない撮影監督の一人となっただけでなく、65mm IMAXフォーマットで撮影した初の女性撮影監督として、映画史にその名を刻みました。

アーカポーは史上初めて、最も横長のアスペクト比であるアナモフィック ウルトラ パナビジョン 70(1:2.76)と、最も縦長のアスペクト比であるIMAXフォーマット(1:1.43)を、同一作品内で組み合わせた撮影監督です。さらに、IMAX(15パーフォレーション)のフィルムフォーマットでコダック エクタクローム カラーリバーサルフィルムを使用した世界初、かつ現時点で唯一の撮影監督でもあります。

「『罪人たち』は、ライアンが叔父のジェームズ・エドモンソンと、彼が愛したデルタブルースに着想を得て生まれた彼の個人的な作品でした」とアーカポーは言います。彼女は本作で『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)に続き、再びクーグラー監督と組むことになりました。「脚本を読んだのは、『THE LAST SHOWGIRL』(2024、ジア・コッポラ監督)の16mmフィルムでの撮影が始まる前夜でした。ジャンルを軽やかに横断しながらも、魂と情熱にあふれた美しい描写に心を打たれました」

『罪人たち』の撮影現場にて Photo by Eli Adé. Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

「この作品は、私自身にとっても非常に意味のあるものでした。私の曾祖母はミシシッピ州、父はニューオーリンズで生まれました。家族は今もその辺りに暮らしています。だから私にとって、自分自身のルーツと向き合い、それがこの作品とどう結びつくのかを理解することはとても大切でした。撮影中はずっと自分の祖先のことを考え、彼らに誇りに思ってもらいたいという思いで臨んでいました」

​『罪人たち』はラージフォーマットフィルムで撮影されましたが、当初は、はるかに小さなフィルムフォーマットで制作される予定だったとアーカポーは明かします。

「『罪人たち』は16mmフィルムで撮影される予定でした。しかし、ライアンがVFXスーパーバイザーと話し合った結果、スモークとスタックの合成には、より安定したネガが必要だということで35mmフィルムに変更されました」

『罪人たち』の撮影現場にて Photo by Eli Adé. Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

「ところが、35mmフィルムでの撮影について話し始めた矢先に、ライアンのもとにスタジオから連絡が入り、ラージフォーマットでの撮影を検討したかを尋ねられました。ライアンは、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』での経験から、私がアナモフィックレンズを好んでいることをよく知っていたので、クエンティン・タランティーノ監督、ロバート・リチャードソン(ASC)撮影の『ヘイトフル・エイト』(2015)の話をしました。同作は、パナビジョンのSystem 65カメラと1.3倍のアナモフィックレンズを使用して65mmで撮影され、アスペクト比は1:2.76でした。ライアンは、このフォーマットならミシシッピデルタの雄大な風景を余すことなく捉え、その土地の広がりを強調するのに適していると語りました」

これを受け、アーカポーはフォトケム社のシニア・バイスプレジデント兼営業&マーケティング統括責任者であるアンドリュー・オーランに連絡し、65mm(5パーフォレーション)で撮影された作品の70mmクリップを集めた試写会を企画しました。そこには、スタンリー・キューブリック監督、ジェフリー・アンスワース(BSC)撮影の『2001年宇宙の旅』(1968)、『ヘイトフル・エイト』、『TENET テネット』からのシーンが含まれていました。

「ライアンはそれらの映像をとても気に入りました」とアーカポーは言います。「そこで私たちは、パナビジョンのSystem 65カメラとIMAXフィルムカメラをどうにか用意し、ロサンゼルス郡北部のランカスターにある砂漠でテスト撮影をして、風景や地平線がそれぞれのカメラでどう映るかを確かめました」

『罪人たち』でレミック役を演じるジャック・オコンネル(中央左)とメアリー役のヘイリー・スタインフェルド(中央右) Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

「その後、フォトケム社で1:2.76の65mmフッテージのプリントを試写し、プラヤビスタにあるIMAX本社で1:1.43のIMAXの素材を試写しました。どちらも驚くほど美しい映像でした。これらのフォーマットで捉えられる美しさとスケール感を見たら、もう後には戻れません」

アーカポーは、視覚的なインスピレーションについて次のように語ります。「ライアンが最初に渡してくれた参考資料は、写真家であり、1930年代には作家としても活躍したユードラ・ウェルティ(1909〜2001)のポートレート集でした。私は写真資料が好きで、自宅の本棚にも写真集がたくさんあるのですが、ユードラの作品は初めて見ました」

「彼女は、大恐慌時代のミシシッピ州の人々の暮らしや仕事、日常の姿を白黒写真で撮影しました。場所や時代を捉えた、美しく魂のこもった写真でした。それらの写真を見たとき、ライアンが何を目指しているのかがはっきり分かりました。ユードラの写真は、ライアンが観客に感じて欲しいと願う感情のつながりを理解するための、大きな手がかりになりました」

『罪人たち』でアニー役を演じるウンミ・モサク Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

アーカポーによると、彼女とクーグラー監督は、緊張感とホラーの演出について、ジョン・カーペンター監督、ディーン・カンディ(ASC)撮影の『遊星からの物体X』(1982)を参考にしたといいます。音楽的要素については、ジョエル・コーエン監督とイーサン・コーエン監督、ブリュノ・デルボネル(AFC、ASC)撮影の『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(2013)からインスピレーションを受け、映画全体のストーリー構成については、ポール・トーマス・アンダーソン監督、ロバート・エルスウィット(ASC)撮影の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)から着想を得たそうです。

『罪人たち』でIMAXを視覚的に混在させることが確定していく中、アーカポーは賢明にもホイテ・ヴァン・ホイテマに連絡をしました。「ホイテはとても親切でした。彼がIMAXフォーマットをどれほど愛しているかを強く感じました。現場に行って、いつも通り撮影すればいいとアドバイスしてくれました」とアーカポーは振り返ります。

「私のフォーカスプラーであるイーサン・マクドナルドから、ホイテのフォーカスプラーであるキース・デイビスにお願いして砂漠でのテスト撮影に協力してもらいました。キースの貢献は有益で、彼の専門知識のおかげでIMAXカメラに関する理解を深めることができました」

『罪人たち』の撮影現場にて、(左から)デルロイ・リンドー、マイケル・B・ジョーダン、ライアン・クーグラー監督 Photo by Eli Adé. Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

アーカポーは準備期間中、スモークとスタックの一人二役の演出に関して、撮影監督ジョディ・リー・ライプス(ASC)にも助言を求めたと言います。ライプスは、マーク・ラファロが双子の兄弟を演じたHBOのドラマ『ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー』(2020、デレク・シアンフランス監督)の全6話を、コダック VISION3 500T 5219の35mmフィルムで撮影しており、アーカポーは「撮影プロセスについての彼の考えがものすごく役立った」と話しています。

仮タイトル『Grilled Cheese』のもと、気温100°F(38℃)、湿度80%を超える猛暑のなか、『罪人たち』は2024年4月から7月にかけて、66日間にわたりルイジアナ州南東部の各地で撮影されました。室内シーンはニューオーリンズのセカンドライン・スタジオに建てられたセットで撮影され、実景ロケはドナルドソンビル、ティボドー、ボガルーサ、ブレイスウェイトなどで行われました。製材所からジューク・ジョイントへと生まれ変わる建物の外観は、使われていないゴルフ場の跡地に建設されました。

アーカポーは、ウッドランドヒルズのパナビジョン社、そしてIMAX社と連携し、パナビジョン System 65のスタジオカメラ、System 65のハイスピードカメラ、そしてIMAX MSM 9802およびIMAX MKIVフィルムカメラを選定しました。また、パナビジョン社のレンズ開発の第一人者であるダン・ササキと緊密に協力し、1.3xのアナモフィックレンズであるパナビジョン Ultra Panatar一式と、焦点距離50mmと80mmのIMAX用パナビジョンレンズ、特注の80mm IMAX ペッツバールレンズを用意しました。

『罪人たち』より、マイケル・B・ジョーダン(左)とウンミ・モサク Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

「Ultra PanatarとパナビジョンのIMAXレンズではルック(映像の見た目)が異なるものの、どちらも縁の周りに柔らかさと美しいフォールオフを備えています」とアーカポーは言います。「従来のフォーマットでは目をあまり動かさずに全体を捉えることができますが、IMAXのフレームは独特で、画面全体をスキャンするように目を動かす必要があります。だからこそ、私がこだわる画面中央に重心を置いた構図のワイドスクリーン撮影は、どちらのフォーマットでもうまく機能するのです。フレーミングの指針を保つことで、フォーマットごとの個性を活かしつつ、2つの世界を結びつけるスタイルの一貫性が保たれます」

「映画の終盤に、スモークがアニーとの間に失った赤ん坊を手渡される幻想的なシーンで、ペッツバールレンズを使用したのはとても印象深い体験でした。ポスプロでは、レンズのプロファイルを、物語の前半に登場する自宅にいるアニーの1:2.76のクローズアップショットに適用することで、シーンとシーンの間にさりげない視覚的な響きが生まれ、共感を深めることができました」

アナモフィックレンズに加えて、アーカポーはカメラの操作にも強いこだわりを持っています。パナビジョンのSystem 65スタジオカメラは重量が約100ポンド(約45キロ)で、しっかりしたフルイドヘッドやリモートヘッドが必要となる重機材です。それでもアーカポーは、IMAXカメラを肩に担ぐことにためらいはなかったと語ります。カメラのカット時には、ドリーグリップのコーリー・コロナがしっかり支えてくれたといいます。

『罪人たち』より、ヘイリー・スタインフェルド Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

「IMAXカメラは約65ポンド(約30キロ)なので、撮影する際には構図をどう決めるか、どう構えるか、肩に担いだ状態でどう動くかを自分なりに見つけていかなければなりません」とアーカポーは語ります。

「最初は肩に違和感がありますが、すぐに慣れて、小型冷蔵庫を持ち運んでいるような感覚に順応していきます。ただ、私は左目でカメラを覗くので、オンボードのモニターを使う必要があり、少しやりづらかったですね。また、IMAXの1,000フィートマガジンは約2分半で再装填が必要になります」

アーカポーは、どのシーンをIMAXフォーマットで撮影し、どのシーンをワイドスクリーンで収めるかを決める際は、最終的に劇場でどのように上映されるかを考慮しながら、クーグラー監督と慎重に話し合いを重ねたと言います。また、IMAXフィルムカメラはその構造上、作動音が大きく、セリフの収録が困難です。そのため、セリフの多いシーンでは視覚表現にADR(アフレコ)を考慮する必要がありました。

『罪人たち』より、ヘイリー・スタインフェルド(左)とマイケル・B・ジョーダン Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

「撮影中、私のグランドグラスには4種類のフレーミングマークが表示されていました。1:1.43と1:1.90のIMAXフォーマット、そして1:2.76と1:2.39のワイドスクリーンフォーマットです。カメラを操作しながら構図を決める際には、編集でそれぞれのフォーマットが自然につながるように、たとえば十分なヘッドルームを確保するなど注意を払っていましたが、そうしたプレッシャーも楽しんでいました。ライアンと編集者のマイケル・ショウバーが、見事にフォーマット間の切り替えを滑らかに仕上げてくれました」

昼夜、屋内外を問わず映像の質感を統一させたいという意図から、アーカポーはフィルムストックをコダック VISION3 500T カラーネガフィルム 5219に絞って撮影しました。とはいえ、本作のためにコダックが特別に製造したラージフォーマットのコダック エクタクローム カラーリバーサルフィルム 100D 5294も使いたいという抗いがたい誘惑もありました。

「レンズと同様に、フィルムストックも慎重に選ばなければいけません」とアーカポーは言います。「ランカスターでのテスト撮影では、コダック VISION3 5207 250D デーライトフィルムを使用し、フォトケム社で減感現像やブリーチバイパスを試しました」

ライアン・クーグラー監督作『罪人たち』の1シーン Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

「65mm(5パーフォレーション)とIMAX(15パーフォレーション)で500Tを通常現像した際のルックと質感がとても気に入ったため、最終的には全編を500T一本で撮影することを決めました。65mmフィルムで撮影すると解像度が高くなり、圧倒的な没入感を生み出すことができます。また、露出によっては粒子感もしっかりと感じられます」

「絞りを開けて撮影するので、昼間の屋外シーンで500Tを使う場合は多くのNDフィルターを必要としました。そのため、ファインダー越しの映像が見づらくなることもしばしばありました。それはどうしても避けられないことだったので、まずNDフィルターをつけずに動きを確認し、構図と動きを記憶に焼き付けてからNDフィルターを装着して本番の撮影に臨むようにしていました」

「さらに複雑なことに、IMAXやパナビジョンのカメラをクレーンやステディカム、追走車両、テクノドリーなど、さまざまな機材に取り付けていました。Aカメラ担当の私をサポートしたイーサン・マクドナルドと、Bカメラ担当のジョシュ・メダックをサポートしたアンドレ・クロフォード、この2人のフォーカスプラーは本当に素晴らしい仕事をしてくれました。映画をスクリーンで観ると、2人の卓越した仕事ぶりが伝わるでしょう」

『罪人たち』の撮影現場にて、マイケル・B・ジョーダン(左)とライアン・クーグラー監督 Photo by Eli Adé. Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

アーカポーは、15パーフォレーションのIMAXでコダック エクタクロームを使用できて本当に興奮したと語ります。「ライアンは、ホグウッドとの銃撃戦の前にスモークがトランクに腰を掛け、ジューク・ジョイントの設営を思い出す回想シーンにエクタクロームを使いました」と彼女は説明します。「私はIMAXカメラを使ってポートレート風の手持ちショットを何カットか撮影しましたが、編集でどこに使われるかは分かりませんでした。ライアンが回想シーンに美しく取り入れてくれて、映画の中でも象徴的なシーンになりました」

『罪人たち』の照明には、アーカポーと長年の付き合いがあるブライアン・バルトリーニ(ICLS)が参加しました。夜のシーンでは、室内の白色光は2,300K、月明かりは4,700Kの色温度をベースに設定されました。

「ブライアンとは10年以上一緒に仕事をしています」とアーカポーは語ります。「私たちは好みや映像に対する感覚が似ていて、物語に忠実でありながら、芸術性を感じさせる光の造形を大切にしています。この作品では、闇や影を積極的に活かすことでドラマ性を高めるという演出に本格的に挑戦することができました」

ライアン・クーグラー監督作『罪人たち』の撮影現場にて Photo by Eli Adé. Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

セカンドライン・スタジオのステージに組まれたジューク・ジョイントの室内セットでは、19インチ、22インチ、30インチ(約48cm、約56cm、約76cm)のジェムボールに、500Wおよび1,000Wの電球が取り付けられていました。これらの照明は、必要に応じて可変電圧装置で調光でき、漂白していないモスリン布で二重に光を拡散させていました。

演者を照らすジェムボールに加え、ARRI T-12 12Kフレネルライトの光を漂白していないモスリン布が張られた天井に向けてバウンスさせていました。また、フレネルライトの色温度を室内の白色光=2,300Kに合わせるために、淡いCTOジェルフィルターで色温度補正しました。ジューク・ジョイントのセットの外側、屋根上には、ARRI SkyPanel S60スペースライトを70個吊るし、4,700Kに調整して室外の月光を演出しました。

ブレイスウェイトで撮影されたジューク・ジョイントの外観は、CreamSource Vortex 8を36台設置した、40フィート×40フィート(約12m×12m)のソフトボックスを250トン級・全長200フィート(約60m)のブーム付き建設クレーンに吊るして、4,700Kに調整された光を強拡散フィルター越しに照射しました。俳優のキーライトとしては、12Kテレハンドラーに取り付けた20フィート×20フィート(約6m×6m)のソフトボックスを使用し、その内部にはLitegear Auroris Xを4台設置して、ダブル・マジッククロスで、こちらも4,700Kに合わせます。さらに、SkyLight Balloon Company提供の4K HMIバルーンライトおよび独立した16Kチューブバルーンライトも用意され、月明かりや補助光として活用されました。

『罪人たち』のジャック・オコンネル Ⓒ 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

川向こうの樹木や背景を照らすために、製作チームは高さ120フィート(約36m)の高所作業用ブームリフトを5台使用し、それぞれに1/2 CTOフィルターをかけた18Kパーライトを2灯ずつ搭載しました。さらに、地面にはCreamSource Vortex 8を40台以上配置し、樹木や草木を照らすことで奥行きを演出。加えて、夜のシュールなダンスシーンでは、30台のVortex 8をピクセルモードで使用し、炎の演出を行いました。撮影中は、本物の火による光と効果を出すためにファイアーマシンも併用されました。

『罪人たち』の撮影を振り返りながら、アーカポーは次のように述べています。「ライアンとの仕事は、いつも勇気とインスピレーションに満ちた旅になります。そして、これまで足を踏み入れたことのない全く新しい領域を深く掘り下げることになるのです」

「物語の時代と舞台を通して自分自身のルーツと向き合うと同時に、65mmフィルムやIMAX 65mmというフォーマットを使って、記憶に残る、感情を揺さぶるような映像をつくることができたのは本当に意義深い体験でした。撮影中からずっと、私たちは何か稀有で、意味のある重要な作品をつくっているという実感がありました。多くの観客が『罪人たち』を心から受け止めてくれたことは、私にとって何よりも大きな喜びです」

(2025年5月13日発信 Kodakウェブサイトより)

『罪人たち』

 (6月20日より全国公開中)

 製作年: 2025年

 製作国: ​アメリカ

 原 題: Sinners

 配 給: ワーナー・ブラザース映画

​ 公式サイト:  https://www.warnerbros.co.jp/movie/o596j9bjp/

予告篇
特別映像:
ライアン・クーグラー監督によるフィルムと上映フォーマットの解説

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