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2026年 6月 22日 VOL.267

撮影監督シーマス・マッガーベイ、35mmエクタクロームでリン・ラムジー監督『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』の鮮烈で陰鬱な世界を描く

Photo by Kimberley French. Courtesy of MUBI.

撮影監督シーマス・マッガーベイ(BSC ASC ISC)は、リン・ラムジー監督の『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』でコダックの35mmエクタクロームを採用しました。鮮やかな色彩と不穏な空気感が共存する独特の映像世界を構築し、「これまでのキャリアの中でも最高の仕事の一つです」と語っています。

ゆったりとしたテンポで展開する本作は、静かな暮らしを求めてニューヨークからモンタナ州の田舎にあるジャクソンの実家へ移り住んだ若い夫婦、グレースとジャクソンを描いています。新生活の当初、二人は互いに夢中になり、うだるような夏の暑さを忘れるように、情熱的に愛を交わし、冷えたビールを飲みながら幸福な時間を過ごしていました。

しかし、新しい土地での生活に順応し、やがて親となるなかで、グレースは孤独感に苛まれ、結婚や母親としての役割、家庭生活に対する不安から精神的に追い詰められていきます。家族や友人たちが支えようとするものの、彼女の心の不調は次第に深刻化し、夫婦関係は危うい均衡を失っていきます。そして現実と幻想の境界が曖昧になるなかで、二人は予測不能な領域へと踏み込んでいくことになります。

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』撮影中のリン・ラムジー監督 Photo by Kimberley French. Courtesy of MUBI.

ジェニファー・ローレンス、ロバート・パティンソンを主演に、シシー・スペイセク、ニック・ノルティ、ラキース・スタンフィールドが共演する本作は、アルゼンチンの作家アリアナ・ハルウィッツによる2012年発表の小説『Die, My Love』を映画化したものです。2025年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門で初上映され、6分間にわたるスタンディングオベーションを受けるなど大きな反響を呼びました。アイデンティティや幸福、産後うつ、メンタルヘルスといったテーマを力強く描き出し、観客の感情に深く訴えかける作品として高い評価を獲得しています。

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』は、リン・ラムジー監督と撮影監督シーマス・マッガーベイにとって、『少年は残酷な弓を射る』(2011)に続く2度目の協業となります。なおマッガーベイは同作においてもコダック35mmフィルムを用いて撮影を行っています。

「リンとは彼女が映画学校にいた頃からの付き合いで、それ以来ずっと親しい友人です」とマッガーベイは語ります。「彼女はとても生き生きとした人物で、一緒に仕事をするたびに刺激を受けます。カメラを使って物語を紡いでいく感覚を、ごく自然に理解しているからです。台詞そのものだけでなく、その合間に生まれるフレームや空間によっても、言葉と同等かそれ以上の情報を語ることができます」

「この作品に惹かれたのは、多くの人々に関わる重大で深刻な問題を、脚本が非常に誠実に描いていたからです。また、リンがユーモアを巧みに用いることで、場面に差し込まれる笑いが重苦しさを和らげるだけでなく、むしろその闇をより鋭く際立たせている点にも強く惹かれました。彼女は映画づくりに固定的なルールを持たず、新しいアイデアにも開かれています。さらに、音楽や音響を物語の重要な構成要素として捉え、それらと非常に密接な関係を築いています。そうした姿勢は、脚本に書かれた内容をどのように映像化するかという点で、撮影監督の発想をより自由なものにしてくれます」

さらに彼は、「そうした要素に加え、ジェニファー・ローレンス、ロバート・パティンソン、シシー・スペイセク、ニック・ノルティ、ラキース・スタンフィールドといった実力派俳優たちと仕事ができたこと、そして実際の田舎のロケーションが全員の集中力を高めてくれたことも大きかったです。まるで創作のためのおもちゃ箱を手に入れたような感覚でした」と振り返っています。

制作にあたっては、著名な美術作品から重要なインスピレーションを得ました。その一つが、アメリカの画家アンドリュー・ワイエスによる1948年の絵画『クリスティーナの世界』です。マッガーベイは特に、その詩的な田園風景に加え、「草原の草が震えるように揺れる質感」と、人物を後ろ姿で捉えた構図に着目したといいます。こうした要素は、登場人物の情感的な隔たりや脆さ、さらには内面に広がる未知の思考世界を想起させるものでした。

さらに、フランスのポスト印象派の画家アンリ・ルソーの作品からもインスピレーションを得ました。マッガーベイは、ルソーの絵画に見られる圧倒的な自然の存在感や、人間と動物が共存する、豊かでありながら時に暴力性をはらむ夢幻的な空間表現に強く惹かれたといいます。

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』撮影中の撮影監督シーマス・マッガーベイ Photo by Kimberley French. Courtesy of MUBI.

夜のシーンの撮影にあたり、マッガーベイは夢の風景や永遠の薄暮を想起させる作品群を参照しました。写真家エドワード・スタイケンによる青写真シリーズ《ノクターン》のような雰囲気のある作品や、ベルギーのシュルレアリスム画家ルネ・マグリット、イタリアの形而上絵画の巨匠ジョルジョ・デ・キリコの作品などです。実際、本作は比較的限られた予算の中で、多数の夜間屋外シーンを撮影する必要がありました。そうした条件と美術的参照の影響もあり、マッガーベイは昼間の撮影素材を夜景として見せるデイ・フォー・ナイトの手法を採用し、その結果として彼自身が「神秘的で、精神的な感覚を伴う様式化」と表現する独特の映像表現が生まれています。

映画からの参照例としては、ダグラス・サーク作品の映像スタイルが挙げられます。とりわけ『天はすべて許し給う』(1955、撮影監督:ラッセル・メティ ASC)では、ドアや窓、鏡の反射を用いて人物をフレーミングし、家庭という空間における閉塞感を強調しています。また、『ローズマリーの赤ちゃん』(1968、監督:ロマン・ポランスキー、撮影監督:ウィリアム・A・フレイカー ASC)からは、心理的緊張の構築手法に影響を受けたといいます。さらに、マヤ・デレンとアレクサンダー・ハックシュミードによる実験的サイレント短編『午後の網目』(1943、監督:マヤ・デレン & アレクサンダー・ハックシュミード、撮影監督:アレクサンダー・ハックシュミード)も重要な参照作品でした。同作は、ナイフなどの象徴的イメージを用いながら、シュルレアリスティックな映像表現によって主観的体験や無意識の領域を探求しています。

「要するに私たちは、万華鏡のように断片化され、壊れたイメージの集合から着想を得ていました。そこには、通常のポートレートや風景のような確かな拠り所はありません。本作では、ある時は魅惑的に、またある時は不穏に感じられる映像を目指しました。情熱的でありながらどこか危うく、ときには動物的ですらあるような世界です」

Photo by Kimberley French. Courtesy of MUBI.

マッガーベイは、『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』をフィルムで撮影することに迷いはなかったと語ります。「それは一種の信念のようなものです。カメラから現像所に至るフィルム制作のプロセスには、目に見えない不確かな領域が存在します。そして偶然が思いがけない“幸運な結果”として現れることも少なくありません。フィルムはデジタルのように事実を二進法的に記録するのではなく、対象の印象を写し取るものです。その仕上がりに、思わず鳥肌が立つこともあります」

「実務的な面で言えば、リンはテイク数をあまり重ねるタイプではありません。撮るべきショットに対して非常に明確な判断基準を持っており、必要なものが撮れたかどうかを的確に見極めます。そのため撮影量も比較的少なく、予算面でも大きく膨らむことはないだろうと考えていました」

マッガーベイは、ラムジー監督とともにコダック エクタクロームを採用した経緯について次のように振り返ります。「私たちは現実の状況を捉えながらも、それをどこか異世界的で、幽霊のような気配を帯びた映像として表現したいと考えていました。当初は赤外線撮影も検討しましたが、エクタクロームをテストした時点で、この作品に必要なフィルムだと確信しました。エクタクロームには、映像に夢幻的かつ幻視的な雰囲気を与える力があったのです」

エクタクロームには独自の写真特性があります。鮮やかな発色でありながら自然な肌色再現を実現し、一定のシャープネスときめ細かな粒状性を備えています。一方でコントラストは高く、ラチチュードはわずか6ストップしかありません。そのため表現の幅は限られ、非常にシビアな扱いを求められるフィルムです。露出オーバーや露出アンダーはそのままフィルムに焼き付けられ、後処理で取り戻すことはできません。現場での判断がそのまま最終結果に反映されることになります。しかし、その制約を受け入れることで、他では得られない特別な映像が生まれるのです。

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』の撮影現場にて。グレース役のジェニファー・ローレンス(左)を撮影するカメラオペレーターのクリス・チョウ Photo by Kimberley French. Courtesy of MUBI.

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』の撮影は、2024年8月から10月にかけて、計29日間の日程で行われました。主なロケ地はカナダ・カルガリーとその周辺地域で、一部の室内シーンはホテルのボールルームにセットを構築して撮影されています。また車内シーンでは、約12フィート×12フィート(約3.7m×3.7m)のL字型LEDウォールを使用し、効率的な撮影が行われました。

マッガーベイは本作をアスペクト比1:1.33のアカデミーサイズでフレーミングし、主にパナビジョンの35mmフィルムカメラ、ミレニアム XLを使用、さらに手持ち撮影ではアリフレックス IICも併用しています。レンズはP-Vintageシリーズを中心に、58mmと85mmのペッツバールレンズ群、さらにCanon T0.95ドリームレンズを用いました。また、映像にフィルム特有の質感を与えるため、ティッフェンのGlimmer GlassおよびBlack Glimmer Glassフィルターを各種活用しています。カメラおよびレンズの大半はカルガリーのパナビジョンから提供されましたが、ペッツバールレンズとCanonレンズについては、マッガーベイが映画仲間と共同所有する私物が使用されました。

「私たちが当初からアカデミーの比率を選んだのは、本作が本質的にひとりの女性のポートレートであり、そこに焦点を置いた作品だったからです。風景や広大な田園地帯も登場しますが、集団を捉えるショットはごくわずかです。作品の核にあるのは、あくまでも彼女という存在なのです」

「私はこれまでアカデミーのアスペクト比で撮影したことはありませんでしたが、『イーダ』(2013、監督:パヴェウ・パヴリコフスキ、撮影監督:ウカシュ・ジャル PSC、リシャルト・レンチェフスキ)や『Saltburn』(2023、監督:エメラルド・フェネル、撮影監督:リヌス・サンドグレン FSF ASC)といった近年の作品における使われ方に大きな影響を受けました。このアスペクト比には独特の閉塞感があり、フレームそのものが人物を閉じ込めるような印象を生み出します。そのことで観客は、より深く登場人物の内面へと入り込むことができるのです」

「室内のワイドショットでは、1:1.85や1:2.35といった横長のフォーマットよりも天井がより多くフレーム内に入ってきます。そのため私たちは、人物の頭上にあえて広い余白を残すフレーミングを積極的に取り入れました。また風景描写においては、このアスペクト比によって、広大な自然の中に置かれた人間の存在の小ささをより強く意識させることができます。そうした表現効果も、アカデミー比率を選択した理由の一つでした」

Photo by Kimberley French. Courtesy of MUBI.

レンズ選択について、マッガーベイは次のように説明しています。「P-VintageレンズはUltra Speedプライムのヴィンテージガラスを組み込んでおり、有機的で夢幻的なルックを生み出します。一方、ペッツバールレンズは主にジェニファー・ローレンスの屋外クローズアップに使用しました。特徴的な渦巻き状のボケが生み出す視覚効果は、『クリスティーナの世界』で私たちが参照したイメージにも通じるもので、めまいのような感覚を通して彼女の内面へと観客を引き込む役割を果たしています。また、Canon T0.95ドリームレンズは開放付近で使用することで、わずかな周辺減光と柔らかなグローを生み出し、映像に独特の幻想性を与えました」

マッガーベイによれば、本作の約3分の2はコダック エクタクローム 35mm カラーリバーサルフィルム 5294で撮影されています。ISO100相当の低感度であるため、主に昼間の屋外および室内シーンに使用されました。一方、より暗い環境やデイ・フォー・ナイト(昼間に撮影した素材を夜景として見せる手法)のシーンでは、コダック VISION3 5213 200Tおよび5219 500Tのネガフィルムへと切り替えて撮影が行われています。

「夜の撮影、とりわけ屋外のデイ・フォー・ナイトでは、スタイケンのサイアノタイプ(青写真)から着想を得ました。そこではシアンの単色的なトーンが画面全体を覆っています。エクタクロームでデイ・フォー・ナイトを撮ることも可能でしたが、ラチチュードが限られているため、結果として画が過度に硬くなり、リトグラフのような質感、いわゆる“クランチー”な印象になってしまうと考えました。そのため、これらのシーンにはコダック VISION3 200Tおよび500Tを使用しています」

「私たちは、デイ・フォー・ナイト撮影にありがちな、青みを帯びた逆光主体のいわゆる定型的な映画的夜景表現を目指していたわけではありません。求めていたのは、より悪夢的で、記憶の中に残る悪夢、あるいは発熱時に見る夢のようなイメージでした」

「ただしデイ・フォー・ナイト撮影では、空が白く飛んでしまうという課題がありました。そこで私は、光学フラットガラスにろうそくの炎の煤を軽く付着させて自作した“キャンドルスモークフィルター”を使用しました。その上で、画面に影響させたくない部分の煤を拭き取り、空の領域だけに煙のような濃度を残しています。こうした効果はポストプロダクションではなく撮影時に直接フィルムへ焼き付けられました。その結果、月のように見えるけれど実際には太陽であるような、錯覚的な夜景表現が生まれています。またこのフィルターは一部の昼間の屋外シーンにも使用され、空気感の演出に寄与しています」

Photo by Kimberley French. Courtesy of MUBI.

「こうした映像表現については少し奇妙に見えるという意見もありました。しかしリンは非常に型破りな映画作家であり、その仕上がりをむしろ素晴らしいと捉え、まるで手編みのような質感があると気に入ってくれました。さらにポストプロダクションではVFXの協力のもと、わずかにピントの外れた星を画面上に点在させています。その結果、どこか幽霊のような気配を帯びた、幻視的で幻想的な映像世界が生み出されました」

フィルムの現像(訳注:マッガーベイによりチューニングされたクロス現像)および4Kスキャンは英国のシネラボで行われ、ラッシュはデイリー・カラーリストのダレン・レイが監修しました。「撮影前には多くのテストを重ねましたが、ダレンは私たちの目指す映像コンセプトをすぐに理解してくれました。その結果、ラッシュの段階から美しい色調が実現し、シャドウ部の階調が開いた、より柔らかなルックに仕上がっていました」

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』は主にシングルカメラ体制で撮影されました。カメラオペレーターはクリス・チョウが務め、手持ち撮影による流動的なカメラワークを多く担当しています。フォーカスはコリー・バドニーが担当。グリップ部門はゲイリー・ウィンターが率い、照明部門ではマーティン・キーオがガファーとして撮影を支えました。

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』撮影中のリン・ラムジー監督(左)とジェニファー・ローレンス Photo by Kimberley French. Courtesy of MUBI.

「クリスは卓越したカメラオペレーターで、本当に見事な仕事をしてくれました」とマッガーベイは振り返ります。「私たちは、整然とした構図や直線的で規則正しいカメラワークを求めていたわけではありません。むしろ、画面がわずかに歪み、どこか均衡を欠いた、不安定さや違和感を内包する映像を目指していました。何かが少し狂っているような感覚を画面に宿したかったのです。そのため手持ち撮影は、本作の映像表現において重要な要素となりました」

「私たちは多くの場面で、演技が途切れずに流れていく状態をそのまま捉えることを意図していました。そのためには、撮影側もその瞬間に対して十分に“生きている”必要があります。フレーミングによって俳優の動きを制限してしまうと、それが息苦しさとなり、演技の自由度を損なうことがあります。そこで手持ち撮影を採用することで、俳優たちの動きに対して制約の少ない、いわば“自由放牧のような振付”が成立しました」

草原のシーンでは、グレイスとジャクソンが長い草の中を四つん這いで移動する場面があります。その際リンは、映像が昆虫の音に包まれていることを強く意識していたといいます。コオロギや虫の鳴き声が空間全体を満たし、ロケーションそのものがまるで生き物のように生きているような感覚がありました。

そこで私は、カメラをほぼ地面すれすれまで下げ、俳優にできる限り近い位置で、彼女が語っていた音の風景の中に、カメラ自体を没入させることを提案しました。クリスはこれらのショットをエクタクロームで撮影し、ペッツバールレンズを使用しました。その結果、背景は激しく渦を巻くように歪み、強い視覚的うねりを伴う映像となっています。こうしたルックは、本作が当初から志向していた「情熱的で、どこか危険性をはらみ、動物的な衝動を持つ世界観」を明確に体現するものとなりました。

 

Photo by Kimberley French. Courtesy of MUBI.

カーシーンおよびLEDウォールを用いた撮影について、マッガーベイは次のように述べています。「車内では、最も良い会話も最も悪い会話も生まれます。しかし演技を重視した撮影という観点では、プロセス・トレーラーやローローダーを使う方法は、しばしば大きな制約となることがあります」

「この発想の背景には、車内を“圧力鍋”のような閉塞空間として機能させたいという意図がありました。また、俳優の演技をスムーズに繰り返し撮影できる環境を整えることも目的です。道路の終端で毎回車両をリセットし、再び走行させるといったテイク間の時間的ロスを避けたかったのです」

「こうした発想からLEDウォールを導入しました。小型のBlackmagicカメラアレイで高解像度の背景プレートを撮影し、ターンテーブルで車両を回転させると同時に背景映像の方向を反転させることで、車内シーンをすべて1日で撮影しています。ここでもエクタクロームを使用しました。ラッシュ確認時にはLEDウォール由来の強いマゼンタ寄りの色かぶりが見られましたが、DI工程においてハーバーのカラーリスト、アダム・イングリスが補正を行い、仕上げられました」

 

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』の撮影中、露出計で測光する撮影監督シーマス・マッガーベイ Photo by Kimberley French. Courtesy of MUBI.

マッガーベイは照明設計について、ロケーションの空間構造や建築的特性、そして俳優の動きを基軸に構築したと語っています。

デジタルカメラは感度が高いがゆえに、照明をせずに撮影してしまう誘惑や傾向がありますが、それによって映像がどこか濁った印象になることを避けたかったといいます。特にエクタクロームでは、方向性や意味を持った光を積極的に設計し、画面に“投入する”ことを意識しました。また、HMIなど従来の光源とLEDを組み合わせる手法にも積極的でした。

インテリアでは主に外光をバウンスさせて取り込み、その反射が室内のオブジェクトや俳優の顔にどのように回り込むかを見ながら、必要に応じてARRI SkyPanel S60、LiteGear LiteMat、Asteraチューブなどを補助的に使用しました。実景の実用照明にはAstera Luna Bulbを仕込んでいます。一方、デイエクステリアでは、バウンスボードを使って俳優を追いながら補光するだけの、よりシンプルなアプローチにとどめる場面もありました。

マッガーベイは本作を振り返り、次のように述べています。「物語の性質もあり、さまざまな要因が重なって撮影は非常に難しいものになりました。現場には一時的に緊張感が生じる場面もありました。しかし、撮影という行為がこれほどまでに物語の心理と密接に結びついた作品は、自身のキャリアの中でも最も優れたものの一つだと感じています。その評価も含め、とても誇りに思っています」

(2025年10月31日発信 Kodakウェブサイトより)

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』

 (6月12日より全国公開中)

 製作年: 2025年

 製作国: ​アメリカ/イギリス

 原 題: Die My Love

 配 給: クロックワークス

​ 公式サイト:  https://klockworx.com/diemylove

予告篇

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